第3話

「結局、シマヅの中に入らずにダンジョンの入口まで帰って来ることになっちゃったね」


結局、鬼に襲われてる大名の娘をシマヅまで送り届けた後、俺たちはシマヅの中に入らず、ダンジョンの入口まで帰って来てしまった。


「だって絶対にゆっくり町を歩いたり、屋台で食べ歩きとか出来なかったじゃん。あのタイミングで町の中に入っても」


あのまま町に入ったら、確実に大名家の屋敷に連れていかれて、歓待を受ける流れだった。それが悪いとは言わないけど。

さっき言った見たいに、ゆっくり町を歩いたり、屋台で食べ歩きしたりする方が好きだから。


「まぁ、デートって感じにはならないよね」


「そう言うこと。ダンジョンを攻略した後にもう1回シマヅに行ってみよう」


シマヅ自体には興味が有るしね。


「その方が落ち着いて町を観光できるかもね」


ダメだったら諦めよう。


「じゃあ、まずはダンジョン攻略だ!」


ダンジョンの中に入って行った。


「1階は1度確認しているから最短距離で行こう」


特に気になるものも無かったし。


そんな感じで1階は寄り道をせず、襲いかかる魔物を倒しながら最短距離でゴールを目指して移動した。ただ、前回宝箱があった場所には寄って行くことにした。宝箱の誘惑には勝てなかったよ…。しかも宝箱はその場所に無かったので完全に無駄足だった。


「階段と言うより、下に続く洞窟って感じだ」


2階へと続く場所にたどり着くと、斜め下に続いている洞窟が現れる。

水中を泳いでいる訳だし階段あっても意味無いから、いつもとは違う感じなんだろう。


洞窟を進んでいると水温が加速度的に下がっていく。


「次は寒い地域の海ってことかな」


俺もシャルも寒さには耐性有るし。水中ならそこまで温度が低いってことも無いだろうから問題ないだろう。


フロンダンジョンの6階層程の寒さにはならないはず。地球の常識が通用すればだけど。

海水は低くてもマイナス3度ぐらいが限界って聞いた事ある気がする。



2階にたどり着くとシャルがエコロケーションを広範囲に使用して、マップ把握を始める。

流石に高難易度ダンジョンの1フロア丸々エコロケーションで把握するのは大変らしく。

エコロケーションを広範囲に使用している時は、それ以外何も出来なくなる見たいなので、シャルの護衛をしておく。


「結構広いね。広いと言っても1階と同じぐらいの広さだから私の泳ぐ速度なら今日中に3階にたどり着けると思う」


「そっか。それじゃあ1階みたいに出来るだけ最短距離を行って今日中に3階に向かうか。今日は2階を探索して、三階に向かうのは明日以降にするか。どっちかだと思うんだけど、どうする?」


個人的にはどっちでも構わない。


「私はどっちでも構わないけど。コウが決めて良いよ」


いつもだったら探索しようって言うところだけど…。何となくそう言う気分じゃ無いんだよね。

かと言ってまだ見た事がない面白い物が見つかるかも知れないしって思うと探索した方が良いかな?って気もしてくる。

こういう時シャルはパッと決めてくれそうだなと思って意見を聞いたんだけど…。


「よし!今回は最短距離を行こう。探索はまた別の機会にしよう」


「じゃあ、早速移動をって思ったけど。ペンギンがこっちに突っ込んで来てる」


やっぱり水中だと突進攻撃が1番人気なんだろうか?

ペンギンは馬鹿正直に正面から突っ込んでくるじゃなくて上下左右に別れて且つタイミングを合わせて突撃してくる。

突進を交わしても、横切る瞬間にヒレでビンタしようとしてくる。水中なのにビュンっていい音が聞こえる。当たったらヤバそう。


それにしても、やっぱりペンギン可愛いな。

魔物創造が使えるようになったら、癒し要員として創造しようかな。


そんなことを考えながらシャルの超音波攻撃によって次々と爆殺される。ペンギンを眺めている。


「コウ?」


見てないで手伝えということだろう。

シャルだけでも負けないと思うけど。時間はかかりそうだからちゃんと手伝うか。

ダンジョンの魔物は仲間が倒されようと逃げたりしないからそれが厄介だよね。


丁度このダンジョンで手に入れた。ダンジョン限定の魔物避けのランプもあるけど。魔物が全く寄ってこないのもダンジョンとしてどうなの?って思うから使いたくないし。



流水の短剣に魔力を流して刀身を伸ばす。

今までは片刃の刀身を伸ばして蛇腹剣として使っていたけど。形状も魔力さえ足りるなら結構自由に変えられる事に最近気づいたので今はビームサーベル見たいに、360°何処に触れても切れる刀身に形状を変化させてめっちゃ切れる鞭として使っている。

蛇腹剣として使うより何倍も使いやすい。


ただ、この使い方、結構な量の魔力を消費するので、最低でも上位精霊レベルの魔力量が無いと使えない。


流水の短剣を使って向かって来るペンギンをバッサバッサと切っていく。


すぐにペンギンは倒しきったけど、周りがペンギンの血で酷いことになってる。自分たちの周りには魔力で水を作り出して血が混ざらないようにしてるから大丈夫だけど。

周りは血の海状態だ。


血に反応して魔物も近づいて来てるし。

急いでここから離れるか。



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読んでいただきありがとうございます。

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