第38話

「突然、頑丈そうなドアが出てきたな。無駄に長かった階段もようやく終わりか?」


岩むき出しで最低限しか整備されていない地下への階段を1時間ほど下り続けているとようやく終点が見えてきた。


「この長さ侵入者対策ですかね?」


結構な距離歩かされたもんな。侵入者が入ってきた場合。通路で倒しきる為に長いのかも。本当はトラップとかもいっぱい設置されていたりするのかもしれない。

今回は時間が止まっている為何も発動しない、ただ長いだけの通路になってしまった訳だが。


頑丈そうな金属の扉を破壊してロボブレインたちの拠点兼研究所の中に侵入した。


「ロボブレインだけじゃなくて普通の人間もいるんだね。俺はてっきりロボブレインしかいないのかと思ってた」


ロボブレイン達の拠点には高そうな服を着た人間が何人もいた。こいつらはスポンサー的な奴らか?


「概ね、寿命を伸ばせる技術をチラつかせて取り込んだ権力者や金持ち連中でしょう。ロボブレインの姿では目立ちすぎて外なんてだられませんし。生身の人間もコマとして必要だと判断したのでしょう」


そもそも、真・ライン帝国を裏から操ってるみたいだし。生身の人間がいるのも当たり前か。


「これが転移装置です。マスターが時間停止を解除し次第ハッキングを開始します」


ここまでの道のりで見つけたロボブレインは全部壊してあるし。生身の人間は無理やり連れてこられたって感じの人はいないっぽかったけどとりあえず。研究所にあった牢屋に1人づつぶち込んでおいた。

なので時間停止を解除しても直ぐに襲われることは無いだろうけど。その前にひとつやっておく事がある。


「この島は皇帝が住む島で真・ライン帝国で最大規模の軍港もあるんでしょ?転移装置が見つかったなら、先に軍港をめちゃくちゃにしておきたいんだよね」


一度来た場所なら自分の転移で自由に移動できるし。


「畏まりました。ではそちらを先に済ませてしまいましょう」


必要のないことと言えばそうだけど。ロボブレイン達が力を貸してしまったせいで、他の国より数段国力が上がっちゃってるだろうし。

軍事施設を破壊して国力を落としておいた方が良いだろう。

その結果、他国から攻められることになって真・ライン帝国が滅びる可能性も有るけど。

今まで周辺国と仲良くしてきたんならそんなことにはならないだろう。

滅びるような事があれば自業自得という訳だ。

何もかも俺に喧嘩を売ってきた真・ライン帝国がいけない。たとえそれがロボブレイン達の命令だったとしてもだ。


転移でスロットマシンのある地上の建物まで転移して軍港目指して歩いていく。


軍人がマシンガンを持って警備している横を堂々と横切り軍港の中に入る。

潜水艦から戦艦まで大量に配備されている光景は圧巻だ。今からひとつ残らず破壊するんだけど。


と言う訳で軍港にあるものを片っ端から破壊していく。

拳銃とかまで念入りに破壊したので、結構時間がかかってしまった。


「よし、これで真・ライン帝国への仕返しは終了」


軍港の破壊っぷりをみたグラちゃんは「他国から攻められる以前に民衆の革命や貴族の叛逆が頻発して自滅するんじゃ無いですか?」と言っていた。


俺としては仕返しは終わったので、あとはどうなろうと知ったこっちゃない。

巻き込まれる国民は可哀想かなって思ったけど。国民自体も自国民以外を差別するような性格らしいので気にしないことにした。


転移を使って軍港からロボブレイン達の第二拠点にある転移装置の前まで移動する。


「ここからが本番だね。じゃあグラちゃん3…2…1で時間停止解除するよ」


そこまでタイミングを測る必要は無いかもしれないけど一応。


「承知しました」


「じゃあ、行くよ!3…2…1!」


声に合わせて時間停止を解除した。

見た目上は何も変わってないけど。機械が動き出して、グラちゃんがそれを掌握するために色々やっているのだろう。


「マスター、イスカ様この拠点の防衛設備が1部起動しました。と言ってももう嫌になるほど倒した。おなじみの戦闘ドローンなのでマスターとイスカ様で排除してください。その方が早く終わりますので。ちなみに地上は軍港が大爆発を起こしたせいで島中パニックです」


グラちゃん。転移装置の掌握以外にも手を出してるみたいだし。結構余裕そう。それだけカナデさんのアップデート作業で性能が上がったってことか。


その前は真・ライン帝国の情報取得すら難しいって言ってたのに。今ならその程度片手間でできるようになってるみたいだし。

性能上がりすぎじゃない?

味方だから頼もしいけど。

地上もいい感じにパニックになっているみたいだし。ロボブレインの協力者達が地上から襲ってくる事も無いだろう。


次々と襲いかかってくる戦闘ドローンを破壊しつつグラちゃんの仕事が終わるのを待っていると仕事が終わったらしくグラちゃんが話し始めた。


「おまたせ致しました。これで安全に敵の本拠点に転移することができます。ですが、敵はマジックジャマーを展開して転移してくるのを待ち構えているようです」


マジックジャマーがロボブレイン達が開発した魔法を使えなくなる空間を作り出す機械だっけ?そのぐらい問題ないし。

敵が集まってくれてるなら寧ろ好都合。

堂々と転移で本拠点に乗り込んでやろう。



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読んでいただきありがとうございます。





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