第3話

「回遊魚ばかりですね。生き物が居着くような地形が無いですし、当然と言えば当然ですが」


海面上昇によって地上が沈んで閉まっている影響で水中で光が届く範囲に海底があったりする事がほとんど無いみたい。多分だけど数千m規模で海面上昇してるんじゃないかな?

そんな海面上昇って有り得るの?って思うけど。古代人がなにかやらかした結果なのだろう。異世界に干渉しているのは古代人のアーティファクト説が有力になってきた気がする。


「光がとどく限界深度は元の世界と変わらず水深200m程度ですね。ここから先はドンドン暗くなりますから。暗視が出来ないコウさんはフラフラどっかに行ってはぐれないように注意してくださいね」


確かに視界はランタンの明かりが照らしている。先、2mぐらいだけど。魔力による感知で、魔物の場所とかはわかってるからね?

俺たちに気づかず追いかけっこしながら近ずいて来てる魔物がいるとか。


「見えないのは確かなんですし、大人しくしていて下さい。それで、追っかけっこをしながらこちらに近づいてくる、イカとクジラはどうしますか?」


勝手にどっか行ったらガチで怒られそうだな今回は特に。それとイスカにはイカを食べようと追いかけるクジラと食べられまいと必死に逃げるイカも視認できているらしい。


あの島の人達のお土産になるかな?

なにかお土産があった方が話を聞いてくれそうだし。

かと言ってこの世界の物じゃないものをお土産にすると、それでひと騒動起きそうだから。お土産を海中で調達するしかない現状それなりに良いお土産になるんじゃないだろうか。


「倒しちゃて」


「了解」


わざわざリバイアサンの姿に戻ってきイカとクジラに突っ込んで行った。

リバイアサンの姿をこっちの世界の人に見られたらどうするつもりなんだ?

潜水艦を作れる技術を持っているんだから人間が水中にいてもおかしく何んだから。

水生の人間種とかも居そうだし。

近くに人を感知することは出来ないけど、この世界の未知の技術で俺たちの感知を掻い潜ってる可能性だってゼロじゃないんだから。

イスカからしたら水中にいるのに人化したままって言うのが気になったのかも知れないけど。


体の大部分は蛇みたいにとぐろを巻いた状態で、深海に向かって頭を伸ばしているイスカを見ながらそう思った。


リバイアサンの状態だったら海底まですぐだろうし、確認も同時にしてきてくれるだろう。


そのまま少し待っといるとイスカの顔がこっちに戻ってきた口にイカとクジラを加えている。


「おかえり。どうだった?」


イカとクジラを受け取りながら。深海がどんな感じだったか話を聞く。


聞いた感じだと、滅びた過去の文明は相当発達していたらしい。アスファルトで塗装されたような道があったり。道に車も残されていたらしい。近くに飛行船も墜落していたらしい。しかも墜落して大破していた飛行船はボロボロだったけど、道も車も劣化せずにそのまま残っているらしい。


「発展の仕方が科学寄りなのかな?でも、どれだけ昔に沈んだのか知らないけど海水に使っていて劣化が見られない建造物に機械って魔法も絡んでこないと難しそうな気もするし……。近くに町とかは無かったって言ってたけど。車だけでも確認したいから、案内して貰っていい?」


リバイアサンの姿のままのイスカに話しかける。もう、気が済むまでリバイアサンの姿でいさせよう。バレたらその時に考えればいい。敵対するようなら相手をしてやれば良いだけでもあるし。


リバイアサン状態のイスカの頭の上にちょこんと座り道路や車がある場所に連れて行ってもらう。


「確かに、綺麗に残ってるね。しかも新品同然みたいな感じで」


道路の上にドアの開けられた車が乱雑に止まっている。

近くに飛行船が墜落しているらしいし飛行船の墜落にパニックになった結果なのか、それとも海面上昇から逃げるためにこうなっているのか。

正解は分からないけど。何か不足の自体が起きてパニックが起きたのは間違いないだろう。数台事故って大破している車もあるし。


「それにしても、今でもちゃんと動きそうなぐらい綺麗だよね。この車」


浸水してシートの部分がダメになったりはしているけど。それ以外の部分は問題なさそうだ。


「いくつか持って帰りますか?」


「中に何も居ないものを1台だけ拝借していこうか。島の人達に話を聞くためにも2台持って帰って1台だけ見つけたってことにして売るのもありか。こっちの世界のお金持ってないし」


因みに車の中に何も居ないのをと言うのは、

ドアが閉まったままの車は結構な確率で当時の搭乗者がそのまま乗っている。

さすがに骨になってるけど。


できるだけ、中に余計なものが残っていない車を2台見繕って、1台は収納魔法に閉まって、1台は念動魔法で持ち上げて島まで持っていく。この世界だと収納系の魔法がどう言った立ち位置かまだ分からないのでその対策だ。

車を浮かせてるだけで、驚かれるかも知れないけど。

収納魔法に仕舞わないなら車を持って帰るに念動魔法を使う必要があるし、まぁ収納魔法よりは驚かれないだろう。





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る