第25話

「それじゃあ、俺が戦っている間にキュアノス島以外の場所でも人型グラトニーが出現してたんだ」


人型グラトニーとの戦闘が終わって、自宅に帰って実際に戦闘した感じを話しているときに別の場所にも人型グラトニーが現れていた事を教えられた。

まぁ、今までもグラトニーの出現が1箇所だけってことは無かったし。

少し考えればわかることか。


「被害はどれぐらいでたの?」


グラトニー専用金属融解液が有れば倒せるだろうけど。それなりに被害が出てるはずだ。


「広範囲で建物の被害は結構出たようですが、人の被害は最小限みたいです。この後、それぞれ国に1度帰って詳しい話を聞きに行ってきます」


この後、マルタたちは1度実家に帰って詳しい話を聞きに行ってくれるらしい。

炊き出しとかに使うようで、食材とか持って行って貰おう。


「そうだ。人型グラトニーがこの世界に出現出来る規模のゲートを世界神様が妨害しているこの状況で作りだすのは結構コストのかかる事だから。これから2週間ぐらいはグラトニーの襲撃は起きないよ」


それは朗報だ。ここのところほぼ毎日、長くとも2日おきにグラトニーの襲撃があったからな。

アイとカナデさんを休ませるのにも丁度いい。


何事にも想定外の事が起きる可能性は有るし、最低限注意は必要だろう。

それはあんまりやることが無かった俺がやれば良いだろう。

と思ったんだけど…全会一致でコウも休めと言われてしまった。


「じゃあ先輩、私はお母さんとリバイアサンの里にあるお屋敷に遊びに行ってきますね。先輩ちゃんと大人しくしてなきゃダメですよ?」


フィア、マルタ、メル、リア、コノハは実家に帰宅してグラトニーの被害がどんなものなのか実際に確認しに行った。


アイは母親のカナデさんとリバイアサンの里に観光しに行くらしい。


なのでキュアノス島の家に俺と一緒に残るのはフェムト、イスカ、シャルの3人。

グラトニーは人間界にしか侵攻して来てないからイスカとシャルの2人は故郷を気にする必要が無いので居残り組。

俺がなにかやらかさないように見張る役とも言う。

今日はフランと琥珀の面倒を見るつもり満々だから逆にどこかに行くつもりないよ?


子供の面倒は嫁さん達かメイドとして働いている精霊達が基本するので、俺が面倒見てあげる機会が少ないんだよ…。


これに関しては子供の面倒を見るのは女性の仕事だからって感じではなく。

皆、フランと琥珀が可愛いからお世話をしたがるからこうなってしまっている。

正直、自分の子供が滅茶苦茶可愛がられていて、そうだろう可愛いだろう!と言う気持ちと、俺にもお世話させて?と言う気持ちで板挟みにあっている。


まぁ、女性達の方が上手にあやしてくれるし。俺はたまにお世話させて貰っている感じだ。

フランは転生者だし、もう割と話せる。

と言ってもまだハイハイと掴まり立ちができるぐらいなので、子供部屋で本を読み聞かせしてもらうのが好きみたいだ。


「今日はフランと琥珀のお世話をするから

どこかに行くつもりは無いから大丈夫」


そう言うと逆に心配そうな顔をされる。


「先輩。あまり構いすぎると嫌われるからほどほどにですよ?」


それについては重々承知しております…。

最初構いすぎてフランは転生者ってことのあってすごい空気を読んで我慢してくれたけど。琥珀にはガチで嫌われかけたからな…。

前科1だから注意されても文句が言えない。



「重々承知しております。それより早くリバイアサンの里に行かないと観光する時間が無くなっちゃうんじゃない?」


「それもそうですね。じゃあ行ってきますね」


「行ってらっしゃい」


アイとカナデさんを送り出してから子供部屋に向かった。


「あ!おとーしゃん」


「おっ、フラン今日も本を読み聞かせしてもらったんだね」


子供部屋に行くと琥珀は寝ていて、フランはメイドさんに本の読み聞かせをして貰ってた。


琥珀はいまさっきミルクを飲んで寝たばっかりらしいので、琥珀を起こさないように気をつけよう。

ミルクに関しては事前に搾乳器で哺乳瓶につめて、時間停止機能付きの収納魔法で仕舞って有るので本人がいなくてもミルクをあげられる。勿論、本人がいる時は自分であげてるけどね。


「おとーしゃんとおかーしゃんのお話」


ん?俺とフィアの話?


フランが読み聞かせをして貰っている本の表紙を見てみるとリンファスの王都にある劇団が公演している。俺とフィアの出会いを題材にした劇を書籍化したものだった。


劇だけじゃなくて本にもなってるのかよ!

正直めちゃくちゃ恥ずかしいから今すぐ読み聞かせをやめて欲しいけど。

フランも楽しんでたみたいだし。辞めろだなんて口が裂けても言えない。


「おとーしゃん紛うこと無きチーレム主人公だね」


まぁ9人もお嫁さんいるし。反論の余地がない。勇者よりお嫁さん多いし。

後悔はして無いけどね。



「まぁ、否定はしない。後、その本を読み聞かせしてもらう事自体は良いけど。再現してとか言わないでね?」


正直、フランなら言いそうな気がする。

どうやら前世は10代前半で無くなってしまったらしいから、ラブストーリーとか大好きみたいなんだよね。劇も見に行きたいって言ってたし。


その本の内容劇と一緒なら結構誇張されてたりしてるからね。あんな恥ずかしいセリフ言ってないし。


どんな劇なのか確認するためにフィアと一緒に見に行って2人で顔を真っ赤にしながら鑑賞したからな。

劇としては面白かったけど。



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読んでいただきありがとうございます。





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