第47話

「カナデさんはほっといても良いか……グラちゃんが面倒見てくれるだろう。それよりネレイド達の住処をどうするかの方が優先度高いし」


娘と感動の再会を先延ばしにされてテンションがおかしくなっちゃってるカナデさんのことはグラちゃんに任せて。

ネレイド達の住むところの相談をする。

こっちの帰ってくる前の暇な時間に聞いておけば良かった。

陸上でも普通に生活出来ることは分かってるけど。やっぱり水中の方が居心地良いとかあるかもしれないし。


「ネレイド達はどんな場所が良いとか希望あったりする?」


「やはり長く暮らすなら水中かなと思っています。水深50~100m程でサンゴが活着出来るような岩場がある場所が理想です」


そう言えば家を建てる時の土台として使うって言われて、サンゴをいくつか預かってたな。それを使える場所が良いってことだよね。


「それなら島から2キロぐらいかな?離れたところに、水深が40mぐらいで所々大きな岩がむき出しになってる砂地があったはずだから、そこを見に行ってみよう」


あそこは特に強い魔物のナワバリでもない場所だし。割と条件にあってる場所だと思う。

ネレイドの希望する水深より少し浅い場所だけど。

歓迎会の準備も終わってないみたいだし。

いい感じに時間も潰せるだろう。

イスカは準備を手伝うと言うので俺とフェムトがその場所まで案内することになった。


「そう言えばフェムト。グラちゃんが食事は出来るけど、睡眠とか排泄とか必要ない体が欲しいらしいんだけど。何とかなんない?」


普通なら寝言は寝て言えで終わりだろうけど。神様なら問題なく解決出来るだろう。その気になってくれれば。


「コウの最初期の訓練で使った実体のあるホログラムを作り出せる魔道具を組み合わせれば、可能なんじゃないかな?」


そう言えば半透明なドラゴンと戦闘させられた事があった気がする。


「とは言え何から何まで僕がやるのはあれだし。後でアイちゃんに作り方教えとくから。アイちゃんに作ってもらってね」


「了解。で、ここら辺からがさっき言ってた海域なんだけど。ネレイド的にどう?」


グラちゃんの体についてフェムトに相談していると、あっという間にネレイド達の家を建てる候補地についたので、その話は一旦中断して、ネレイドに感想を聞いてみる。


「ほぼ要望通りの場所ですね。水深的には少し浅いですが。問題なさそうです。早速土台のサンゴを活着させるのにいい場所を探して見ても良いでしょうか?」


ネレイド達もそれなりに気に入ってくれたらしい。

他の候補を考える必要がなさそうで良かった。


「勿論。俺には何処がいいのかよく分からないし」


俺がそう言うとネレイド達は一斉に散らばり各々で探索を始める。


30分ぐらいボーッと待っていると続々とネレイド達が帰ってきて、自分のいった場所はこうだったとネレイド同士で報告し始める。


いい場所が見つかってくれるといいけど、どうかな?


「コウ様、いい感じの場所が見つかりましたので、お預かり頂いている土台のサンゴをお願いします」


ここで返しても良いけど。ついて行って現地で渡せば良いだろう。

人間の小指サイズのサンゴを土台にするってどうやるのか少し気になってたし。


「ここまで来てるんだし。現地まで俺が持ってくよ」


「ありがとうございます」


ここからはネレイドを先頭に海中を進む。

数分すると、あまり凹凸のない平らで大きい岩が見えてきた。


「まずは、この場所にしようと思います」


「おっけー。それじゃあ、ネレイド達から預かってるサンゴとかドリルとか接着剤とか謎の粉とかここに出すね」


ネレイド達から預かっている物で建築ようと言われたものを出していく。


「ありがとうございます。早速土台作りを始めさせていただきます」


ネレイド達がドリルを持って岩の何ヶ所かに穴を開けていく。

穴にサンゴを設置して接着剤を使ってサンゴを固定。


固定したサンゴにネレイド達が謎の粉を振りかけると、サンゴがみるみる成長していく。


「これは確かに土台に使えるだろうな」


あっという間に上に家を数軒建てれるような巨大なテーブルサンゴに成長していた。


「サンゴも立派だけど、あの粉も凄いよね。あの粉をかけただけで、ここまで巨大化する訳だし。他のサンゴにも効果あるのかな?」


確かにこの効果がこのサンゴ限定なのかそれとも他のサンゴも増えるのか気になる。


「珊瑚と言えば、ダンジョンで採集した光る珊瑚があったな」


収納魔法から珊瑚を取り出す。


「コウ様それは?」


当然、光る珊瑚なんて目立つものをだしたのでネレイドから質問される。


「珊瑚を見てたらこれを持っていたのを思い出してね。ダンジョンで採集出来るんだけど。その粉で増やせたら楽だなって思って」



「ここまで飛躍的に成長するのはあの珊瑚のみで、他の珊瑚は少し成長の助けになる程度の効果しか無いんですよ」


ネレイド達からしたらそれでも問題ないので特に改良しようとした事は無いらしい。


とは言え珊瑚の成長剤なんてこの世界ではネレイド以外に作って無いだろうし。

光る珊瑚の養殖業もやって貰おうかな。



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読んでいただきありがとうございます。





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