第32話
「ロボブレイン?」
地球でやっていたゲームにそっくりのロボットを見て、ついゲームで出てきたそのロボットの名前を呟いてしまう。
「これはロボットに人間の脳を移植したという事ですか?」
そんなことしてなんの意味があるの?って顔をしながらイスカがロボットブレインを眺めている。
「俺が思いつく可能性としては2つ。1つは人間の脳を基盤として利用している」
人間の脳を基盤として利用する。マッドなロボットってゲームとかで時々出てくるし。
それを聞いたイスカがうへぇと言った顔になる。
同族の脳を素材として使うって普通嫌だよね。
「2つ目は5000年前の人間が寿命を伸ばすために自分の脳を機械に移植したか」
それだけで延命できるのか微妙だと俺は思うけど。ただ移植してあるだけじゃなくて色々施されているのだろう。
俺的にはこんな姿になってまで延命はしたくないなーって思うけど。これは俺がほぼ不老不死だからそう思えるのかも。
普通の人間でロボブレインになれば何千年を生きられるとなれば、俺もロボブレインになってたかも。
「後者の予想が合ってた場合。コレが黒幕の可能性大ですよね?」
十中八九そうだと思う。とりあえずこいつは時間停止させたままカナデさんのところに連れて行って意見を聞いてみよう。
とりあえず収納魔法にしまっておこうと思って収納魔法を発動したけど、ロボブレインは収納魔法から弾かれてしまった。
収納魔法の判定ではロボブレインは生きてる生命って判定されたようだ。
「後者の予想が合っている可能性が上がりましたね」
生きている生命体判定されてるからな。
「こいつは重要参考人として連行するのは確定だけど。五月蝿そうだよなこいつ……情報を吐かせるのはカナデさんに丸投げしようかな」
なんでだろう。時間を止められて一言も喋って無いのに、三下臭がすごいする。
そして話しているだけでイライラしてくる人種な気がする。
「相手が機械の身体と考えるとその方がいいかもしれませんね。機械に普通の拷問が効くのかわからないですし」
痛覚とか普通になさそうだよな。
機械に大して詳しくない俺とイスカが情報を吐かせようとしても上手くいかないどころか出し抜かれる可能性が高いか…。
これはカナデさんに押し付ける良い大義名分を手に入れたぞ。
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ーカナデ、グラちゃんー
「なんか凄い寒気がしたんだけど。コウダイくんが私に面倒臭い作業を押し付けるつもりな気がする」
「そんなことどうでも良いので、早く私の性能のアップデートができるように手を動かしてください!」
「昔はあんなに優しかったのに、今は随分酷い扱いをするじゃないか」
「博士はもう私のマスターでは無いので。
私はマスターの為に最善を尽くす人工知能です」
「マスター以前に私は母親だよ?もうちょっと優しくしてよ」
「マスターの為なら母親であろうと容赦はしません。ほら、博士また手が止まってますよ?」
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ーコウ、イスカー
「こいつどうやって持っていく?抱き抱えるのは嫌だし…」
カナデさんのメインラボに帰える前にこの研究所を木っ端微塵にしておく必要がある。
当然このロボブレインも連れていかないと研究所と一緒に木っ端微塵になっちゃうのでコイツも一緒に移動する必要があるんだけど。
地味にでかいし収納魔法に仕舞えないしですごく邪魔。
「念動魔法で連れてくれば良いだけじゃ無いですか?」
そっか。それで解決じゃん。
ロボブレインを念動魔法で持ち上げて後ろからついて来させる。
研究所の外に出ると気合いの入ったイスカが神獣モードを発動させてリバイアサンの姿に戻る。
長いからだにいつもは無い竜の翼が3対6枚生えていて、頭にはユニコーンみたいに立派な1本角が生えている。
幻獣種のリバイアサンは翼も角も生えて無いけど。神獣モードだと生えてくるということは、神獣リバイアサンは翼と角が生えてるんだろう。
神獣リバイアサン本人にまだあったこと無いし。いつか会ってみたいな。
そんなことを考えているとイスカの口にどんどん魔力が集まっていく。
ブレスで破壊するつもりらしい。
あんまり、研究所以外に被害を出さないで欲しいけど。ブレスだと周辺が大変なことにならない?
確認をとろうと思ったけど。1本遅くイスカから範囲を収束させてレーザービームのようなブレスを放った。
地面に着弾して地面をえぐっていく。
ある程度の深さまでブレスが到達すると爆発して砂や土、石を海底から巻き上げる。
そのせいで視界がゼロになってしまった。
人化したイスカと濁りがとれるのを待って。
研究所の場所を確認すると、綺麗なクレーターが出来上がっていた。
これなら、何も残ってないだろう。
イスカも久しぶりにブレスを使えて満足そうだし、ブレスを使ったにしては辺りに影響も無かったし、OKってことにしておこう。
後からこの場所を見つけた人は何が起こったのか、頭を悩ませることになるだろうけど。
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