第4話
「やっぱり警戒はされるよね」
ちょっと現地人に話を聞くために潜水艦を使って島に来た人たちにお土産持参で会いに行ったんだけど。ライフルを持った人達が銃口
をこちらに向けて警戒されてしまってる。
見た目は人間なのになんの装備も無しに水中から出てきたからだろうか?その後平然と水面を歩いてるからかな?もしくは車とイカとクジラを念動魔法で宙に浮かせてるからかな?
全部だと思いますよと冷静にマジレスするイスカのことは一旦おいておいて、どうすれば敵意がないと理解してくれるかな?
「変になにかするより、このまま近づいて行った方が良いんじゃないですか?コウさんの場合ここで何かすると更に事態をややこしくしそうですし」
ここでなにかする方が逆に警戒させちゃうか。
「白旗をあげるとかもダメ?」
敵じゃないってアピールにならないかな?
「その旗をどこからだしたんだって警戒されるだけですよ」
確かに。やっぱり難しいね、異世界交流って。
いい案も思いつかないし、もうちょっと近づいてから大声で話しかけて武装解除してもらうしかないか。
「それと地味に銃を持ってるんだね。射程的にどうなんだろ?大体1キロあるかないかぐらいだからあの銃の形だと有効射程には入ってないと思うんだよね。最大射程は微妙だけど。スコープもついてないしこの距離なら撃ってきても当たらないと思うけど」
最も見た目から勝手に予想しているだけなので1キロでも余裕で有効射程って可能性もあるし。
「注意して前に進むしかないか」
島まで500メートルのところまで近づいた瞬間、島からライフルによる威嚇射撃受けた。
弾丸には魔力が込められていたのでやっぱり俺の知っている地球の銃とは少し違うみたいだ。ライフルの弾は足元に着弾して大きな水しぶきをあげる。
思ったより1発の威力が大きい。
ノーガードで被弾しても、俺もイスカもダメージを受けることは無いだろうけど。
「最初に攻撃してきたのはあっちだし。優しく話し合いで済ませるのは無しだな」
「どう考えてもこっちが悪いと思いますよ?この状況。警戒しない人なんていないと思いますよ?」
確かに車とイカとクジラを宙に浮かせながら水面を歩いて近づいてくる存在なんて、俺も出くわしたら問答無用で攻撃してるけど。
それはそれとして威嚇とは言え、知らない人に攻撃されたら。それなりの対応をするよね
「大丈夫。冷静にお話出来るようにちょっと相手の武器を凍らせるだけだから」
こちらに銃口を向けているライフルと非武装ってことは無いだろうしオマケに潜水艦を凍らせておく。
「俺たちはのんびり海を泳いでたら久しぶりに人を見たから。これ、売れないかなって来ただけだ。まぁ要らないってなら帰るけど」
威嚇射撃された場所から1歩も動かず。大声でこちらの要件を伝える。いつまでも武器を凍らせたままだと文句言ってきそうなので氷は溶かして、代わりにここまで歩いて来れるように水面を凍らせておく。
島では人が行ったり来たりし始めて、騒がしくなった。
「待ってるのも飽きてきたし、もう別の人間探しに行く?」
要件を伝えてから既に30分が経過している。
既に収納魔法を隠す気も失せてしまったので、車などは1度収納魔法にしまって椅子とテーブルといすをだしてお茶を飲みながら待っている。
「お茶をだすのはまずかったんじゃないですか?植物が育つような場所が極端に少ないって話ですし。お茶なんて超高級品の可能性が高いですよ」
確かに。と言うか陸で収穫できる植物はなんでも高級品として扱われると思った方が良さそう。こっちの世界の人に見られないように気をつけた方が良いか。
「そうなると、この世界の人達の飲み物って水しかないの?」
「どうなんでしょう?下手したら水の確保も大変そうな世界ですからね。淡水は存在しないみたいですし」
そっか水はいっぱいあるけど、フェムトの事前情報では全部塩水って言ってたな。
飲むためにはしっかりと濾過をする必要が有るから、目の前に水はいっぱい有るのに水を飲むのにも苦労する可能性があるのか。
潜水艦とか銃を作れる技術があるならしっかりとした濾過装置自体は存在するだろうけど。
水が生活に必要って言うのはわかってるはずだし。
「そもそも、あちら側からしたら俺が持ってきた物は価値が無いもので、どう断るか協議してるとか?」
何となく価値が有りそうだと俺は持ってきたけど。こっちの世界の人からしたらゴミと変わらない価値とか有るかも。こっちの世界の常識を俺は何一つ知らないし。
「車自体、地球みたいに一般に普及していてわざわざサルベージしたものに価値はない可能性は確かに有りますけど。海水に使っていても全く錆びない素材でできてるみたいですし。素材としての需要なら有りそうですけどね」
「結局はこっちの世界の人に聞いてみないと分からないか…もう30分だけ待ってみるか」
それから10分ぐらい待っただろうか。軍服を着た男性が2人のお供を連れてこちらに向かってきた。
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