第21話
「ようやく、ダンジョンを一般開放する準備が終わった。やっぱり町を作るって面倒臭いわ」
この1週間、キュアノス島のダンジョンを一般開放して人が暮らす町を作る為に国のお偉いさん方やギルドのお偉いさん方と何度も話し合を続けてようやく、ひと段落するところまで話をつけることが出来た。
関わる人間が増えると、どうしても利権だなんだとめんどくさい事ばっかでホントにやになっちゃう。
冒険者ギルドと商業ギルドのキュアノス島支部の代表を決めるのも一苦労だった。
貴族の後ろ盾が有るかとか何かやましい事を考えて無いかとか。
慎重に調べる必要があった。
何奴も此奴も欲まみれのやつばっかりでホント決まらなかった。
「まぁ、でもコレが終われば、俺がやらなきゃいけないことは減るだろうし」
最初に色々とルールを決めてしまえばルール通りに動いてくれればいいし、俺が一々口を出すことは少なくなるはず。
キュアノス島にいる幻獣種や精霊からどうにかして素材を手に入れようと企てる奴らが既に大量に湧いて出て来てるし。
やる事は無くならないだろうけど。
それにキュアノス島のダンジョンを一般開放出来るように奔走している間にもグラトニーは毎日のように現れ各地で戦闘が発生している。
正八面体型、オオカミ型だけではなく。
虎型、ライオン型、ゴリラ型、
キリン型etc.....。
こんな感じで、どんどん新型が増えている。
まだ、魔法などの特殊な攻撃はして来ないけど。一体ごとの強さはドンドン強くなっている。
それに比例して金属融解液の効きも悪くなっている様だ。
アイとカナデさんはこれ以上金属融解液を改良しても意味が無いと結論に至り、今は別の物の開発を進めている。
もうそろそろで形になると報告を受けているのでその問題も近いうちに解決できるだろう。
「キュアノス島に人を連れてくるための飛行船は既に出発したし。俺のやらなきゃいけないことは一旦終わったけど。1人でゆっくりするのはどうかと思うし、何しようか…」
そう言えばネレイド達の様子を最近見に行って無いな。面倒を見るって連れてきたんだから定期的に顔をだして、なにか困ったことがないか話を聞きに行かないと。
という事でネレイド達が作り暮らしている水中の村に訪れている。
俺は土台代わりのテーブルサンゴを育てているところまでしか見てなかったけど。今はテーブルサンゴの上にカマクラの様なドーム状の建物が何軒も建っている。
村にはネレイド達だけではなく水棲の幻獣種や水の精霊達もちらほら見かける。
幻獣種や精霊達とも上手くやれているようで一安心。
「コウ様。ようこそお越しくださいました」
「出迎えありがとうセレンさん。久しぶりに来たけど、村は順調に発展してるみたいだし。ほかの種族の子達とも上手くやれてるみたいで良かった」
村の外から村を観察していたらセレンさんが迎えに来てくれた。
「コウ様の助けもあり他種族との交流も特に問題なく進められています」
特に俺がした訳じゃ無いけど、セレンさんがよいしょしてくれる。
「まぁ、助けになれたのなら良かった。何か困ったことがあったら頼ってくれていいからね?」
「ありごとうございます。ですが今、コウ様は忙しいのでは?」
セレンさんもグラトニーのことは知っているので俺が物凄く忙しいと思われていたらしい。
確かに色々やる事は増えたけど。他の人たちの方が凄い動いているからな。
俺に専門的なことは出来ないので割と出来ることは少ないんだ。
戦闘ならゴリ押しでお手の物なんだけど、本当に人間じゃ対処出来ないレベルのグラトニーが出て来るまで人間たちに対処させるべきとフェムトに止められている。
何かあっても俺が助けてくれるのが当たり前だと思われるようになるからだそうだ。
確かにフェムトの言うことも一理有るので今のところ直接グラトニーと戦闘したのはハジメくんの時の1回だけだ。
その代わり戦うのが好きだし得意な幻獣種達を派遣したりしてるけど。
「って訳で意外とやる事無いんだよ」
「なるほど。ですがその話を聞いた後ではコウ様に力を借りにくいです」
確かに…話すタイミング間違えたか。
「まぁ、適度を持ってってことだよ。何でも俺に頼るようになったらダメだよって事だよ」
個人的には向上心を無くさなければある程度俺に頼ってくれても良いと思ってる。
そこら辺の線引きって正直難しいからその時の気分によって判断が変わることもあると思う。
なんだかんだ言って俺はやりたい様にやる人間だし。
「ごめんね。すっごい話変わっちゃうんだけどさ、あれって俺が養殖して欲しい光る珊瑚だよね?」
何となく話題を変えないとって言う空気になったので無理やり話を変える。
気になってたのはほんとだし。
だって、俺が渡した光る珊瑚の光がすっごいカラフルに光ってるんだよね。
俺が渡した時は白1色だった筈なんだけど。
養殖どころか品種改良まで成功させちゃったの?ネレイドさん達?
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読んでいただきありがとうございます。
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