第8話

「凄いね。ホントに家がポンポン建っていくね」


マグラス大佐が鹵獲した潜水艦を調査している間、見たいとお願いしていた3Dプリンター的なものを使う建築を見学させて貰っていた。


見た目はコンテナハウスにそっくり。

作られた建物のパーツが運ばれて来て建物がドンドン完成していく。


「ちなみにこれ、素材って何を使ってるんですか?」


建物のパーツは全部白。どんな素材使ってるんだろう?建物ならやっぱりモルタルとか使ってんのかな?


「鯨骨と鯨油を混ぜて作った専用素材です。建材だけでなく武器防具の素材にの使える万能素材です。当然、鯨骨と鯨油の品質によって、この硬化剤の品質も変わります。コウ殿がお持ちになられた、リリパットホエールは非常に品質が高く。人気なのですが、クジラの中では小型で動きも早く、討伐が難しい為。もし、水揚げされると、とても高値で取引されるクジラなんです」


へ〜。クジラを使ってるんだ。

そう考えると、この世界でクジラは万能素材って認識されてそう。

ついでにイスカがとってきたクジラ、リリパットホエールだっけ?の情報も知れたし。

クジラは陸で暮らす人にとってかなり重要な資源みたいだし。そのクジラ中でも優秀な素材になるなら高値が付くのも納得。


そんな事を考えてる間にコンテナハウスが完成していた。

今はコンテナハウスの中に家具が持ち込まれてる。

コンテナハウスと同じ素材っぽいから家具も3Dプリンターで作れるらしい。

硬度とか重さとかどうなってるんだろうな。

機会があったら試させて貰おう。


「あっ。マグラス大佐だ。こっちに向かってきてるから。潜水艦の調査は終わったってことかな」


強化外骨格アーマーを装着したまま早歩きぐらいの速度でマグラス大佐がこちらに向かってくる。

なんか少し焦っとるようにも見えるな。

調査した潜水艦でまずい情報でも手に入れたのかな?

それでいて俺に説明しなきゃいけない情報って考えると。真・ライン帝国も旧ライン帝国の遺物がこの海域にあるって嗅ぎつけていたとかかな?

真・ライン帝国に遺物をサルベージするために、今から遺物が発見された場所まで、俺たちに案内して貰いたいとか。

真・ライン帝国って名乗ってるぐらいなんだから技術力は高そうだし。

何となくこの世界が別の世界に干渉を始めた原因なきもする。真・ライン帝国がサルベージした遺物に異世界と繋げることができる装着があったとか。

そうだったら楽なんだけどな。真・ライン帝国を潰すだけで問題解決するから。


「マグラス大佐何やら焦っている様ですが。潜水艦でなにか問題でも?」


ひとまず、単刀直入に何があったのか聞いてみる。俺たちの力を借りたいなら。状況を説明してくれるだろう。


「真・ライン帝国の潜水艦を調べた結果。どうやら連中は旧ライン帝国の研究所がこの海域に沈んでいると言う情報を何処から入手したようで。その研究所の調査が目的でこの海域に訪れていたようです」


研究施設ねぇ。研究施設って考えるとなにかヤバそうなものが眠ってそうだ。なんの研究をしていた研究所かにもよるけど。魔導車と違って国同士の戦力図を大きく替えてしまうものが研究所にあってもおかしくない。


もしそんな物を潜在的敵国の真・ライン帝国に渡す訳には行かないという事だろう。

まさか研究所みたいな重要そうな施設が有るとは……そこまでは想像してなかったな。

とはいえ、俺に協力して欲しい。と言うのは同じだろう。古代文明の研究所って俺も気になるし協力するのも有りだろう。


研究所の情報を一般人に知られるのは不味いから、一通り終わったら『騙して悪いが』ってされる可能性も考慮する必要があるけど。

敵対してきたらそれ相応の報いを与えれば良いだけだし。まぁ 、そこまで警戒する必要は無いだろう。


ただ、そんな気も起きないように軽く脅しておくのもありか。

色々考えるより、マグラス大佐と話を進めるのが先だな。


「わざわざ、その情報をこちらに伝えてたという事は、その研究所まで俺たちに同行して欲しいという事で間違いないですか?」


「その通りです。我々のみでは、凶暴な海洋生物が多数存在する深海に向かうのは無謀です。だからと言って本国からの増援を待つと真・ライン帝国が研究所に辿り着いてしまう可能性が高い。なので、たった2人で海底までたどり着ける。コウ殿とイスカ殿に調査の協力をお願いしたい」


答えは決まってるし。こういう時、イスカは基本コウさんが好きに決めてくれれば良いってスタイルだから、確認の必要はないと思うけど。一応イスカの方を見ると、どっちでも良いって顔をしてたので、マグラス大佐のお願いを聞いてあげようと思う。


「そう言う事なら是非、協力させて頂きたい」


「有難うございます。申し訳ありませんが一刻も早く研究所に辿り着きたいので、すぐに潜水艦に向かって頂きたいのですが」


一刻も早く研究所に辿り着きたい?なら丁度いい。俺たちと敵対するなよ?と言う意味も込めて、リバイアサン状態のイスカに潜水艦を運んで貰おう。潜水艦を頭に乗せるのは嫌がるだろうけど口に咥えてとかなら許してくれるだろう。


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読んでいただきありがとうございます。









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