第9話
「マグラス大佐。急ぎと言う事ならイスカに潜水艦ごと研究所があるという場所に連れて行って貰いましょう。大幅に時間が短縮出来るはずです。イスカが元の姿なら魔物もよってこないでしょうし」
俺がそう言うと、マグラス大佐は何を言っているのか分からないって顔をしてるけど、イスカはやっぱりそうなるんですねと言った感じでジト目をしてこっちを見てる。
「イスカが潜水艦を咥えて研究所のある地点まで潜ってもらえば1時間もせずにたどり着けると思いますよ。と言っても実際に見て見ないと何を言っているのか理解出来ないと思いますので海に行きましょうか」
まぁ実際に見せた方が早いだろう。
マグラス大佐を後ろから押して海岸まで移動した。
「じゃあイスカよろしく」
はーいと言いながらイスカが海中に潜って行った。
「先に言っておきますけど。絶対攻撃しちゃダメですよ?」
先に言っておかないと攻撃されちゃうかもしれないし。
そう言えばハジメくん達に初めてリバイアサンの姿を見せた時、みんな気絶しちゃったんだっけ?
でも、あの時は強力な敵に遭遇しても怯まない練習を兼ねてたからイスカもハジメくん達に対して威圧してたし、今回は本当にただ、リバイアサンの姿を見せるだけだし、大丈夫だろう…多分。
少し待っているとザバーンと大きな音を上げて、リバイアサンの顔が水中から出てきた。
俺以外の人は声も出せないぐらいに驚いて1歩も動けなくなっているみたいだ。
威圧はなしだから気絶はしなかったか、良かった良かった。
「あれが彼女の本当の姿です。いつもは俺に合わせて人間の姿をしてくれてるんですよ。って言うことであの姿のイスカに潜水艦を咥えて貰えば海底まですぐですよという事です。理解出来ました?」
大丈夫ですかーと肩を叩きながら話しかける。
「いや、流石にそれはちょっと……」
どうやら、イスカに咥えられて潜水するのは抵抗があるらしい。
別にイスカは人間食べたりしないんだけどね。
「これが1番早いと思うんだけどな。それがダメって言うと、後は俺が海流を操作して海底まで運ぶぐらいですかね」
潜水艦で普通に進むよりかは格段に早いけど、イスカに比べたら全然早くないんだよね。
「それが良いです!ぜひそちらにしましょう」
マグラス大佐が俺が海流で運ぶ方を猛プッシュしてくるので、「こっちだと時間がかかりますよ?潜水艦が普通に潜航するよりかは早いですけど」と説明しても「通常より早いだけでもじゅうぶんですから」と言うので。
「そこまで言うなら分かりました。俺が海流で潜水艦を運ぶ方で行きましょう」と言うと泣いて喜んでいた。どんだけイスカにパックンされるのが嫌だったんだ。
「イスカー戻ってきてー」
結局、俺が海流を操作して連れて行くことになったので、イスカに戻ってきてもらうため大声で戻っておいで!と声をかける。
リバイアサンの頭が水中に引っ込んで少しすると人化したイスカが水中から戻ってくる。
ただいま!と抱きついてきたので、おかえりと抱きしめてあげる。
その時に俺が海流で運ぶ事になったって伝えたら「そうでしょうね」と当然でしょうと返された。
「そう言えば、鹵獲した潜水艦とその船員はどうするんですか?」
部下を何人かは島に置いていくだろうけど。
数は大幅に減るし、潜水艦も無くなる訳だから、もし何かの拍子で氷が溶けてとかなったら大変だし、砕いておいた方が良いかな?
「捕虜として扱わず、ここで処理してしまうとそれはそれで問題になってしまうので、我々が戻ってくるまで、あのまま放置ですね。確認なのですが、コウ殿が魔法を解除しない限り、氷は溶けないんですよね?」
「火で温めたり、ハンマーで砕こうとしたぐらいじゃ、なんともないよ」
念のため権能を使って氷漬けになってる帝国兵の時間を止めておいたし。神が出張って来ない限り溶けることは無いだろう。
「今はその方が助かります。ただでさえ人員が足りないので」
まぁ、本来島の開拓が軌道に乗るまでの簡単な護衛任務だったろうに。色々と巻き込まれてるっぽいしな。
できるだけ早く研究所の探索を終わらせて島に帰って来れるように頑張らないと。
「すみません。それと、鹵獲した潜水艦を海上に戻してもらって良いですか?システムの掌握も終わったので、島の防衛に活用します」
潜水艦が有ると無いとでは戦力は大きく変わってくるだろう。
持ち上げて海に戻すぐらい大した手間じゃ無いし。念動魔法で海に戻しておいた。
これで出発前に島で、俺がやっておくべきことは無いそうなので潜水艦の中に向かった。
「思ってたより広い!」
何かもっとなんの意味があるのかわからないパイプが通路に何本もあって圧迫感を感じるのかなって思っていたけど。
通路も普通に大人が3人横1列で歩いても問題ないぐらい幅があるし。
もしかしたらバラストに水を注水して潜航する潜水艦じゃ無いのかも。
バラストタンクが無いだけで艦内が結構広くなるだろうし。
科学だけじゃなくて魔法も存在してるし。
操舵室に行ったら、どう言う原理潜航するのかそれとなく聞いてみよう。
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