第20話

「そう言えば、ダンクルオステウスどうする?」


元々ネレイド達が戦っていた魔物だし。ダンクルオステウスの素材欲しいって感じもしないし。


「精霊様のお連れ様が倒した魔物ですし。私達はほとんどダメージを与えられていませんでしたから、私達のことは気にしないでください。そんなことより、精霊様はどうしてこの世界に?」


ダンクルオステウスって素材として価値ないのかな?

1番価値が有るのって頭部を囲う装甲板だろうし。その装甲板はイスカが粉々に砕いてしまった。そう考えると素材としての価値は大暴落だろう。無理やり渡したらほんとにゴミを渡してるみたいな状況になりかねないから辞めておこう。

俺は収納魔法にしまえば良いだけだし。俺が貰っておこう。


「そしたらダンクルオステウスは俺が貰っておくよ。この世界に来た理由は、どうやら俺たちの暮らしている世界に、ちょっかいをかけてくる集団がいるみたいでね。その集団にお灸を据えるために来たの」


お灸を据える程度で済ませるつもりは無いけど。


「陸で暮らす人間はまた同じ過ちを繰り返そうとしているのですね…」


今思ったけど。セレンさん色々知ってそうだよね。


「同じ過ちを繰り返すってどういう事ですか?もしかして地上が水没する事になったのと関係が?」


グラちゃんは調子に乗りすぎて神をキレさせたから的なことを言ってたけど。


「その通りです。ネレイドが必ず受け継がれる話に、異世界からエネルギーを奪って利用するエンジンの話があります。神はそれを使うのをやめろと再三忠告したようですが。聞き入れられなかったため、地上を水没させ文明を崩壊させたようです」


そう言う事か。ネレイドは長命種。水没当時のネレイドは生きていないだろうけど。

短命種に比べたら世代交代をしている訳じゃ無いし。

まだ、それなりに正確な当時の話が残っているのかもしれない。


「同じ過ちを繰り返している集団がいるのだとしたら見過ごせません。我々にも協力させてくれませんか?」


意外なところで協力者が増えそうだ。この後の展開的にグラちゃん無双だろうし。協力者が必要か微妙では有るけど。

断るのが申し訳なくなるレベルでネレイド達のやる気がすごいし。手伝ってもらうか。


「それなら有難く力を貸してもらおうかな。でも、グリランド王国っていう地上の国と一緒に行動してるんだけど。ネレイド的に問題あったりする?」


種族間のゴタゴタとか俺は知らないし。もしかしたらそう言った問題があるかもしれない。


「精霊様が特に問題を感じていないなら、私達は問題ないです。それと私達は1度住処に戻って今回の事を伝えなくてはいけません。なのでこれをお持ちください」


セレンさんから水色の勾玉を渡される。


「それを持って頂ければ。精霊様がどこにいるかわかるようになるので、ここで1度別れてもしっかり合流できます」


何そのストーカー装備って一瞬思ったけど。

確かに後から別の場所で合流する時とか便利な道具だ。


「わかった。それじゃあ今回は、ここで一旦お別れと言う事で」


「速攻で報告を済ませて合流させて頂きます」


そう言ってネレイド達が帰って行った。

焦って無駄に怪我とかしなければ良いけど。


「ネレイドは5000年前から精霊信仰が盛んでしたから。初めて見た本物の精霊にテンションが上がっていたんでしょう」


「なんと言うか私達が暮らしている世界のエルフにそっくりでしたね。精霊に対する態度が」


やっぱりイスカもそう思った?


「マスターが精霊である以上ネレイドは決してマスターを裏切らないでしょうし。仲間に出来たのは大きいです」


まぁ、水中で生活する人種に会うのは初めてだったし。仲良くやれそうなら良かった。


その後は潜水艦に戻って後々ネレイドが俺を尋ねて来ると思うと伝えておいた。


「異世界からエネルギーを奪って利用するエンジンか…。ねえグラちゃん。これって転移者が作ったの?」


地球に帰るために異世界について研究している転移者も一定数存在していたと言っていたけど。異世界からエネルギーを奪うエンジンなんて地球に帰るのには必要なさそうだけど。


「そのエンジンを作ったのは転移者達の研究成果を悪用した研究者達です。なので技術自体は転移者達の作り出したものを利用されてしまっていますが。そのエンジンの製造自体は転移者は一切関わっていません」


その技術が流出しないようにもっと気をつけろよと思わなくも無いけど。転移者達関わってなくて良かった。


「それと、行っていたグリランド王国の調査が大方終了致しました。異世界に干渉するような機械を使っているか?と言うところに関しては99%シロです。色々悪どいことをしている貴族は居るみたいですが…」


もう終わったの?この件を頼んでから1時間ぐらいしか経ってないよ?恐るべし人工知能だな。


「有難うグラちゃん」


「マスターのお役に立てて光栄です。グリランド王国を足がかりにして他の国についても調べているのですが。マスターが怪しいと感じている真・ライン帝国ですが私のハッキングが弾かれました。恐らくですが同性能かそれ以上の人工知能が協力しているものと推測されます」


個人的にはますます怪しくなってきたぞ。

真・ライン帝国。



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読んでいただきありがとうございます。


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