第37話

「研究所や移動していた時は時間が止まっていると、それ程実感がませんでしたが。コレは…」


真・ライン帝国領にあると言うロボブレインの第二拠点を潰すために、この世界の時間を止めて第二拠点がある島まで移動してきた訳だけど。

カナデさんの研究所は時間止めて無かったし移動も海上を移動したなら波が止まっていただろうし、分かりやすかったと思うけど、水中を移動してきたし。

グラちゃんは人が沢山いる島に来て、ピクリとも動かない人間とかを見てようやく時間が止まっていると実感できたらしい。


「普段はここまでしないんだけどね。今回は元凶を逃がさないように。念には念を入れてここまでさせてもらった」


今まで世界全体の時間を止めたのは、フィアが攫われた時の一度だけだったし。

あれ?地球にいる時も世界の時間を止めた気がする?まぁ、あれは一瞬だけだったし。

ノーカンってことで。

こんな感じで、一応。俺なりにやりすぎない様に自重はしている。それでもやりすぎって言われるけど。


イスカとグラちゃんに呆れられながら、第二拠点の入口が隠されているらしい建物に向かって歩いていく。

ちなみにスロットなどのコインゲームが遊べるお店に隠し通路があるらしい。

凄い何処かで聞いたことがある感じなんだけど。気のせいかな?

まぁ、カジノとかゲームコーナーに秘密組織の施設の入口がありってお約束と言えばお約束か。


時間が止まっているので、入島に必要なチェックは全てスルーだ。

本当だったら、丸々1日かかることも割とある話らしいので、大幅な時間短縮に成功だ。

正式な手順で入島しようとしたら、下手すると入島自体を拒否される可能性もあったし。



この世界の人間が住んでたところに来たのは初めてな訳だけど。普通の家はマンションやアパートっぽい感じで現代日本風なのだが。島の奥の方には洋風で古風なお城が建っていて少し違和感がある。


お城には貴族が住んでるんだろうなと想像はつくけど。近代風に改築しないのは見えだったりするのだろうか?


そう見えるのは外だけで、中は最新の技術が使われているとかだったりするのかな?


「見えて来ましたね。あの建物のはずです」


大きな窓ガラスが設置されていて外からスロットマシンが並んでいるのが見える建物がある。


「へぇー自動ドアなんだね」


早速、中に入ろうと入口に向かうと入口がスライド式の自動ドアだった。

異世界で初自動ドアだ!とちょっとテンションを上げつつ。時間を止めている為、自動で開かない自動ドアを手動でスライドさせて入店する。


「技術的に言えば転移装置の方がよっぽど上だと思うんですけど。なぜ自動ドアでテンション上がってるんですか?」


確かにそうだけど。転移は魔法が使える異世界なら存在してもおかしくないよね?って思うんだよね。だから逆に自動ドアの方がテンション上がる。


「そんなことより、早く研究所への入口を探しますよ?一定数人が出入りする場所にあるんだから。巧妙に隠されているはずです」


イスカが秘密の入口を探すために店内を歩き回りながら、はよ探せと言ってくる。

確かにスロットマシンは人が座ってだいたいうまっている。店内はそれなりの人口密度だ。そんな場所にある秘密の地下施設への入口は巧妙に隠されているに違いない。


でも、俺には心当たりがあるんだよ。

店内に貼ってあるポスターの中でやけに剥がしたりを繰り返されてそうなものを探す。

すると案の定ひとつ何度も捲られた形跡のあるポスターがコインの両替カウンターのすぐ横に貼られていた。


そのポスターを捲ってみると一見何の変哲もない壁だけど。よく見ると1センチ四方の切れ込みが入っている場所があったので、その部分を外してみると中にはスイッチがあった。


「ビンゴ!これが入口を出現させるボタンのはず」


ポチッとな!とスイッチを押してみるけど何も起こらない。

あれ?おかしいなと何度もスイッチを押すけど何も起きない。


「コウさん?時間を止めてるんだから、動くわけないと思いますよ?入口だってそうだったでしょう?」



あっ。入口の自動ドアだって自分でスライドさせたじゃん。

時間を止めてるのに入口の開閉装置が起動する訳ないよね…。

超恥ずかしい。穴があったら入りたいってこう言うことか。


「普通に考えて床に入口があると思うんですけど。床を叩いても空洞音のする場所は無かったんですよね」


「そう言う事なら。俺に考えがある」


ついさっき最大なぽかをやらかしているので、本当に大丈夫ですか?と言う顔をイスカはしている。グラちゃんに顔は無いけど。グラちゃんからもそんな雰囲気を感じるので顔があったらイスカと似たような表情をしてただろう。


「今回は大丈夫…なはず」


案外対策されてるかもなと思いつつ。店内を水浸しにする。

すると水が不自然に流れていく床の場所があった。

水を消してから、怪しい床があるところに行ってその部分を取り除くと、地下に進む階段が現れた。


大掛かりなダミーの可能性も?一瞬考えたけど。ダミーだったところで、時間が止まっている今トラップも発動しないだろうし。危険は無いだろうと階段を降りて行った。



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読んでいただきありがとうございます。






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