第6話
「魔導車のサルベージ!良いのですか?御二方なら別に我々と協力しないでもサルベージ出来るのでは?」
旧ライン帝国製の魔導車がまだ沢山有るので
共同でサルベージしないか?と持ちかけると
最初こそ興奮した感じだったが、直ぐに俺たちに共同でサルベージする利点無いよね?と気づき、何故共同でサルベージすることを提案したのか若干警戒されてしまった。
俺としては魔導車が高性能そうなことは確かだけど、武装とかは無さそうだし。
魔導車を餌にこの世界の技術力を確認しようかなって思ったんだけど。これをバカ正直に言う必要は無いし、なんか適当な言い訳でもしておくか。
「陸で暮らす人からすると価値のあるものなのでしょう?でも、俺からすると、まだそこまで価値のある物じゃないんですよね。それに1台1台魔導車の中を掃除するのも面倒臭いですし。情報提供料を貰えるだけで、じゅうぶんって思っただけです」
言ってて流石に適当すぎるなって思ったけど。もう言ってしまったものは仕方がない。
このまま押し通そう。
「成程。価値観の違いですか…。潜水艦を動かすとなるとクルー達にも確認してからでないと行けないので、返答は少しお待ち頂けますか?」
完全には納得していない感じだけど。詳しくは聞かないでくれるって感じだな。
「もちろん。時間はいっぱい有りますし」
それにあちら側からしたら、俺が魔導車が沢山あるって騙してる可能性も考えてるだろうし。即答は出来ないよな。
「もう少しお話をしていたい気持ちもあるのですが、そろそろ御二方の住居を用意するよう指示しないと日が暮れるまでに住居がご用意できなくなってしまいますので、ひとまずはこれで」
俺も話すの疲れてきたなーって思ってたしちょうどいいや。
「分かりました。ちなみにその建築を邪魔にならないところから見学することは可能ですか?陸の人達がどうやって家を建てるのかちょっと気になって」
正しくは陸の人間と言うよりかこの世界の人間の建築がだけど。
「問題ないですよ。ですが、機械でパーツを作って組み立てるだけなので、面白みはないと思いますが」
3Dプリンター的なものでパーツを作って組み立てるって事かな?
それなら3Dプリンターがパーツを作っているところを見学したいかも。
「全然問題ないです。俺からしたら知らないものだらけで見ているだけで面白いので」
「分かりました。それでは後ほど案内をさせていただきます」
「ありがとうございます」
話も終わったし、取り敢えず中立ぐらいの関係としてやって行けるかな?と思っていると
水中からこちら目掛けて物体を確認。
形からしてもしかしなくても魚雷かな。
直ぐに魚雷の前に氷の壁を作り出して防御する。
狙いはここにいる人物の中の誰からしい。
「全員衝撃に備えてください!」
そういった瞬間、氷の壁に魚雷が到達して大きな爆発を起こして水柱が上がる。
「さて、こんなことをしてくれたお馬鹿さんはどこにいるのかな?」
この世界の人も魔力を持ってるから魔力感知しかして無かったから魚雷に気づくのが遅れた。
どこかに魚雷を使って攻撃してきた奴らがいるはず。
あたりの海水に魔力を浸透させて水中で動く物体を探す。
「多分、こいつだな」
この場所から全力で後退していく潜水艦を見つけたので、念動魔法で捕まえて、海上に引っ張り出す。
「マグラス大佐。この潜水艦が攻撃してきたんだと思いますけど、見覚えありますか?」
そう声をかけると何が起きてるの?って感じで口をあけたままのマグラス大佐がはっとなって喋りだした。
「潜水艦に描かれている、あのマークは真・ライン帝国のマークです」
真・ライン帝国ねぇ。過去、世界で1番の技術力を持っていたライン帝国の正当な後継国だと主張している国ってところかな。
そう言う国って偏見だろうけど。大抵ろくな国じゃないと思うんだよね。
不意打ちで魚雷撃ってくるぐらいだし、今回に関しては当たってると思うけど。
「ちなみにその真・ライン帝国とグリランド王国は戦争状態だったりするの?」
「いえ、潜在的な敵国ではありますが。戦争状態ではありません」
ってなると、ほんとに不意打ちな訳だ。
グリランド王国が領土を増やすのが気に食わなかったとか?
なし崩し的にグリランド王国側みたいになっちゃったけど……。
まぁグリランド王国が宜しくない国だったらその時は責任を持って俺がグリランド王国を潰そう。
「ちなみに魚雷をあの潜水艦が撃ってきたって言う証拠は、今のところ俺の証言しかないわけだけど。大丈夫かな?」
このままだと逆に俺が悪者にされるとか有りそうなんだよな。
「あの潜水艦の戦闘データや航海記録を押収すれば、しっかりと証明することができます。それにこの海域は既にグリランド王国の領海だと宣言をしていますので、あの潜水艦は既に領海侵犯の罪を犯していますので、コウさんが罪に問われることは有りませんのでご安心ください」
取り敢えず、気づいたら俺が犯罪者になってたとかは無さそうで安心した。
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