第26話

ーキュアノス島ー


「あれ?コウから念話だ」


「さっき念話してきたばっかりなのに?イスカさんも一緒にいるのにそんなに寂しいんですかね?」


アイにアイのお母さんっぽい人見つけたんだけど。と連絡するためにコウがフェムトに念話をした時。フェムトとアイは都合よく、次に何を作るか話し合いをしながらお茶をしていた。


「時間の進み方が違うからね。僕達は数分おきに念話をしている感覚だけど。コウたちからすると数日おきか長くて数週間おきに念話で連絡してきてるんだと思うよ」


「そう言えば、そうでしたね。でも時間の流れが違うって分からないから違和感が凄いですね」


「まぁ、僕達からしたら数分おきに連絡が来てるのも間違い無いしね。今回はアイちゃんに関係あるらしいよ。なになに?アイちゃんの母親らしき転移者と遭遇したって」


想像の斜め上すぎる報告を聞いて、ブーと飲んでいた紅茶を吹き出してしまう。


「わ、私の母親ですか?確かに再婚して丁度1年ぐらいで、突然なんの痕跡も無く消えてしまって世界中で話題になりましたけど。異世界に居たんですか?」


アイの母親は世界的な化学者だったので、そんな人物が突然消えたと世界中で大騒ぎになったし。世界中を巻き込んでの大捜索と言う結構な大騒動に当時なっていた。


結局、手がかりすら何も持つからず。一時期国同士の仲も悪くなったりとホントに大騒動だった。


「確認取れたって。アイちゃんの母親で間違い無いって。ちなみにあっちの世界で今から5000年も昔の時代に転移したらしく、今は自分で作ったホムンクルスの肉体に魂を定着させて生きてるみたい。見た目10代だからアイちゃんより見た目は若いらしいよ?」


自分の母親ながらツッコミどころしかない。


死んだと思っていた母親が生きていたのは嬉しいけど、なんで私より若い姿になってるの?


「なんかニチアサの変身アイテムを再現したりしてる見たいだよ?作ってる物もそっくりだね」


なんでだろう嬉しいはずなのに報告を受ける度にダメージを受けている。


「もちろん。アイちゃんのお母さんなんだからこっちに世界に連れてくるのは問題ないよ?うん、じゃあ準備をして待ってるよ。またね〜」


「アイちゃん、のんびりお茶してる場合じゃ無くなっちゃったよ。急いで歓迎会の準備を始めないと」


「そんなにすぐに帰ってくるんですか?まだ心の準備が出来てないんですけど!」


「あっちで、諸々解決してからコウと一緒に帰ってくるらしいけど。あっちで1年いてもこっちからしたら1日だからね。多分、今日中に再開する事になるよ?」


「そうだった!」


突如決まった歓迎会の準備でてんやわんやする事になるアイだった。


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ー異世界・アクア、カナデのメインラボー


「と言う訳で、娘さんと結婚させて頂いています」


コウはグラちゃんの生みの親がアイの母親であるカナデさんだと判明したので。

まずは結婚の報告をさせて貰っていた。


「まぁ、私だって重婚が当たり前のこの世界で地球にいた時より長く暮らしてるからね。別にお嫁さんが複数いるぐらいは文句は言わないよ。結婚自体もアイが望んでしたんだろうし」


アイはコウダイくんにぞっこんだったしと地球にいた時の記憶を思い出す。

学校が別になってしまってもそれは変わらなかったみたいだし。


「ありがとうございます」


「それでなんだけど。私がアイに会うことは可能なのかな?」


「あっちの神様も良いよ〜って言ってますんで会うどころか俺たちが暮らしている世界中で一緒に暮らす事だって可能ですよ」


「それを聞いて安心したけど。コウダイくんが暮らしてる世界の神様ってそんな軽い感じなの?」


「まぁ、人前に出る時とかはもっと威厳のある感じだけど。妻の1人だし。基本は人間と変わらない感じですよ」



「まぁ、色々ツッコミたいけど。意味無いだろうし。とにかく、コウダイくん達が暮らしている世界に干渉している原因を排除すれば、私もアイがいる世界に行けるってことでOK?」


「そう言う事です。時間の流れが違うからこっちで1年暮らしても、あっちだと1日しかたたないって話だし。あっちは今、大騒ぎかも知れませんね」


大慌てで準備を始めるみんなの姿が容易に想像出来る。


「いや、アイに会えるってわかったんだし。そんなに時間かけるつもりないよ?出来る事なら今日中に解決させて、そっちの世界に行きたいぐらいだし。流石に準備不足で無理だけど。特にグラちゃんより数段性能が高いって言う人工知能。それの対策は絶対。そうしないと足元を掬われかねない」


元々はそのためにここに来たんだよな。

なんか色々あったけど。


「グラちゃんに確認だけど。今の技術じゃそんな人工知能作り出せるはずがないんだよね?」


「それどころか人工知能を作ること自体不可能な技術レベルです」



「恐らく技術力が全盛期の私が生きていた時代だとしても、グラちゃんより数倍性能がいい人工知能なんて作れない筈なんだよね。

一体誰が作り出したんだか」


人工知能もだけど。それを作り出した人物も不明なのはちょっと怖いよね。




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読んでいただきありがとうございます。




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