第35話
こっちの世界のものしか食べないと言う制限を解除して、イスカとカナデさんと盛大に酒盛りをした。翌日はネレイド達も無事に帰ってきたので、ネレイドたちの慰労会という名目でこの日も宴会を開いた。
元日本人で、この世界の地上が水没する前から生きているカナデさんは青くない作物に何も反応しなかったけど。ネレイド達は青くないことを不思議そうに食べていたのが面白かった。
今は、グラちゃんのアップデートも無事に終わってカナデさんとグラちゃんはロボブレインの尋問を始めたので、イスカと俺は暇なのでゆっくりしている。
「一度大部隊で攻めてきてから。何も動きが無いね。もしかして懲りたとか?」
あっちがもう、戦う気が無くてもこっちからボコしに行くけど。
「それは無いんじゃないですか?旧ライン帝国の生き残り。ロボブレイン達が真・ライン帝国を影から操ってるらしいですし。ネレイド達を素材としてしか見ていない連中ですから。コウさんの事だって素材にしか見てないでしょう。絶対にまだ仕掛けて来ると思いますよ」
ネレイド達が確認に向かった研究所のいくつかにもロボブレインがいたらしく。
当然、時間停止なんてことを出来るネレイドはいないので。遭遇するロボブレインは普通に活動している。
ロボブレインはネレイドを視認した瞬間、上質な素材だと言って戦闘になったらしい。
魔法が使えなくなる厄介な機械を使って来たらしいけど。ネレイド達は魔法だけじゃなくて、槍の扱いにも長けている種族なので苦戦はしたけど問題なく倒せたらしい。
カナデさんが用意してくれた装備が良かったのもあるらしいけど。
ネレイド達がロボブレインと遭遇、戦闘をした結果。ロボブレインの中身は旧ライン帝国の貴族と研究者と言うのは判明した。
戦闘中にそんなような事を言っていたらしい。
ネレイドを良質な素材扱いするなら俺だって当然、良質な素材判定されてるだろう。
イスカはロボブレイン達は俺狙いで真・ライン帝国を使って俺たちを手に入れようとするだろうと言うわけだ。
「魔法が使えなくなる機械を使えば俺を完封できると思ってそうなところもおめでたい脳みそをしてるよな」
真・ライン帝国の勢力と戦う時は全て魔法を使って倒している。
カナデさんの予想では、その戦闘をドローンや潜水艦のカメラ越しにロボブレイン達も見ていた可能性が高いらしい。
だからこそ、魔法しか使わないならどんなに強くても、自分たちは勝てると思って。
ちょっかいをかけて来るだろうってことらしい。
魔法を使えなくされた程度で負けるつもりは無いけど。魔法より時間がかかっちゃうけど。剣1本でも殲滅できるし。
権能を使えば、その時点で勝ちだし。
「まぁ、カナデさんとグラちゃんの尋問が終われば、もっと詳しいことがわかるだろうし。色々考えるのはそれからで良いか」
ロボブレイン達の拠点の場所か。異世界から魔力を引っ張って来れる魔導エンジンの場所が分かれば、こっちから攻めることが出来る。捕まえてきたロボブレインがその場所を知ってれば良いんだけど…。
ロボブレインになっている以上、重要な施設を知らない下っ端ってことはないと思うけど。
「はぁ、コウダイくん。何か甘いものちょうだい。出来ればチョコを使ったものがいい」
疲れた様子のカナデさんがこちらに向かってくる尋問が終わったのかな?あの感じからして、ロボブレインの中身は相当面倒臭いやつだったんだろう。尋問に立ち会わないで正解だったな。
チョコを使ったお菓子が欲しいと言われたので、チョコ味のパウンドケーキを渡す。
「おお!お願いしてみるもんだね。この世界にはカカオが無かったから。無理かな〜って思ってたんだけど」
先までの疲れたって表情からニコニコして嬉しそうにパウンドケーキを食べ始めた。
直ぐに現実に引き戻す必要はないかと自分たちの分のお菓子も追加で収納魔法から取り出して。
カナデさんが満足するまで待つことにした。
「悪いね。私が満足するまで待ってもらっちゃって」
「美味しいもの食べてるのに、わざわざ気分が悪くなるような話をするのは俺も嫌ですからね。で、どうでした?」
「ほんと最悪も最悪。アレの中身が私が大っ嫌いな研究者だった。ムカつく事しか言わないし」
なんというかご愁傷さまとしか言いようがない。
「でも、相手は不格好な機械、こっちは生身の肉体。5000年も研究を続けているのに生身の肉体すら作ることが出来ないのかって煽ったら。発狂してたのは滑稽だったよ」
なんだったらカナデさんは5000年前にホムンクルスの身体を作ることができてた訳だし。技術力の差は凄まじいものが有るよね。
「後、ネレイドやコウダイくんが手に入れば生身の肉体が手に入るとか叫んでたね」
狙う理由は生身の肉体を手に入れる為か。
分かったところでくれてやるつもりなんて無いけど。
「何に使うのか私には検討もつかないけどね」
カナデさん曰く、ホムンクルスボディは植物素材から作られた培養液で自分の細胞を増殖させて作るらしい。
寧ろ、自分以外の動物素材を使うと絶対失敗すると言うのがカナデさんの予想らしい。
実際人間では試してないけど、魔物の素材を使った実験は全部失敗したらしい。
ダメじゃん。ロボブレイン達……。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます