第12話

水中最強の魔物と言われるリバイアサン。

それがこのダンジョンのボスだった。体長で言えば10キロはゆうに超える巨体。

リバイアサンからしたら大半の敵はただ泳いでいるだけで倒せてしまうだろう。


「ダンジョンが生み出したリバイアサンであって。イスカたちとは別物って頭では理解出来てるけど。それでも戦いづらい」


魔物では無く幻獣種だけど。リバイアサンとは友好関係を結んでるし。妻の1人はリバイアサンだ。そう言う事もあって、強さ関係なく戦いずらい。


イスカ達からしたら幻獣種でなく相手が魔物

な時点で似た姿をした別物ってスタンスなのは知ってるけど。


「だからと言って、戦わないで逃げるって選択肢はないけどね」


流水の短剣に魔力を流して戦闘態勢をとる。

フロンのダンジョンで出てきたバハムートみたいに大幅に弱体化している感じがしない。

油断をしてるとこっちがやられる。

ここまで緊張感をもって戦うのはニーズさんと戦った時以来だ。


リバイアサンは挨拶がわりに収縮レーザーで攻撃してくる。

当然、氷の壁を作って防御する。

避けても顔を動かして追いかけてくるだろうし、動かずに防ぎ切る。

それなりに本気で作ったのにジリジリ表面が削れていたので流石リバイアサンだなと思った。


まぁ、氷の壁の再生速度を上回ることは出来てなかったけど。

幻獣種のリバイアサンなら本人確認出せば子供でもこの氷の壁を壊せた筈だし。

コレが魔物と幻獣種の差ってことだろうな。


リバイアサンのレーザ攻撃を完全に防ぎきってから、リバイアサンの真横に転移して良く切れる鞭状態の流水の短剣で鱗を切り裂く。


胴体がでかいし、たいしたダメージになってないだろうけど。

自分の鱗の防御力に絶対の自信を持っていたのだろう。

リバイアサンは叫び声をあげながら、俺に向かってしっぽを振り抜いた。


それを転移を使って避けて、リバイアサンの胴体の上に立つ。


流水の短剣を普通の短剣の状態に戻してからリバイアサンに突き刺す。

突き刺した瞬間、流水の短剣の刀身を伸ばしてリバイアサンの胴体を貫通させる。

大物相手に魔法を使わずに大ダメージを与えるにはどうしたら良いかな?って考えて、思いついた方法だけど。

結構いいダメージ入ってるみたいだな。


リバイアサンは初めて食らうまともなダメージにのたうち回ってる。

刀身を伸ばして胴体を貫通させた流水の短剣をグリグリしたりそのまま胴体を両断したりしても良かったんだけど。

何も考えずに暴れ回るリバイアサンの背中に乗り続けるのも難しいので転移を使ってリバイアサンから離れる。


フロンの高難易度ダンジョンのボスもそうだったけど。

このリバイアサンも戦闘自体が初めてだろうし。

ダメージに対しての痛がり方とか大袈裟だし。強いけど戦い方がど素人なんだよね。

普通はリバイアサンなんてど素人だろうと負けることなんて無いんだろうけど。


「やっぱり巨大な魔物に魔法が使えないのはキツいね」


リバイアサンは種族特性で水属性魔法無効を持っているので、水属性魔法で攻撃しても全くダメージを与えることはできない。

ほかの属性魔法を使って攻撃することは出来るけど。適性を持ってない属性魔法ではリバイアサンにダメージを与えることは難しい。


因みにリバイアサンが無効化するのは水属性の魔法だけなので、流水の短剣での攻撃は無効化出来ない。魔力で切れ味を上げたり、刀身を伸ばしたりしてるけど。それは流水の短剣の効果であって。水属性魔法じゃないからね。


と言うか少し文句言いたいんだけど。俺には水属性魔法無効の種族特性無いんだよね。

水の精霊王なのに…半減はされるけど。

なのに他の属性魔法の通りは倍になってる。

その代わり、魔力のこもってない攻撃は無効になってるらしい。

でも、俺が被弾するような戦闘をしてる時に魔力のこもってない攻撃をしてくる相手なんかいないし、ほぼ死に種族特性だ。

精霊のハーフだから種族特性の効果が半減してた筈なんだけど。

正式に精霊王になった時に完全に適応されてしまったらしい。

その事に最近気づいた。昔のままで良かったのに。



「ようやく、大人しくなったね」


リバイアサンは初めての痛みでパニックになって暴れ回ったけど。ようやく落ち着き、こちらに殺気を飛ばしてくる。


リバイアサンである自分が負けるわけないとこちらを舐めきっていた最初とは大違いだ。


だからと言って負けるつもりは無いけど。


「いくら戦ったこと無くても、流石にこう来るのは理解できるか」


転移でリバイアサンの近くに移動するとそれに合わせて氷柱が雨のように降り注ぐ。


俺はこれでも水の精霊王。水属性魔法で負けるつもりはない。


こちらも氷柱を作り出して迎撃する。

その間に斬れ味をゼロにして、鞭状態に刀身を変化させた流水の短剣を胴体に1周させる。

巻きついたのを確認してから魔力を流して斬れ味を一気にMAXまで上昇させる。

その状態で持ち手を引き寄せると、切れる鞭モードの流水の短剣によってリバイアサンの胴体が両断される。


両断された後も10分ぐらいビクビク動いていたけど。リバイアサンはついに動かなくなった。


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読んでいただきありがとうございます。

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