第15話
「凄いよイスカ!パンが着色料使ったみたいに水色だよ。スライムカレー見たい」
部屋に帰る前に食事はどうしますか?と聞かれたので、欲しいって言って運ばれてきたのが。水色のパンとなにかの干し肉、ワカメみたいな海藻が入っているスープが運ばれてきた。
わざわざ着色料を使うことはないだろうし。
小麦が水色なのかな?少し見てみたい。
もしくは2次発酵させてるみたいだし。酵母を使うと着色料見たいに水色になるとか?
とにかく今は作ってもらったご飯を食べるべきだな。
「色以外は普通にふわふわしたパンだね」
海藻スープも干し肉を普通に美味しかった。
むしろ潜水艦でこのレベルの食べ物が出てくるってすごいのかもしれない。
とりあえず、潜水艦にいる間ご飯に困ること無さそうなので安心した。
「ご飯も食べましたし。後は寝るぐらいしかやることないですがコウさんが先に寝ますか?」
今日はもう、やることが無いので後は寝るだけなんだけど。流石に出会って1日経ってない人達のホームで2人同時に寝るのもあれなので、交互に睡眠をとるつもりだ。
俺もイスカもその気になれば1週間ぐらいは一睡もしなくても普通に活動できるけどね。
だとしても気分的に睡眠は取りたい。
「イスカが先に寝て良いよ。俺は漫画でも読んで時間潰すから」
日本で大人買いしてまだ読んでない漫画が沢山有るからね。
「そうですか。じゃあ先に寝ますね」
「おやすみ〜」
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グリランド王国王城
「陛下、至急話すことが出来たという事ですが」
「悪いなオルコス。どうしてもお前にも知らせておく必要があることが起きてな。まずはこの報告書を読んでくれ」
オルコスはグリランド王国の宰相。
いつも冷静な陛下から共有しなくては行けない報告書が届いたから直ぐに執務室に来て欲しいと言う珍しい連絡が入ったので、自分の仕事を中断して執務室室に訪れていた。
陛下から渡された報告書に目を通す。
「陛下?これはホントに報告書なんですか?」
正直、お茶目なイタズラと言われた方が信じられる報告の数々についそう言ってしまう。
「残念なことに異世界人以外は全て証拠が残っている。ヘッドギアからの動画が全て送られて来てるからな」
それもオルコスに見てもらうつもりだぞ。と言われてオルコスは少し気が遠くなった。
「正直私はこの2人の客人についてはそこまで心配していない。と言うか心配するだけ無駄だ。暴食クジラをお遊び感覚で討伐する人物だぞ?相手がそのつもりになったらそれで国は終わりだ。それより真・ライン帝国の動きについてだ。最近軍備増強の動きが加速したと思えば、余計なちょっかいをかけやがって」
確かに現時点では怒らせないようにしていれば、国に牙を剥くつもりが無さそうな謎の夫婦より現在進行形でちょっかいをかけてきている真・ライン帝国の方が問題だ。
ここ半年で戦艦を始め機械の性能が不自然に上昇し始めていたので、いつかはこうなると予想はしていたが想定よりだいぶ早い。
「そう考えるとこのタイミングでこの客人が訪れたのは運が良かったのかもしれないな。真・ライン帝国の戦艦の性能が半年で急に上昇した理由が、客人の捜し物かもしれない。この情報を渡すだけで真・ライン帝国の問題が片付くかもしれないしな」
「確かにその可能性は有りますが。たった半年で真・ライン帝国の戦艦の性能を何段階も引き上げた何かを私たちが手に入れることは考えないのですか?」
「そうなったら、客人にこの国が滅ぼされるだけだな。それに現在探索中の研究所からの技術や暴食クジラが手に入る。じゅうぶんだろう」
「確かにその通りでしたな」
「それと、客人の逆鱗に触れぬよう。今のうちから貴族連中に釘を刺しておけ。馬鹿が被害を受けるだけなら問題無いが怒りの矛先が国に向いたらシャレにならん」
「承知致しました。ですが、言っても聞かない連中もいると思われますがどう致しますか?」
「そう言う連中は客人を怒らせて自滅してくれると城の空気が良くなるのだが。良くなるどころか更地にされてしまっては困る。客人を王城に呼ぶのはやめておくか。…個人的には直接あって話をして見たいんだが」
オルコスも確実に何か起こると思うし。
王城に呼ぶのは辞めておいた方が良いと判断する。それと陛下の警護を今すぐに増やしておかないと行けない。
この警護は陛下を守ると言うよりかは、陛下が勝手に客人に会いに行かないように監視するための人員だ。
この御人は、誰にも告げず突然城から居なくなった前科がある。
王城には呼べないと判断した今回も客人に会う為に王城から脱走を試みる可能性が高い。
最近は大人しかったが陛下は元々活発な御人だ。若い頃さんざん振り回されたオルコスは今回も絶対何かやらかすと予想する。
「これからヘッドギアで撮影した動画を再生するのだが…。オルコス先にトイレに行ってくることを全力でオススメする」
まさかもう脱走するつもりか?とトイレに行かずに動画を確認して。リバイアサン状態のイスカのシーンで最大級の後悔をする事になったオルコスだった。
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