第30話
ーネレイドー
「本当に上手く行きますかね?セレン様」
コウの協力者と説明されたカナデのお願いで水没した古代の研究所の調査に向かっている。数人のチームに別れて複数の研究所を同時に調査している。
「正直、上手くいく確率は半分もあればいいと思う。でも、神や精霊様がまだ存在する世界に行くためにはそのぐらい覚悟はしないと貴方だってそう納得して私について来たんじゃないの?」
セレンがネレイドのグループから離反してまで、コウのところについて来たのは勿論コウが信仰対象の精霊だったからというのも有るけど。
ほかの世界というものに興味があったから。それにコウが暮らす世界には精霊が沢山いる、ネレイドからしたら天国みたいな世界のようだから。と言う部分が多い。
「精霊が沢山いる世界と言うのは確かに魅力的ですが。着いてきたネレイドのほとんどはセレン様を慕ってついて来たんですよ」
コウには説明していないけど、セレンはネレイドの王族。ネレイドとしての実力もあって慕っているネレイドは多い。
なので、今回500人以上のネレイドがこうして、コウに協力しているのはセラス様が手伝うと言ったからと言うところが大きい。
「本人は世界を移動できてる訳なんだから可能性はあると思わない?それよりまずは今回の仕事を完璧にこなしますよ。自分たちは役に立ちますよとアピールして確率を少しでもあげないと」
この時には既にコウがフェムトに許可を得てネレイド達の異世界行きは決定しているのだが、それをネレイド達が知るのはもっと後になってからだった。
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ーコウ、イスカー
「全身宝石ってなんか成金臭が凄いよね。まぁ、お金になるし嫌いじゃないけど」
殻がオパールのオマール海老。オパール海老(勝手に命名したので、ホントの名前は知らない)を乱獲しながらそう呟く。
「でも殻しかオパールじゃ無いですし、加工できる形は限られてしまいますね。そう考えるとジュエルドールを倒す方が良さそうですね。手に入る宝石の種類もオパール1種類しか手に入らないですし」
俺と会う前は宝石なんて興味無かった筈なのに、今では宝石の虜になってしまったイスカがそう分析する。
イスカだって女性だし。それにドラゴンだからやっぱり光り物が好きなのも有るのかも?
「俺としては、オパールと言っても海老の殻な訳じゃん?出汁取れたりエビせんにできたりするのかが気になる」
宝石なのは間違い無いけど。海老の殻って言うのも確かだからね。元の世界に帰ったらディアーネさんと一緒に試してみよう。
宝石を食べるって言うので思い出したけど、琥珀糖作ったら人気が出そうだよね。それも作ろう。
「サイズは30センチぐらいしかないけど。群れで生活してるのか、いっぱい居るしじゅうぶんな量が取れたね。気に入ったらセラスに再現してもらって、ダンジョンにポップさせよう」
やっぱり知り合いにダンジョンマスターがいるのは便利だ。
「いくら海老の殻だからって宝石を料理に使おうとするあたり流石コウさんです」
褒められているのか微妙な評価をもらい。
そろそろ、ちゃんと当初の目的を達成する為の行動を始めた。
「これですね。当然、開閉ボタンが見当たりませんがどうやって侵入しますか?」
オパール海老を見つけたせいでだいぶ脱線してしまっていたが。当初の目的である、旧ライン帝国の国営研究所の探索を再開する。
堆積してしまった土砂をどかしたりして探すてみると。研究所の入口っぽいものを発見する。
「どうせ壊すんだし、破壊して中に入ろう。直ぐに氷の壁で塞げば中に海水が入ってくることも無いだろうし」
カナデさんの予想では研究所は無人だったとしても素材がある限り、戦闘ロボットを製造し続けているらしい。
流石に5000年作り続ける物資は無いと俺は思うんだけどって思ったら。
海水を触媒に増殖する金属が有るので、5000年ロボットを作り続けても物資はそこをついていない可能性が高いらしい。
この世界海水で作物が育つし。金属も増殖するし。なんかすごいな。
「良いんですか?そんな無理やり侵入したらゆっくり工場見学なんて出来なくなっちゃいますよ?」
確かに、入口を壊して侵入なんて1発で敵にバレて防衛機構が作動するだろうし。ゆっくり工場見学なんて出来ないだろうけど。
だからと言って某蛇見たいな潜入とか出来ないし。結局直ぐに見つかると思う。だったら
最初から堂々と侵入して防衛機構をぶっ潰せばいいと思う。
「それなら、コウさんの権能で時間を止めれば良くないですか?その方がもし、黒幕とかがこの研究所にいた場合に逃げられるという事が防げます」
そっか。もし、この研究所に兵力確保のために今回の黒幕がいた場合、正面から堂々と侵入したら逃げられちゃうか。
それだったら、俺が権能使っちゃえば。
逃げられないだろうしゆっくり工場見学もできる。実際にロボットを製造しているラインが動いているところが見れないのは悲しいけど。
「よし、権能を使って時間止めたよ」
これで何も気にせずに研究所を探索できる。
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