第42話
「これはまた、いっぱい連れてきたね?」
当初の予定では今回の作戦が終われば、この世界でやることは終了。俺の暮らしている世界に移動って流れだったのに。何故か、追加で人を連れてきたから、なにか追加でやる事が増えたと察したわけだ。
「まぁ、面倒臭いことになってるみたいで……。詳しくはグラちゃんが説明してくれます」
上手く説明できる自信も無いし。グラちゃんに説明する。実験資料を読んでるのはグラちゃんだけってのもあるし。
グラちゃんも最初から自分で報告するつもりだったようでスラスラと報告を始めた。
報告を聴きながらどんどん機嫌が悪くなっていくカナデさんがちょっと怖かったけど。
「ほんとに馬鹿なことをするよね。人間の死体に乗り移って操縦してるってことで良いのかなグラちゃん?」
「概ねその通りかと死体に自分の魂を定着させても、死体が生き返る訳ではないみたいなので。その代わりに防腐処理等の死体だとバレない様に偽装する方向に努力してる見たいですね」
今初めて詳しく聞いてるけど。死体を使ったゴーレムみたいな感じなのかな?
「ってなると対策は割と簡単かもね。コイツらが死体だとバレないように 使ってる機械を調べて、その機械だけを機能停止させる物を作れば良いだけだから。そしたら勝手にサーモセンサーとかに引っかかってくれるでしょう」
カナデさんは簡単そうに言うけど。
中々難しそうなこと言ってない?
「実際そんなこと可能なんですか?範囲漏れとか起きたりしませんか?」
「精霊石だっけ?あれとコウダイくんの魔力があれば世界全体に機械の効果を発動させれるから」
「後は開き直って死体である事を活かして人間の国を攻め始めるとか」
「多分無理でしょう。そいつらの本拠点はコウダイくんが壊してるし、それにすぐに入れ物にしている。死体が腐敗を初めて使い物にならなくなるから。本拠点に死体に魂を定着させる機械があったみたいだから。新しい死体に乗り移ることも出来ないと思うし」
まぁ、カナデさんに任せておけば何とかなるってことだろう。
実際あちこち行ってターゲットを探す必要が無いってめっちゃ楽だし。
「カナデさんが大丈夫って言うなら、その作戦で行きましょう。ちなみにどれぐらいかかるかとか予想つきます?」
「奴らの機械を見てからじゃなきゃはっきりと言えないけど。半日もあればじゅうぶんじゃない?その後、機械を1週間も起動させれば死体に乗り移った奴らは捕まるでしょう」
案外時間はかからないんだな。
「じゃあ、コイツらはカナデさんが自由にしてください。時間停止切っておきますね」
連れてきた連中に猿轡をつけてから時間停止を解除した。
絶対うるさいだろうからね。
「任せて欲しい。ホムンクルスの体に魂を定着させるために魂について嫌になるほど研究したからね。肉体は一切傷つけずに魂だけに苦痛を与えることも可能だから安心して任せて欲しい」
いわゆる精神攻撃ってことかな?
どんなに防具で防御を固めても貫通する攻撃って嫌だな。
イスカも察しがついたのか苦笑いをしている。
精神攻撃にはリバイアサンの鱗も効果が無いだろうからな。
捕まえてきた奴らのその後はカナデさんとグラちゃんに任せて。
俺とイスカはネレイド達に会いに行くことにした。
どうやら俺に暮らしている世界に連れて行って欲しいと伝えるために、色々頑張ってるらしいから。そんな事しなくてもついてきたいなら連れてってあげるよと伝えに行こうと思ったからだ。
あっちの世界の食べ物を食べさせてからネレイド全体で何としても連れて行って貰うと言う感情が日に日に強くなっているらしく。
そのせいで空回りしてちょっと邪魔だから大人しくさせてとカナデさんに言われてしまった。
それと人を堕落させる最終兵器も作ったからネレイド達にも効いているか確認してきてとも言われた。
なんでそんな恐ろしそうなもの使っての?と言う気持ちも有るけど。それだけ空回りしているネレイド達が邪魔だったんだろう。
「それにしても人を堕落させる最終兵器って一体どんな兵器なんだろう?」
精神汚染系の兵器なんだろうか?
そんな感じで深刻そうに考えていたんだけど。
イスカはそんなに恐ろしい物じゃないと思いますよ?と随分楽観的な感じだ。
「と言うかメインラボに戻ってきてからネレイド達とまだ1度も遭遇してないんだよ」
今までだったら、カナデさんの指示でテキパキ働くネレイド達とすれ違ったりしてたのに。
全員その最終兵器の餌食になってるってことでしょ?やっぱり恐ろしい兵器だよ!
「あそこがセレンさんの部屋ですね」
ノックしようと思ったけどドアが開いたままだ。
女性の部屋を覗き見するのはダメだろうと思いつつ例の兵器とやらがどんな物なのか気になるのでチラッと覗いてみる。
(人を堕落させる最終兵器って人をダメにするソファのことかよ!)
部屋を除くとタブレットでアニメを見ながら人をダメにするソファに包まれいるセレンさんを発見した。
とりあえず見なかったことにしよう。お互いその方が幸せになれる。
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