第26話

フランにおとーしゃんに読み聞かせて欲しいとキラキラした目で言われて、自分が題材の本を読み聞かせってどんな罰ゲーム?って思ったけど。

キラキラした目をするフランに嫌だと言えず。悶絶しながら読み聞かせをすることになった。

俺があんなギザなセリフ言うわけ無いだろう。

一緒に子供部屋に来ていたフェムト、イスカ、シャルはそれがわかっているので、笑うのを必死に堪えながら聞いていた。

途中で琥珀も起きたので抱っこをしながら読み聞かせを頑張って終了させた。


「フランも琥珀もまた寝ちゃったね。今日はこれぐらいにしておこうか」


音を立てないように面倒を見てくれているメイドさん達にお礼を言って子供部屋を後にする。


「やっぱり、子供は可愛いですね。フェムト様妊娠しやすくなる薬とか無いんですか?」


子供部屋から出た途端イスカがフェムトにそんな質問をする。

することはしてるけど。長命種は基本、妊娠しにくくなっている。

リバイアサンなんて、その中でも更に妊娠する確率が低い。

イスカの母親であるティアナさんいわくリバイアサン全体で数百年に1人子供が生まれる。それぐらいの確率らしい。


「ある事は有るけど。母子ともに悪い影響を与えるし使わない方が良いよ。と言うか使いたいって言っても使わせない」


フェムトがそこまで言うという事はデメリットが大きすぎるんだろう。そんなもの俺も使って欲しくないな。


「マギに詠唱魔法で妊娠確立を少し上げる魔法を作って貰うとか?」


偶にそう言う魔法があるお話有るよね…。

避妊魔法とセットで。


「うーん…。薬みたいに絶対妊娠するとか行き過ぎた効果じゃなければ。副作用なく作ることも可能かも…。でも…正直、その魔法を作った結果。幻獣種リバイアサンの個体数が倍増したとかなったら。神様的にはあんまりよろしく無いんだよね」


あ〜最強種族リバイアサンが増えすぎるのは、世界を管理する神様からしたらちょっと許容出来ない事柄か。


「それなら、コウのお嫁さんにだけ特別ってことで、副作用が無くて妊娠する確率の上がる薬を作る方が現実的かな」


そのぐらいなら、既に2回も世界を救ってるし。今回のグラトニーを退ければ、この世界を救うのは3度目ということになるので、世界神様も許可してくれる可能性が有るらしい。


最初にフェムトが言っていた絶対に妊娠するような薬はダンジョンで偶に手に入る物で、それ以外にそう言う効果のある薬は存在しないらしいけど。フェムトからしたらその気になればそう言った薬を作れないことも無いらしい。

だからと言って、それを軽々しく作ってしまって長命種の数がいっぱい増えてしまうと世界のバランスが大きく崩れてしまう可能性が有るので、作るとほかの神から罰せられるって事だろう。


でも、俺たちは何度も世界を救ってるし。

欲しいと言えば特例で許可される可能性も有るってことらしい。


「とりあえずこの話はグラトニーの問題を解決してからだね」


忙しい今、言っても却下される可能性もあるしね。

と言うか嫌な言い方だけどグラトニーと戦闘しなきゃいけないこのタイミングでイスカに妊娠されると、戦力ダウンと言うレベルでは無いので、今妊娠されるのは困る。


「今話しても実行できない訳だし。この話はここでお終い。まだ午後になったばっかりで時間はいっぱい有るけど。何しようか?」


昼ごはんを食べるのは確定だけど、その後やることが無いんだよね。ダンジョンに行ってセラスに会うのもありだけど。

それはそれで色々やり始めてフェムト達から止められるのが目に見えてるし。


「魔界に行くのは?最近様子を見に行って無いでしょう?エリーゼちゃん拗ねてるんじゃない?」


エリーゼが拗ねてるとかはおいといて確かにここ最近魔界には行ってなかったな。

村がどれぐらい発展してるか気になるし見に行くのも有りだな。


まずは、昼ごはんだな。


お昼ご飯に用意されていたロコモコ丼を食べてから引き続き。俺、フェムト、イスカ、シャルの4人で魔界にある魔族の村に向かった。


「レムさん久しぶり」


魔族の村に到着すると直ぐにレムさんを見つけたので挨拶する。


「お久しぶりです。コウ様」


「村は順調に発展しているみたいだね」


「そうですね順調に発展しています。リーフソルトの栽培も軌道に乗り始めました」


そのまま乾燥させて粉末状にするだけでハーブソルトとして使える中々便利な植物だけど。成長させるには土壌に大量の塩分が必要で塩分が大量に含まれる粘液を分泌するワームの助けが必要で、ちょっと栽培が大変そうな植物だったけど。

無事に栽培出来てるようだ。


近くに海は無いし。貴重な塩の獲得手段だから本腰を入れるのも納得できるけどね。

魔族には魔物創造のスキルが有るから、例のワームの使役も比較的簡単にできるし。


「ただ、コウ様が全然会いに来てくれないとエリーゼ様の元気が無いです」


エリーゼが俺に好意を抱いてくれてるのは流石にわかってるし。

フィア達もエリーゼならコウが好きに決めてくれて良いとも言われてるけど。

絶賛村を開発中なのにトップのエリーゼが結婚っていうのも難しんじゃ無いかな?って思ってたんだけど。

1回そこら辺をしっかり話した方がいいか。



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読んでいただきありがとうございます。


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