第33話
「それでコレを持って帰って来たと?」
カナデさんは俺が持ってきたロボブレインを嫌そうな顔で見ながらそう言った。
多分、俺がロボブレインのことを丸投げするつもりなのがバレているみたいだ。
嫌がられても押し付けるけど。
俺たちじゃ機械の身体を持った人間から情報をしっかり取れるのか微妙って大義名分もあるし。
カナデさんはそこまで分かってて逃げ道が無いのも含めて、嫌そうな顔をしているのかもしれない。
「そんな顔しないで下さいよカナデさん。せっかくお土産持って帰って来たのに」
「そのお土産のせいでこんな顔をすることになってるんだけど?」
「でも、コレを放置して帰って来て、こんなのがいたよって報告だけだったらカナデさん怒るでしょう?」
どう考えても怪しい人物?だもん。どう考えても色々情報持ってそうだし。そんな相手を無視して帰ってきたら、お説教案件だ。
「マスターの言う通りです。駄々こねても
コレは博士が対処するしかないですし、無駄な抵抗はせずに早く、それを尋問する準備を始めてください」
グラちゃんからも援護が入る。
「コレの尋問を始めちゃったら、グラちゃんのアップデートを始めるのが遅れちゃうよ?さっきまであんなに急かしてたのに良いの?」
カナデさんがグラちゃんを味方につけようと必死である。
「私のアップデート準備もそれの尋問も同時に進行で進めれば良いのです。私を作り出した博士ならそれも可能なはずです」
グラちゃんが中々鬼畜なことを言い出したぞ?
「ほんとグラちゃん容赦が無くなったよね。私目覚めたばっかりなのに過労で倒れちゃうよ?」
「これぐらいなら博士なら楽勝だろうと。
博士のことを信頼しているからです。博士は天才ですから」
博士のことをヨイショし始める。グラちゃん。
「流石にその手には乗らないぞ?真面目な話同時進行は無理だ。そのせいで細かいミスに気づかなかったとか、笑い事じゃ済まされないからね」
二兎追うものは一兎も得ず。って言葉もあるし。両方を同時に進めるのはやめた方が良いだろう。特に任せられる人がカナデさんしかいないわけだし。
「カナデさん的にはどちらが優先順位高いと思いますか?」
「まずは、グラちゃんのアップデートをしっかり終わらせる方が先かな。そうすれば、性能が上がったグラちゃんに手伝って貰えるから尋問も楽になるし」
「ならグラちゃんのアップデート優先で構いませんよ。それは倉庫にでも突っ込んで置いて構いませんし」
ロボブレインの時間は止まっているし。放置したところで何か問題が起きるわけじゃないし。
「それじゃそうしよう。今日中にはアップデートを準備が終わって、明日1日使ってアップデート作業も終わる予定だから明後日からはロボブレインの尋問を始められるよ」
とりあえず。俺は最低でも2日はやることないってことだね。何して時間潰そう。
「あっそうだった。ここに向かって戦闘ドローンと潜水艦の混成部隊が進軍してきてるから、倒しておいて」
それ、あっそうだった。みたいな忘れてたよみたいなノリでいうような事柄じゃないよね?
「だって研究所からでなければ襲われること無いし」
カナデさんの発明品のおかげでこの研究所は許可がある人以外には見えないらしい。
だからと言ってもその反応はどうなの?って思うけど。
「それじゃあ今からその混成部隊を倒しに行ってきますけど。どのぐらいの数なんですか?」
「潜水艦10隻に戦闘ドローンが50万」
「そんな数。堂々と海の中進んで来てるの?」
そんなの直ぐに見つかって国際問題に発展しそうなもんだけど。
もしかしてここ以外にも同時に攻撃をしている?
「潜水艦はそれぞれ別の海路でこの海域で現地集合。戦闘ドローンは5000年には作る技術があった異空間コンテナって言ういっぱい収納出来るコンテナが潜水艦に積んであってそこに詰め込んで来たみたいだよ」
最初っから大勢でゾロゾロ来たんじゃなくて現地で大部隊を展開したのか。
戦闘ドローンは機械だから収納系のスキルとか道具にしまえる。
これもドローンの利点か。
「ドローンの物量でここを探してるみたいだけどまだまだだね。明後日の方向を探索してるよ」
まだまだ見つかりそうにないって言うのは朗報だけど。見つかったらどうするつもりだったんだろう?
「そう言えば、カナデさんがピックアップした研究所をまわって貰ってるネレイド達は大丈夫なんですか?」
戦闘ドローンに捕まったりしていないか心配。
「ネレイド達には、敵勢力の殲滅が完了するまで近づかないように通達をしているよ。ちゃんと被害がゼロって言うのも確認してある」
そのなら一安心。
「それとさ。まぁそこしか有り得ないかなって思ってたから聞かなかったけどさ。やっぱりその混成部隊を送ってきたのは真・ライン帝国?」
そこしか無いだろうと思ってたから聞いてなかったけど。一応確認は必要だろう。
「潜水艦に真・ライン帝国のマークがついてたから、そうだろうね」
潜水艦の映像を見せてもらうと、島にいる時に襲って来た潜水艦と同タイプだった。
戦闘ドローンも今さっき破壊してきた研究所で量産されていたものと同じ姿をしていた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます