第11話

骨だけの海洋生物が沢山現れる6階。

動く骨格標本って感じで、見てる分には楽しいけど。

骨と魔石しか手に入らないので、実入り的にはちょっと寂しい。

今更お金を気にする必要は無いけど。

それに入口が海の底にあって、ダンジョンの中も水中。

口の中に入れてもぐもぐしてれば空気が出てくる海藻が1階に生えているので、普通の冒険者でもダンジョンに挑戦する事は出来るだろうけど。わざわざ水中で水棲魔物と戦いたいなんて思う冒険者も居ないだろうから。

ダンジョンの魔物がお金になろうが無かろうが意味無いかも。


因みに5階では出てこなかったバシロサウルスとかプレシオサウルスとかアーケロンとか。大昔の地球上に存在した生き物そっくりの魔物も出てきた。勿論、骨と魔石だけの骨格標本みたいな姿だけど……。

悪くないけど、やっぱり骨格標本じゃない姿も見てみたい。


「そんな訳で 、あっさり次の階に進む洞窟までたどり着いた訳だけど。特に手こずったりしなかったな」


てっきり骨な事を利用して、毒をばら撒く魔物とかいっぱいいるのかなとか思ってたけど。特にそんなことは無かった。


「コウが先制攻撃で相手に何もさせないで倒してるからだと思うよ」


それもそうか。


次の階に向かうため洞窟を進んでいると水温が38℃ぐらいまで上がる。


なんと言うか温泉?


洞窟を抜けて7階に入るとガラルファみたいな魚の魔物が泳いでいる。

あとは今まで次の階に進む為の洞窟が目の前にある。


もしかしたらセーフティーエリア的な階層なのかも?


ガラルファ達がゆっくりとこちらに近づいて来るので、手を伸ばしてみると手にくっ付いてハムハムし始める。


ガラルファとは良くドクターフィッシュと呼ばれて。水槽に手を入れたり、足を入れたりすると古い角質を食べてくれる魚。

だから大丈夫だろうと思い手を出してみたけど多分大丈夫そう。ハムハムされてるところもちょっとくすぐったいぐらいだし。


「大丈夫なの?」


そのことを知らないシャルは少し心配している。


「ホワイトソックスと同じでクリーナー生物だから大丈夫だよ」


ただし、ガラルファと同じく、ほかの生き物の古くなった角質とかを食べる生き物の存在は知っているのでこう言えばシャルには伝わる。


「なるほど。じゃあこの階は温泉に浸かって疲れを癒しながら肌を綺麗に出来る階ってこと?」


ここまで頑張って来た人へのダンジョンなりのご褒美ってことかな多分。


「まぁ多分そう言うことだと思う。丁度良いしここで疲れをしっかり癒していこう。洞窟の先からすっごい魔力を感じるし。今まで戦った魔物の中ではダントツで強そうな魔物が待ち構えてそうだし」


恐らく、ダンジョンコアを守護するボス。

権能を使えないとするとそれなりに苦戦するかも知れない。

折角のセーフティーエリアなんだから、思う存分休ませてもらおう。


折角ガラルファがいるんだしと、水着に着替えて、全身をハムハムしてもらう。

おかげで肌がツルツルになったけど。

隔離しないと寝る時までハムハムされ続ける感じだっただけが少し残念ポイントかな。


「さて、ゆっくり休んで体調もバッチリだし。このままボス戦って行きたいところだけど。6階で捕まえたスケルトンシュリンプから出汁がとれるか試してからにしよう」


美味しい出汁がとれるなら帰りに沢山捕まえて帰らないと行けないから。


と言っても、スケルトンシュリンプの色が変わるまで炒めてから。水を入れて沸騰させる。最後にキッチンタオルとかを使ってこせば、エビの風味と香りたっぷりのスープの完成。

早速このスープを使って味噌汁を作る。

具はシンプルに豆腐とワカメ。


「想像以上にエビの味がする。とう言うかエビが強すぎ!濃縮している訳じゃないのに、使う時は水で薄めて使う必要が有るだろう。そうしないと料理がエビの味しかしなくなる」


とは言えちゃんとした分量で使えば美味しい出汁として使えそうだし。帰りに沢山捕まえて帰ろう。

水で十分の一の濃さに薄めてからだし巻き玉子を作ったら、ほんのりエビの味がして個人的に気に入ったし。


チャーハンとかパエリアにもピッタリだと思う。


そうしてボス戦前にやりたいことも全て終わったので、ようやくボス戦に挑むことになった。


「コウはともかく私は真剣に戦ってもそれなりに怪我をしそうだし。回避に専念する事にするね」


本来シャルも普通に強いんだけど。このダンジョンのボス戦ではそうした方が良いかも知れない。

魔力の質からして何となくどんな魔物なのか想像はつくけど。

弱いわけが無い感じだし。


個人的にはこの予想外れて欲しいなと思っている。

だって予想が当たってたら色んな意味で戦いづらいし。素材としても使おうという気持ちになれない相手だし。


「はぁ…予想通りか…出来れば外れて欲しかったなぁ」


洞窟を抜けた先には、とぐろをまいたリバイアサンがこちらを睨みつけ、待ち構えていた。



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読んでいただきありがとうございます。

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