第9話


「金目鯛、アカムツ、甘鯛まで…。4階は高級魚天国だった!」


シャルが休憩している間、周りで美味しかったり、素材として使い道が有りそうな魔物探しをしていると、金目鯛、アカムツ、甘鯛を初めとした、高級魚と言われる魚が沢山手に入った。

アカムツはノドグロの事ね。


「甘鯛の松笠揚げ楽しみだな」


上機嫌で深海魚を捕まえてシャルが寝ているところに戻ると、見張りですよね?と少し怒られた。

朝ごはんに甘鯛の松笠揚げ、金目鯛の煮付け、アカムツの塩焼きを作って許して貰った。

結局、深海魚を乱獲することになっ4階に2日ほど滞在する事になった。


「沢山とったし。これなら当分深海魚には困らないだろ」


「調理をして食べるようになってから鱗を食べることになるとは思わなかったけど。鱗が美味しい魚もいるんだね」


鱗まで美味しく食べられる魚ってほとんどいないからね。


深海魚自体はこのダンジョン以外にもいっぱいいるけど。地球で高級魚って言われてる深海魚はいなかったから。このダンジョンには定期的に深海魚を狩りに来ないと。


「それにしてもこの階も、ボスはいなかったね。ボスは最下層にしか居ないのかな?」


その代わり最後のボスはくそ強いとか有りそうでちょっとやだな。


「だとしても、途中で帰るって選択肢は無し。後、関係ない話になっちゃうけど、洞窟を進んで5階に進む前に…はい、サングラス」


シャルにサングラスを渡す。数日、深海に篭って深海魚を乱獲してたから、5階が明るい階だったら、暗闇になれた目が大ダメージを受ける可能性がある。

そうならない為のサングラスだ。

アイがノリで作ったものだったんだけど、こんな場面で使うことになるとは思わなかった。


「これはサングラスしておいて正解だったっぽいね」


サングラスを掛けているのに眩しいと感じた。深海の暗さに慣れてしまったからで、5階がすごい明るいってことはないと思う。

5階はパッと見普通の海中と言った雰囲気。


シャルのエコロケーションの確認でも特に変わったところは無かったらしい。

ネタ切れか?と思いつつも先に進み始めた。


「なるほど?普通では無かったな」


ゴール目指して泳いでいると目の前からアンモナイトが泳いで近寄ってくる。

チョコチョコ太古の海洋生物そっくりな魔物も出てきてるけど、この階はそれがメインで出てくる階なのかも知れない。

まだ、アンモナイトしか遭遇して無いから、確定では無いけど。


「アンモナイトって素材としての使い道あるのかな?」


サクッとアンモナイトを倒して手に持って眺める。因みにアンモナイトのサイズは殻の部分が直径50cm程度。

やっぱり殻を美術品として使うとかぐらい?

身の部分もイカやタコみたいな感じで食べれるのかな?


美味しいなら嬉しいな。


「コウ。なんかうねうねしてるのが来た」


アンモナイトを手に持ってそんなことを考えていると。追加の魔物が寄ってきたらしい。シャルが指を指している方を見ると。

体の両サイドに10枚以上のヒレが付いていてそれを器用に使いこちらに向かってくる。

長い前部付属肢があるのも特徴的だろう。


「アノマロカリスだよね多分」


実際に動いている場面なんて当然初めて見るけど。ちょっと気待ち悪いかも。


アンモナイトと同じく素材としての使い道が少し思いつかないけど。

向かてくるなら倒すまで。


「デメニギス程、苦戦する魔物は出てこないね」


デメニギスは時間がかかるだけで、負けることはないって感じだったけど。魔力を利用した攻撃は全反射と言うのは結構めんどかった。


「何時もみたいに、1度攻撃をさせてから倒すんじゃなくて。先制攻撃で容赦なく倒してるけど。なんで?」


何時ものあれはある意味舐めプなんだけど。

今回はそれをすると面倒な魔物もいたしな。

転移魔法使って分断してくる魔物とか。

アレも今みたいに相手の攻撃をみてから倒すとかやらないで、直ぐに倒しておけば分断されなかっただろう。


「このダンジョンちょくちょく特化型の魔物が出て来て、俺たちでもダメージを受ける事有りそうじゃん?だから今回は最低限の舐めプも無しでいこうかなと」


「確かに、そのせいで私は1回、魔物の電撃をくらってるし」


「そう言う事。まぁ、デメニギスみたいな反射能力持ちがいないとも限らないから、先制攻撃が絶対正解とも言えないけど」


反射能力のせいで俺も久しぶりに攻撃くらったし。


襲ってきた魔物も倒したし、いつまでもここに居る理由がないので先に進む。


「なんと言うか。見た目が気持ち悪い魔物が多い……」


目の前には胴体はアノマロカリスそっくりなのだが、目が5つ付いていて、更に象の鼻によく似た柔らかいチューブ状の器官を持ったオパビニアがいる。


チューブ状の器官を使って砂の中にいる獲物を探しているらしい。

なんと言うか見た目がすごくエイリアン。

とりあえずなにか、仕掛けてくる前にこちらから攻撃してオパビニアを討伐する。


「この階、ホントに素材として使い道がイマイチ分からない魔物ばっかりだな」


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読んでいただきありがとうございます。

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