第10話
「蓮根もあっさり採れたし今日は帰ろうか」
ぬかるんだ地面に足をとられないように気をつけながら歩いていると蓮の花が咲いている沼がすぐに見つかったので沼地で採れれば良いなと思っていた蓮根もすぐにとれてしまった。
「泥はコウさんに綺麗に落として貰ってるけど。やっぱりお風呂に入りたいし。私も帰るのに賛成です」
蓮根は蓮の地下茎だから採集してるとどうしても泥がつく。
魔法で泥がつかない様にすることも可能だけど。それだと時間がかかりそうなので泥んこまみれになりながら一気に採集した。その後水で綺麗に泥は落としたけどやっぱりお風呂に入って綺麗にしたい気持ちは分かる。
2人の意見が帰宅で一致したので、転移で帰宅することにした。
「ただいまー」
「お帰りなさいませ。コウ様、メル様」
転移で城に戻ると城を管理するために雇っている幻獣種の人が丁度目の前にいたので挨拶をして城で何か変わったことがあったか少し話を聞く。
久しぶりにセラスがサブダンジョンが完成したと騒ぎながら尋ねてきたぐらいでほかはいつも通りだと報告を受けた。
ありがとうとお礼を言ってメルとお風呂に向かう。
「凄いですよね。幻獣種って数ヶ月前まではメイドなんてやったこと無いって状態だったのに。もう王城でメイドをしていてもおかしくない立派なメイドさんです」
地の精霊王のロスさんが気合いを入れて作ってくれたお城だけど。立派すぎて管理する人を沢山雇う必要が出来てしまった。
かと言って幻獣種と精霊がほとんどのキュアノス島に人間の使用人を雇って連れてくる訳にも行かないという訳で、使用人として幻獣種と精霊を雇うことになった。当然使用人なんて、そんな事を初めてという人の方が圧倒的大多数なので教えるところからスタートした訳だけど元からの身体能力の高さ故か、みんな乾燥したスポンジが水を吸うように仕事をどんどん覚えて行って今ではどこに出しても恥ずかしくないレベルになっている。
お風呂に入ってからコハクの様子を見に行ったりして時間を潰して夕食を食べた後、薔薇の女王から貰った蜂蜜を入れた紅茶を飲みながら今回の話をみんなに聞かせていた。
「ベヒーモスに薔薇の女王、霧竜まで遭遇するなんて運がいいのか悪いのか…。精霊界でも滅多に遭遇しない存在の上位に余裕で入り込める存在なのに」
薔薇の女王に関しては確実にあえて良かったと言える。話が通じる相手だし、お土産もいっぱいもらったから。
ベヒーモスとあのカメレオンフェムトいわく霧竜と言う竜種だったらしいけど。この2体は素材としてどれだけ活用できるか次第だろう。
「で、キノコもいっぱいとって来たから時間がある時に食用か食用じゃないかで選別しておいて欲しい」
フェムトに頼むのが1番早いから、フェムトにお願いする。
収納魔法からキノコを取り出してフェムトに渡そうとするとフェムトに止められてしまう。
「霧竜がいた場所なら少しでも衝撃を与えると爆発するキノコも有るだろうから。明日以降開けた場所でキノコは受け取る」
「え、そんなキノコも生えてたのあそこ」
危ねー。想像以上に危ないキノコ生えてるじゃんあそこ。
「周りが乾燥してなければ普通のキノコだから、コウたちも絶対採集してるはず」
この部屋で出すと確実に爆発するらしいので大人しく、キノコは後日フェムトが鑑定する時に渡すことにした。
「コウ様。ラルドの話と繋がるのですが。仕込んでいた生ハムがついに完成しました」
ベヒーモス(カバ)について話している時にラルドの話をしたところ、ディアーネさんからそんな報告があった。
そう言えば、日本で生ハムを食べた後にこっちでも作れないかってディアーネさんが仕込んでたな。
「本当!できたなら少し食べてみたい」
そう言うとディアーネさんが収納魔法から生ハムの原木を取り出して切り分けてくれる。
「ちゃんと生ハムしてる」
いつの間にか用意されていた、ワインとチーズも一緒に食べながら生ハムを食べる。
やっぱり生ハムだけだと塩味が強いので何かと合わせて食べるのが丁度いい。
「こっちの出来事で変わったことと言えば久しぶりにセラスが来たぐらいで、あとはいつも通りだった」
メイドさんも久しぶりにセラスが来たって言ってたな。サブダンジョンが完成したって騒いでたって。
「セラスはなんて言ってた?」
「サブダンジョンが完成したから、テスターをやって欲しいと」
ちなみにサブダンジョンと言うのはダンジョンマスターがダンジョンポイントを消費して作った2つ目以降のダンジョンのことを言うそうだ。
この世界のダンジョンマスターはダンジョンポイントさえあれば複数ダンジョンを所持出来るらしい。
それがダンジョンマスターにとってどんな利点があるのか分からないけど。
下手したら人間界ダンジョンだらけにならないか?
複数持てると言っても流石に制限とかあるのかもしれないけど。
今度、セラスにあったそこら辺詳しく教えて貰おう。
読んでいただきありがとうございます。
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