第39話

「おーロボブレインに囲まれている!」


罠が有るのは分かってるけど。罠ごと力でねじ伏せれば良いだけなので、そのまま敵の本拠点に転移装置を使って移動する。

グラちゃんなら発動しないように罠もハッキング出来るだろうけど。

罠をあえて発動させて、正面からねじ伏せた方がロボブレイン達に精神的ダメージを与えられそうだし。


ロボブレイン達は自分たちの技術力に絶対の自信を持ってそうだし。


「なるほど。マジックジャマーって範囲内にある魔力を吸収する機械なのか」


マジックジャマーは空気中の魔力を吸収する機械らしい。

なので魔法を使おうと魔力を集めると、その魔力が吸収されちゃうから魔法が発動しなくなるって仕掛けみたいだ。

実際にはもう少し複雑な感じがするけど。

ニュアンス的にはそんな感じだ。

それの吸収した魔力もマジックジャマーの起動に必要な燃料にしたりと有効活用されているみたいだ。

機械としては凄い完成度だと思うな。


「多分だけど。マジックジャマーの魔力吸収速度より多い魔力を使って魔法を使えば…ほら!発動した」


マジックジャマーの範囲内なので俺の事をいつでも排除出来ると慢心して、俺が何をするのか監視していたロボブレインのうちの一体を魔法を使って氷漬けにした。


「何故だ!マジックジャマーの効果範囲内なんだぞ!何故魔法が使える!」


ロボブレイン達が騒がしくなった。

どうしてって?魔法が使える理由は声にだしてた筈なんだけど?


「だから言ったじゃん。マジックジャマーの魔力吸収速度を超える魔力を使えば魔法が使えるって」


わざわざ教えてあげる必要はないんだけど。教えた方が面白そうなので、どうやって魔法を使ったのかもう一度教えてあげる。


「マジックジャマーの魔力吸収量を超える魔力を使って魔法を使うだと!有り得ない!

アビスサーペンですらマジックジャマーの範囲内では魔法が使えなかったんだぞ!」


なんかロボブレインがブチ切れてる。

人間の体だったら地団駄踏んでる勢いだ。

それと、アビスサーペントがどんな魔物かしらないけど。

魔物如きと一緒にしないで欲しい。


「有り得ないって言われても。実際それで使えてる訳だし。そうそう。俺が好きな漫画のセリフにね『ありえないなんてことはありえない』ってのがあってね?」


あの漫画はこのセリフ以外も大好きで何度読んでいる。


「ふざけやがって!良質な素材だからできるだけ傷をつけないように手加減したら、勘違いして調子に乗りやがって!」


これ以上会話する必要はないな。最初から必要無かったけど。


「そっくりそのまま、その言葉を返す。調子に乗るなよ?」


思いっきり殺気を放って威圧する。

ロボットの体じゃ殺気を使った威圧なんて効かないかな?ってちょっと思ったけど。どうやらそんなこと無いらしい。


「そもそも第二拠点の転移装置が乗っ取られるまで、俺が施設に侵入しているのに気づけ無かった時点で。何かおかしいって思ったりしないのかね?」


そう言うとロボブレインは更に喚きはじめる。

癇癪の付き合うつもりも無いし。

ロボブレイン達を氷漬けにする。


「脳みそを破壊すれば大丈夫かな?」


唯一の生体部品だし。それを壊せば復活することも無いだろう。


「よし、これでこの場にいるロボブレインは排除終わり。後は残りを探しつつ、例のエンジンを破壊しないと…。そう言えばこの拠点には人工知能いないの?」


真・ライン帝国を補助する人工知能が居たはずだし。その人工知能の本体もここにいるんじゃ無いの?



「それについてはこの拠点のシステム全般を掌握する時に抵抗してきたので消滅させました。マスターの目的のエンジンまでの道も確認済みです」


俺の知らないところで、グラちゃんと敵人工知能の戦闘がおきて、既に終了していたらしい。


「そうしたら、もう警戒する必要無かったりする?」


「そうですね。ロボブレイン自体に大した戦闘力は有りませんし。私がシステムを掌握した為、残ってるロボブレイン達は逃げることも、防衛設備を起動して足掻くことも出来ません」


グラちゃんがこの拠点の情報を整理して確認した結果。

ロボブレインの数は以外に多く合計で200程度存在しているらしい。


ホムンクルスの身体を作ってそこに魂を定着させるより。機械に脳と魂を移植する方が難易度が低いらしい。

どうして難易度が変わってくるのか、詳しいことは研究者じゃない一般人の俺には分からないけど。

結果として200を超えるロボブレインが誕生しているんだから。そう言う事なんだろう。


「そう言えばロボブレイン達は俺を素材として入手したとして、どうやって生身の肉体を手に入れるつもりだったんだろう?」


ロボブレイン達が俺を素材として手に入れようとした理由は俺が手に入れば生身の肉体が手に入るからだったはず。

具体的にはどうするつもりだったんだろうと少し気になってしまった。


「それに関しての資料も既に入手しているのですが。少々厄介なことになっております」


厄介事か…。この拠点潰せば終わりだと思ってたのにまだ終わらなそう。




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読んでいただきありがとうございます。



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