第14話

「マグラス大佐。ちなみに暴食クジラをあげるから、代わりに捜し物手伝って欲しいとかお願いしたら、グリランド王国は良いよって言ってくれると思う?」


割と良い考えなんじゃないかな?と思ったのでマグラス大佐に確認してみる。


「お金を出せば手に入る素材じゃないですし。悪くはないと思いますけど。捜し物の内容次第じゃないでしょうか?ちなみに捜し物とはどんな物なんですか?」


現時点では異世界に干渉出来る能力があるって事しか分かってないんだよね。生き物なのか機械なのかも分からないし。だからこそ情報を集めてもらう協力者が欲しい訳だけど。


「現時点では異世界に干渉出来る能力がある以外何も分からないんだよね。人かもしれないし、機械かもしれないし」


「ほとんど何も分からない様なものですね」


苦笑いをしながらマグラス大佐がそう答えた。


「今のところは旧ライン帝国の遺物なんじゃないかな?って思ってるんだよね。何かが原因でそれが起動しちゃったとか」


どこかの国がサルベージして使用しているとか。

こっちの世界に魔力を吸い取られてるってフェムトが言っていたから、そこから候補を絞りこめるかもしれない。

俺たちのいる世界からしたら全然気にならない量の魔力量らしいけど。この世界、魔力濃度が俺たちが暮らしている世界に比べて半分以下っぽいから。こっちの世界からしたら結構な量の魔力量を手に入れている筈なんだよね。


だから動きが活発になってる国とか調べたら案外簡単に見つかるかもしれない。


「なんか有り得ない魔力量を消費してる機械とか調べてくれると有難いかな?俺が暮らしている世界から魔力をネコババしてるみたいだから」


盗聴してたよね?とははっきり言わないけど。俺が異世界から来たって事を前提で話を進める。


「国には報告してみますが。最終的には国王陛下の判断次第になりますね」


そりゃそうか。手伝ってくれると嬉しいけど。グリランド王国が犯人って可能性もまだゼロじゃないし。


「そりゃそうですよね。」


マグラス大佐と話をしていると兵士の人が報告に来た。


「お話中、失礼します。真・ライン帝国のフラグシップに侵入した部隊も最低限の情報だけ回収して帰艦を開始すると連絡が入りました」


もうちょっと時間かかるかなって思ってたけど。案外早かったな。


「分かった。最後まで気を抜くなと返事を入れておけ」


「はっ!それでは失礼します」


兵士の人は会釈をして帰って行った。


「コウ殿侵入部隊が帰ってきたら、フラグシップもほかの潜水艦と同じように粉々に砕いて頂けますか?」


良いの?フラグシップって事はそれなりの身分を持った人が乗ってるんじゃないの?

捕虜にして真・ライン帝国に対しての交渉のカードにし無くて良いの?


「良いんですか?」


「今は捕虜をとっている暇が無いので。そのまま帰す訳にもいけないですし」


確かにわざわざ帰すのはなしだよな。

絶対ろくなことにならない。

そう言う事なら容赦なく粉々にさせてもらおう。

侵入部隊がしっかり帰ってきた事を確認してから敵のフラグシップを粉々にした。


その後は特に何かと遭遇することはなく。

研究所が有るらしい付近に到着した。


「パッと見、入口らしきものはなさそうだね?やっぱり研究所だから関係者以外には分からないように隠して有るとか?」


一見、ただ土が堆積している普通の海底にしか見えない。潜水艦のカメラ越しにしか見てないから。肉眼で確認したら何か違和感のある場所を発見出来るかもしれないけど。


それにしても隠されてる研究所って中々重要な研究所をしていた可能性高いよね。

もしくはマッドな研究。

普通の研究ならわざわざ隠す必要ないと思うし。

ただ、水没した後。土が堆積して結果隠れてしまった普通の研究所って線も有るけど。


「本当にこの短時間で海底まで到達出来るとは。…その分中々スリリングな体験をしましたが」


それに関しては正直すまんかったと思ってる。海流を操って海底まで潜水艦を運んできた訳だけど。


凄い揺れだったからね。何人か酔った人がでたみたいだし。


「それで、今すぐに研究所探しを始めるんですか?」


「今日は潜水艦で周辺の海底マップを作成。怪しい場所をピックアップする作業をしたいと思います」


なるほど。まだ、研究所がここら辺にあると言う漠然とした情報誌かなわけだし。

その状態で直接水中に出て研究所探索をしたって見つけるのに時間がかかるか。


それにここまで駆け足で来たから、船員も疲れてるだろうし。

体力的にも精神的にも。

精神的に疲れてるには主に俺のせいだとは思うけど。


「確かに怪しい場所がピックアップ出来ていれば、探索範囲を絞れますからね。となると今日のところは俺の出番はもうなさそうですかね?」


「海底には到着しましたし。水中にでる予定も無いですし。そうなりますね。ただ、我々では対処出来ない魔物が現れた場合討伐をお願いする事になりますが」


あぁ。それがあったか。暴食クジラ見たいなのが出て来るかもしれないし。

そう言う時は俺たちの出番か。


「それ以外は待機ということなら。俺たちは1度部屋に帰りますね」


俺たちがいるとしづらい話も有るだろうし。

まぁ、盗聴してるんだけど。




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読んでいただきありがとうございます。

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