第43話
セレンさんの部屋から離れながらカナデさんが人を堕落させる最終兵器と説明した人をダメにするソファーについて話していた。
「人をダメにするソファーなら普通にそう言ってくれればいいのに…」
人を堕落させる最終兵器なんていかにもヤバそうな言い方をする必要無かったじゃん。
あと、俺も欲しい。
「あながち間違いじゃないと思いますけどね。結構真面目そうなセレンさんがあそこまでダラケさせてるんですし」
真面目な人だってだらけたくなる時はあると思うよ?
人をダメにするソファーが無くても。
「でも、セレンさんだけじゃなくてネレイド全員がああなってるって考えると…多分普通じゃ無いですよね」
そう言われると、そんな気がしてきた。
「とりあえず。実際に効果を試してみたいよね」
と言っても、今さっき仕事をお願いしたカナデさんに頼むのも悪いし。
「マスターの部屋にも、そのソファー設置されてますよ」
グラちゃんから施設のスピーカーを使ってそう教えて貰った。
すでに自分の分が用意してあるのは嬉しいけど。
グラちゃんにこっちの会話が筒抜けなんだけど…。
「グラちゃんについては今更気にしても仕方ないか…」
部屋に戻ってソファーを試さないと。
「おー大きい。ベットにできるサイズ」
セレンさんの部屋にあったのは70cmの正方形だったけど。部屋にあったのは2mはあって椅子替わりにするだけじゃなくてベットにもできるサイズ。
人をダメにするソファーに飛び込む。
これは想像以上にヤバい。全身をビーズクッションに包まれて何もやる気が起きなくなった。と言うかプラスチック的な素材もこの世界には存在するのか。
「ちょっと大丈夫ですか?やっぱり効き目がおかしいですよねそのソファー」
イスカがそう言ってソファーから俺を起こそうとしてきたので、逆にソファーへ押し倒す。
イスカもソファーの魅力に一瞬で完全敗北した。と言うか俺よりもソファーの魅力にやられている。
ソファーに横になった瞬間眠ってしまった。
「俺も寝よう…」
どうせやる事ないしと 。このまま寝てしまう事にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーグラちゃん、カナデー
「博士あのクッション普通じゃないですよね?何をしてあるんですか?」
グラちゃんから見ても、いくら体にフィットするソファーだとしても、アレだけ直ぐに効果が出るのはおかしいと思ったらしい。
「ダンクルオステウスの軟骨をビーズに加工する時にそのままだとしてちょっと生臭かったから、匂いとりを兼ねてリラックス作用のある花の香油を混ぜただけなんだけど。私の想像以上に効果が出てるみたい」
カナデさん的には生臭さを抑えるついでにちょっとしたアロマ効果が有れば良いなぐらいの気持ちだったらしい。
「リラックス効果作用しすぎでしょう……ちなみにどうしてここまで効果が出るのか理由はわかってるんですか?」
「それが全く。ただ私が回収しに行くとミイラ取りがミイラになるのがわかりきってるし。後でグラちゃんがロボットを遠隔操作してクッションを回収しておいて。今は私たち以外やること無いし、直ぐに回収に行かなくて良いからね」
「わかりました、その通りに。それにしても人を堕落させる最終兵器…その通りの効果ですね。見た目は全く兵器に見えないのもポイントですよね」
「そんな兵器として作るつもりはなかったんだけどね」
結果として1度使うとリラックスして抜け出したく無くなる兵器じみたビーズクッションが完成してしまった。
「と言うか。効果が分かってるんなら。なんでマスターにそのまま使わせたんですか?」
「チートっぽいコウダイくんなら効かなかったりするかな〜と思って」
「結果瞬殺でしたね。ある意味最強の兵器なのでは?」
ビーズクッションは今後グラちゃんに神すら無力化できる最強の兵器として認識されることになってしまった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーコウ、イスカー
「凄いなこのクッション何時もより疲れが取れた気がする」
人をダメにするソファーから立ち上がって伸びをする。
ホントに寝るだけの時はこれをベットにしようって思えるぐらいに寝心地が良かったし、体も痛くならない。
どのぐらい寝てたのかな?とスマホの日付機能を確認すると30時間ぐらい1度も目を覚まさずに寝ていた事が判明した。
寝心地が良すぎて起きなかったってレベルを超えてるレベルで寝ていたらしい。
多分だけどイスカもそうだよね?
未だにスースー寝息をたてているイスカをみて1度起こした方が良いかと肩を揺すって声をかける。
「起きない…」
どれだけ揺すって声をかけても起きない。
ほっぺを軽くぺちぺちしても起きないし。
流石にこれは可笑しいのでは?
とりあえず、クッションが原因としか考えられないので、お姫様抱っこでクッションから離してみる。
お姫様抱っこ状態でイスカに声をかけるとモゾモゾ動き出して、目が合った。
「おはよう」
「おはようございます。私、コウさんに押し倒されてから記憶が無いんですけど…。本当にあれはただのクッションなんですか?」
とりあえず、俺も普通のクッションでは無いと思うので製作者に話を聞きに行こう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます