第21話
「グラちゃんと同性能以上の人工知能が敵にいる可能性か…もし戦闘になったら機械系統は全てダメになるだろうな」
この世界は結構機械に頼った生活をしているみたいだから。人工知能に機械をハッキングされたらそれだけで国が終わりかねない。
水は沢山有るけど基本海水だから。濾過しないと飲み水が確保できないんだけど。その濾過をするのだって機械を使っている。だから濾過の機械をハッキングされ他だけで飲水が手に入らなくなる。
それだけで国に大打撃を与えられる。
塩と水の沸点の利用して手動で蒸留も出来るけど。手間がかかるし、それだけで国民全員の飲料水を確保できるとは思えない。
「人工知能を早めに排除しておくことを進言します。それとマスターの魔力をもっと使用することを許可して頂けますか?」
人工知能のグラちゃんは生命維持(普通に人間と変わらない知性感情を持っているので生命維持と言う言い方をする)のためご飯として魔力を吸収する必要がある。
なので今は俺の魔力をご飯変わりに吸収している。
俺の魔力回復量の100分の1も消費していないし、全然問題ないけど。理由は聞いておくか。
「まだまだ余裕は有るけど。どうして?」
「マスターから頂いた新たな入れ物は今までの物とは比べものにならないレベルで高品質です。なので魔力の吸収量を増やせば私の演算能力を強化出来るはずです。そうすれば1度は弾かれてしまいましたが、強化された演算能力を使えば敵の人工知能がいる場所を特定出来る可能性があります」
成程、敵の人工知能は早めに退場してもらった方がいいだろうし。グラちゃんの性能が上がるなら問題ない。
「それなら好きなだけ魔力を吸収する量を増やしていいよ」
「有難うございます。必ず敵人工知能の場所を特定してみせます」
「あんまり気負いすぎないようにね?」
人工知能がいるのは真・ライン帝国領のどこかだろうし。今のうちに1度帝国に足を踏み入れておいた方が良いかも?
そうすれば転移で直ぐに行けるようになるし。
「俺たちがどうすれば良いか。だんだんわかってきたけど。だからと言ってもう用済みだからじゃあねって訳には行かないし。最低でも研究所の探索が終了して。開拓中の島に帰るまではあんまり派手に動くことは出来ないな。ちなみにグラちゃん今の世界地図の情報とかある?」
地理について全く分からないから少し勉強しておきたい。
「情報自体は入手していますけど。情報を出力する物が無いため、提示するのは難しいです」
プリンターとかタブレット的なものが無いとって事か。この世界の機械1つも持ってないしなどうしよっか?
アイが改良して魔力で動くようにしたスマホなら有るけど使えるかな?
電話とかには使えないし。ただのカメラになってたけど。
「これって使える?」
「これは前マスターが言っていたスマホですね。この世界ではわざわざその形にする必要が無かったので。再現はされていませんでしたが…。これでも問題ありません。お絵描きアプリを起動して、地図を描来ますので。3分お待ちください」
そんなカップラーメン感覚で世界地図かけちゃうなんてさすがグラちゃん。
スマホを見ると自動でお絵描きアプリが起動して、どんどんと線が引かれていく。
ほんとに3分で完成させるつもりらしくわざわざタイマーアプリも起動させている。
「完成しました!」
タイマーがピッタリ3分で止まる。
ただ島が描かれているだけでなく、海流やらついでにグラちゃんが覚えている旧ライン帝国時代の研究所の位置まで描いてある。
これ、もし流出でもしたら大変な事になるよ?
「ありがとうグラちゃん」
「どういたしましてです。では私は真・ライン帝国の情報入手にもう一度挑戦します」
グラちゃんは精霊石をチカチカ点滅させるだけで喋らなくなった。
折角なので地図を確認すると本当に陸地が少ない。しかも島には天然、人工と記入してあり。7割は人工と書かれている。
どうやって人工で島を作っているのかも気になるけど。人工の島がなければ9割9分、海になってしまう。
陸地は少ないけど1つ1つが全て島なので俺たちが住んでる世界からしたら1貴族領ぐらいのサイズしか無い国があったりする。
そんな感じで地図を見ているとドアがノックされた。
「どうぞー」
念の為、スマホをしまってから返事をする。
「失礼します。本日の探索が終了しましたので報告に来ました」
マグラス大佐がわざわざ今日の探索の報告に来てくれた。律儀な人だなと思う。
「わざわざありがとうございます」
「いえ、ここまでお手伝い頂いておいて報告しない訳には行きませんから」
マグラス大佐のおかげで俺のグリランド王国に対する評価はうなぎ登りとまでは行かないけど。それなりに上昇している。
まぁ、異世界に干渉する機械を使っているのが真・ライン帝国だろうってほとんど確信しているからって言うのも有るけど。
グラちゃんがいるから研究所については全部分かってるようなもんだけど。折角報告をしてくれるんだしちゃんと聞いてあげよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます