第19話

「グラちゃん何が起きてるの?」


操舵室に向かうのでも良いけど。潜水艦のシステムを掌握しているであろう。グラちゃんに聞けばこのアラートの答えが帰ってくるだろう。


「どうやら、魔物とネレイドが戦闘しながらこちらに近づいて来ている見たいですね。さっきのアラートは魔物とネレイドの戦闘の流れ弾が潜水艦の障壁に当たった為、鳴ったようですね」


ネレイドってギリシャ神話の海の精霊の1種だったっけ?


「ネレイドって海で生活する人間種って事でいいの?」


ネレイドのことを知っているであろうグラちゃんに確認をとる。


「ネレイドは受肉して人間となった精霊と言われている女性しかいない種族です。受肉しているのですが。スライムのような半透明の体をしています」


精霊に近い人間って事かな?スライムみたいな半透明の体ってところとか精霊っぽいし。


「半透明ってこんな感じ?」


久しぶりに精霊化を使って体を半透明な姿に変換させる。


「マスターは精霊と人間のハーフでしたね。まさにそんな感じです」


見た目的にはまんま人の姿をしている水の精霊ってことか。精霊には魚とかイルカとか人の姿してない子もいるけど。ネレイドは人間って話だし。人型以外はいないだろう。

それで、ネレイドさん達をどうするかって話しだけど。また流れ弾がこっちに飛んでくるのは危ないし。姿が精霊に似てるらしいから

親近感も湧いて来てるし。助けに行くか。


「俺は助けに行こうと思うけど。イスカはどうする?」


イスカも潜水艦に乗ってる間はろくな運動が出来てないから。そろそろ魔物の相手でもして体を動かしたいだろうし。


「そうですね。折角ですしついて行きます」


イスカの同行も決まったのでイスカと一緒に水中に転移する。


潜水艦から200mぐらい離れたところで戦闘をしている見たいだ。


「近づいて声をかけてみるか」


いきなり攻撃して乱入するより。助けは必要か声をかけてみる方が良いだろう。

もしかしたらネレイドたちは別に苦戦はしていないかもしれないし。


「魔物の攻撃自体は避けれてるけど。有効打を与えられないって感じかな?」


ネレイドたちと戦っていたのは頭部が甲冑の様な装甲板で覆われた魚、ダンクルオステウス。

ネレイド達の攻撃はその装甲板に阻まれて、ダンクルオステウスにダメージを与えられていないようだ。


「もしもし、助けは必要?」


ネレイド達に聞こえるように大声で話しかけると。ネレイド達が振り返ってこちらをみる。


「助か━━━まさか精霊様!」


似ている姿の方が怪しまれないかな?って思って精霊化したまま来たんだけど。効果がありすぎた見たいだ。ネレイドたちは戦闘中であることも忘れて。俺の事を見て固まってしまっている。その隙を見逃さず。ダンクルオステウスがネレイドを噛み付こうと接近して行く。


「邪魔です」


いつの間にかネレイド達とダンクルオステウスの間に移動していたイスカがダンクルオステウスにかかと落としを食らわせる。

それだけで、ダンクルオステウスの頭部を覆う装甲板は粉々に砕けてしまった。


ダンクルオステウスの装甲板が砕ける音と海底に衝突した音で戦闘をしていたことを思い出したネレイド達が焦った様子でダンクルオステウスがいた方に視線を向けた。


「あの硬い装甲をただの蹴りで…」


海底でピクピクしているダンクルオステウスを見てネレイド達が驚いている。

俺的にはいくら手加減していたとしても、イスカの攻撃を受けて即死じゃなかったダンクルオステウスにビックリだ。


「救援感謝します。私はセレン、見ての通りネレイドです」


「丁度近くにいたからね。俺はコウ。種族は精霊と人間のハーフって言えば良いのかな?」


最近は亜神だとか言われたりするのから、精霊と人間ハーフって言っていいのか分からないけど。


「やはり精霊様なのですね。…まさか精霊様に直接お会いすることが出来るなんて…」


代表して俺と話している以外のネレイドも俺が精霊と人間のハーフと聞いて精霊様が目の前に…と泣き始めているネレイドもいる。

なんかエルフと同じ臭いがする。


ここまで精霊に会えて喜んでいるのは。この世界に来てから小精霊すら居なかったことと

関係が有るのかな?


「と言っても。俺はこの世界の精霊じゃないから。君たちの言う精霊様とはちょっと違うと思うよ」


もう隠すさなくても良いやってなってるので、馬鹿正直に別の世界から来たことを話す。


「それはそうでしょう。はるか昔に1部の愚かな陸の人間のせいで神と精霊は去って行きましたから」


この世界の精霊がいないのはわかってたけど。だからこそ精霊はこの世界の存在じゃないってことになるのか。

待てよ?じゃあなんでネレイド達は簡単に俺が精霊だって信じたんだ?


「君たちは精霊を見たことが無いはずだよね?そう簡単に俺が精霊って信じていいの?」


「私達ネレイドは精霊が受肉した存在と言われる種族です。だからなのか、精霊様を見た瞬間、本能でこの方は精霊で間違いないと確信致しました」


喋ってるセレンさん以外のネレイドもウンウンと首を縦に振っている。

精霊に近い存在だから、本能的に俺が精霊だと理解したわけか。



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読んでいただきありがとうございます。

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