第4話
「最初からバッカルコーンを出した状態って言うのはな〜」
自分に襲いかかって来るクリオネを倒しながらそう呟く。
バッカルコーンとはクリオネが捕食する際に使う触手。なので捕食時以外はバッカルコーンは収納されている筈なんだけど。
このダンジョンのクリオネはどう言う訳か、バッカルコーンをウニョウニョさせながら泳いでいた。
これでは可愛さ半減所の騒ぎじゃない。
「そもそも、魔物に可愛さを求める必要あるの?」
クリオネを爆殺しながらシャルがそう言う。
ペット枠としては可愛さも必要だと俺は思うけど。
そのまま魔物に襲われては撃退してを繰り返しながらダンジョンを進んでいく。
「コレは血を吸う珊瑚ってことでいいのかな?」
水深30m程のガラスで出来たみたいに透明な珊瑚が生えている場所で魔物を倒すと。
魔物から流れた血が不自然に透明な珊瑚の方に引き寄せられていく。
引き寄せられた血が珊瑚に触れると血は珊瑚に吸収されていき、珊瑚が薄ら赤色に変わる。
「血の処理が楽になるそうだね」
触っただけで血を吸われるとかだったらちょっと扱いづらいけど。
「確かに使い道は結構有るかも知れないけど。大丈夫触っただけで血吸われたりしない?」
シャルも同じことが気になったらしい。
そこら辺は実験してみるしか無いだろう。
丁度よく、アザラシ系の魔物が近づいて来たので、アザラシの真後ろに転移してしっぽを掴んで、透明な珊瑚に向かって投げる。
アザラシが透明な珊瑚に後10数cmというところまで近づくと、珊瑚の先端が槍の穂先のように鋭く変化して、アザラシを突き刺した。
アザラシは逃げようと、もがきだすが全く抜けそうに無い。
刺さった瞬間に返しができたりしているのかも知れない。
「えげつな」
突然、アザラシ系の魔物を突き刺している部分以外の枝の部分がメキメキと動き出して、アザラシ系の魔物を掴み刺さっている枝から引き抜いてポイと放り投げた。
珊瑚はさっきのような薄い赤色ではなく綺麗な赤色に変化していた。
「血だけ吸うなら血抜きとかに利用できないかな?」
直接触れると危なそうだし。なにか方法を考える必要は有りそうだけど。
「透明な珊瑚と違って赤くなった珊瑚はわしゃわしゃ動いてるし…なんかこっちを狙ってない?」
シャルがそう言うと同時に枝の部分が伸びてこちらに迫ってくる。
こちらにたどり着かれる前に凍らせて粉々に砕く。
「血抜き使えそうだなって思ったけど、血を吸うと凶暴化するなら使えないな残念」
血を吸わせたら凶暴化しちゃうなら血抜きには使えない。この海域で戦闘しすぎると、辺りに充満した血を吸収して凶暴化した珊瑚に襲われる。
だからこの海域はできるだけ戦闘を避ける。そう言うコンセプトの海域なのかも。
この海域で無駄に戦闘して珊瑚を凶暴化させたくないので、躊躇なくここで手に入れた。ダンジョン限定の魔物避けランタンを使って
透明な珊瑚が群生している海域を離脱した。
「そのランタン仕舞っちゃうの?」
透明な珊瑚が群生している海域を抜けたので魔物避けのランタンを収納魔法に仕舞ったら、シャルにそう言われた。
「だって、魔物が1匹も襲ってこないダンジョンって流石につまらなくない?」
この魔物避けのランタンは効果を発動させる為に魔力を流した人物より弱い魔物が近づいて来なくなると言う効果。
なので、コウが発動させると魔物が1匹も近づいて来なくなってしまう。
発動させるのがシャルだとしても、ほとんど同じ結果になるだろう。
「確かにそれじゃ、ダンジョンに来た意味はなくなっちゃうかも」
シャルも理解してくれた様なので、魔物避けのランタン再度取りださずに進んでいく。
「ねぇシャル。アザラシって美味しいの?」
襲いかかって来たアザラシ系の魔物を倒して収納魔法に閉まっている時に、そう言えばアザラシって食べれたよね?と思いだした。
食べた事なんて無いし美味しいかなんて分からないけど。
「精霊界で食べた時は獣臭と言うかそんな感じのクセが強くて、もう一度あえて食べたいとは思わなかったかな」
その時は料理なんてせずにそのまま食べたから料理にしたら美味しいかも?
と言うことだった。
あ〜、そう言えば昔ジビエ肉の記事を見ている時にアザラシも載ってて、独特の生臭さが有るから香辛料とかで強めの味付けをするとか書いてあったかも?アザラシを狩ってる現地の人は生でも食べるとかも書いてあった気もする。
流石に生で食べる気にはならないな。
シャルもそこまで美味しくないって言ってるし。
それでも1回は食べてみたいし。大和煮とかカレーにするのが良いかな。
とりあえず。ダンジョンの中で食べるのは難しいだろう。
と言うかこのダンジョンで食事すること自体大変じゃない?水中な訳だし。今回は攻略するまでダンジョンから出るつもり無かったんだけど…。
ダメそうだったら。無理せずダンジョンから脱出して食事をとろう。
「1階から2階に来た時の洞窟に似たのを発見。あそこから3階に行けるっぽいね」
今回1度も階段を守るボスモンスターが設置されてないなと思いながら3階に向かって洞窟を進む。
少しずつ水温が高くなってくるのと同時に水が茶色くなり始めた。
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