第8話
「という訳で引き続きデメニギスとの戦闘中です」
「それ、誰に言ってるの?」
「別に特定の誰かに向けたものじゃないよ。倒すのに時間がかかって暇だったから。ちょっと言ってみただけ」
デメニギスの反射能力の把握の為に色々試して見た結果。魔力を利用した攻撃は全て反射されてしまうと言う結論に至った。
剣でダメージを与えることは出来るけど。
その剣に魔力を流して攻撃すると、反射されてしまう。
と言うか俺が使っている武器は俺の魔力を圧縮して物質化させた精霊石を使っているから、魔力を流さなくてもデメニギスの反射能力の範囲内と判定されてしまった。
丁度良い武器を持っていないので 、そこら辺の岩を砕いて腕力にものを言わせて投擲してチマチマダメージを与えている。
岩を魔力で強化していいなら、デメニギスを貫通するぐらいの火力を出せるけど。
それやっちゃうとデメニギスに反射されちゃうから今回は意味無いけど。
まぁ、全ての攻撃を反射するようなチートじゃなくて良かった。
最悪、デメニギスの周りだけ水を消して窒息死させようと思ったけど。それよりは早く倒せるはずだし。文句を言わずせっせと石を投擲する。
「このダンジョンは何か一つに特化した魔物がチョコチョコいて厄介。だからこそ、対してランクの高くない魔物にも時間がかかってるし」
シャルは魔力の強化無しで投擲してもそれほどダメージを与えることは出来ないので、俺の後ろでのんびりしている。
確かに転移魔法を使う魔物もそうだし、ダメージは無かったみたいだけど。神獣ニーズヘッグの素材を使って作った防具を貫通する放電攻撃を使える電気うなぎ。
そして魔力を利用した攻撃は全て反射されてしまうデメニギス。
全員、それ以外は何も出来ないっぽい所謂特化型の魔物。
特化型は弱点がはっきりしてるけど、ハマると厄介。
「デメニギスは攻撃も反射しかないっぽいし、泳ぐのも早くないし。魔力を使わないでダメージを与えられれば割とカモだよね」
5mぐらいあってそれなりに硬いから魔力を使わないでダメージを与えるっていう条件が以外に厳しいかもだけど。
「こう言う敵用に、精霊石以外の素材で打撃重視を作っておいた方が良いかも」
勿論、精霊石を使っていない武器も幾つか持ってるけど。どれも魔力を流して使う事前提の武器だからな。
だから今回、投擲しか選択肢が無かったし。
身体強化なしで突っ込んで殴る事でもダメージを与えることは出来るだろうけど。クセで魔法とか使っちゃいそうで怖いので、チマチマと投石で削っている。
と言うか泳ぐのは遅いし、反射しか攻撃方法がないんだから、正直戦闘しないで逃げるのが1番の対策だったり……。
ただ魔力を流して攻撃を反射する素材は貴重だから確保しておきたいので、逃げないで戦闘している。
島ウミガメの甲羅も反射効果があった気がするけど。リンファス王国に全部押し付けちゃったし。耐久力を考慮せず。反射性能だけを比べるならデメニギスの方が高そうだし。
「それにしても、思ったより防御力あるんだね?魔力で強化してないって言っても、それなりに威力があるはずだよね?」
俺の投石を後ろから観察しているシャルがそう感想を言った。
それなりに硬いよね。
その後もこちらが魔力を利用した攻撃を使わないので、周りをうろちょろするしかないデメニギスに投石でダメージを蓄積させて討伐した。
「投石で倒したから傷がいっぱいついちゃってるけど。綺麗な状態で手に入れたかったら、魔力に頼らない武器を作ってからもう一度来るしかないな」
討伐したデメニギスは結構傷がついているので、素材としての評価は普通よりちょい下ぐらいだ。
「まだ、4階についたばっかで、デメニギスにもまだ遭遇する可能性もあるけど、今回はガン逃げ一択だね」
負けないし倒せるけど、時間はかかるし。素材としての価値は下がるしでいいこと無いからね。
デメニギスは遭遇しても倒さないで逃げる。
と言っても今日はこれ以上進まずに、3階を抜けるのに半日かかっているので、今日はここで休憩。
3階で休憩した時と同じように氷の壁で上下左右を囲み中の水を抜いて、休憩スペースを作る。魔物避けのランタンを起動するのも忘れない。
「コウ。3階と同じことしたらダメだからね?」
3階ではスッポンに目が眩んだ俺がシャルに声をかけずに氷の壁を解除した結果。シャルが水責めを受けることになってしまった。
シャル自体はそれでどうにかなる訳じゃないんだけど。お気に入りのシズの羽毛布団がビショビショになってしまったので、しこたま怒られた。
ちなみに水属性魔法で水分は取り除いたから、シズの羽毛布団も無事元通りになっています。
「分かってるよ。流石にそんなすぐに同じ失敗しないよ」
「ホント?食が関係するとコウは暴走するから、若干信用ないよ?」
反論できないのが辛いけど、この階は転移魔法が普通に使えるから氷の壁を解除しなくても外に出れるから大丈夫と言うと。
シャルに苦笑いされてしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます