第2話
ザバーンと大きな水しぶきが上がり、プカーとワニが浮いてくる。
水中を静かに進んで不意打ちしようとしていたワニにメルがソードビットを叩きつけた結果だ。
「水中でも若干の減衰があるぐらいで普通に使えますね」
最初のワニを倒す時は空中から水中に向かって叩きつける感じだったけど、今は水中から出さずにワニ以外にも近づいてきた魔物を攻撃している。なので次々と魔物が水面に浮かんできてプカプカしている。
マングローブの枝に乗っている猿が何かの木の実を投げつけてきたので当たらないように氷の壁を作る。
氷の壁に木の実がぶつかった瞬間鼓膜が敗れたんじゃないかってぐらいの轟音が鳴り響いた。
耳が痛い。破裂すると音をだす木の実か。
クラッカーの超強化版見たいな感じ。
空を飛んでた鳥も音に驚いて水面に墜落してるし。
「メル大丈夫?」
メルの方を見ると猫耳をパタンと頭につけてフルフル頭を横に振った。
メルは白虎の獣人だから当然俺より耳がいい。
相当ダメージが大きかったらしい。
ひとまずこれ以上今の状態で魔物の相手をするのは面倒臭いのでまた魔力を垂れ流しておく。
魔物が逃げていくのを待つのもやだし、八つ当たりを兼ねて周囲に魔物は全部凍らせておく。
「まだ頭がぐわんぐわんします」
気絶までは行かないけど、まともに立つのも厳しそうだったので、メルを連れて1度キュアノス島の住居である城に帰ってきてる。
「木の実投げられたから。氷の壁で防いだんだけど、まさかあんな大きな音がなるとは思わなかった」
音がなるのは実が割れた時だけだろうから水で受け止めれるとか実を凍らせて割れないようにすれば良かった。
「まぁ、予想外の攻撃方法でしたね。完全に不意打ちだったので心臓が止まるかと思いました」
実際、近くに居いた魔物の中には突然の轟音にショック死したやつもいたっぽいから、耳が痛い程度で済んだオレたちは軽傷だ。
「これからは防ぎ方も少し気を付けないと行けないな」
割れたら爆音を鳴らす木の実があるなら閃光弾見たいな木の実があってもおかしくないし。
「と言っても、あれを初見で回避するのは無理だと思いますよ?」
木の実が投げられたら誰だって撃ち落としたり盾とかでガードするとは俺も思う。
「そろそろ大丈夫そう?」
メルもだいぶ耳を気にしなくなってきたので大丈夫ならさっきの場所にそろそろ戻るか確認を取る。
「私も最初はそろそろ戻ろうかな?って思ってたんですけど。よくよく考えたら寝室にコウさんと二人きりって結構レアなんですよね」
まあ基本俺とお嫁さん全員で一緒に寝てるから、2人きりって言うのは確かにレアだね。
「この状況を逃すのも勿体ないなと思ったのでもう少し寝室で休憩したいです」
そう言ってメルはベットを指さしする。
どう考えても休憩する気ないよね?
完全に肉食獣の目をしてるよ?
ーーーーーーー
「完全復活!」
寝室で一休みした後。
なんだかツヤツヤしたメルとマングローブ林に帰ってきた。
「メルはちょっと落ち着いて。それとフェムトの言う通りなら、マングローブの樹液は炭酸水らしい」
なんだかハイテンションなメルを落ちつかせながらマングローブを少しだけ傷つけると炭酸の入ったペットボトルを思いっきり振った後にキャップを開けたみたいに樹液が噴き出してきた。
「うわ!少し傷つけただけでこれ?」
せっかくの炭酸水が無駄にならないように魔法で一纏めにして炭酸水の水球を作り出す。
「いやほんとにこれ樹液なんだよね?このマングローブどんだけ樹液を貯めてるの?」
樹液が止まるまで樹液を集めて水球を大きくしてったんだけど、最終的に水球にサイズが直径2mを超えた。たった数センチ傷つけ他だけでこんなに樹液が出てくるって普通ありえなく無い?
「まぁ精霊界だからで納得しておこう。炭酸水らしいし」
カラーゼリーフィッシュのスタンダード味がソーダ味だけど、飲み物としての炭酸はまだ見つけて無かったし、ポテチ作って食べてると無性に炭酸が飲みたくなってたからありがたく使わせてもらおう。
先ずは炭酸水のまま飲んでみる。
水球から1口分だけ樹液を分離させて小さい水球を作って口に入れる。
なんか宇宙飛行士になった気分。
テレビで見た無重力空間で水を飲む姿とそっくりな飲み方になった。
飲んでからすぐにこの飲み方は失敗だったなと思う。思った以上に強炭酸で喉に来る炭酸の刺激が凄かった。
「でもしっかり炭酸水だし。単純にジュースとかで割って飲んでも美味しいと思う」
そう言えば、自家製コーラとか一時期流行った気がする。
なんとなくだけどレシピも覚えてるから今度作ろう。
今回はとりあえず、オレンジジュースで割ろう。
「炭酸も弱くなるしこのぐらいが丁度いい」
メルも炭酸水をジュースで割って飲んでる。
メルは海ぶどうのジュースで割っているみたい。
炭酸自体は地球に旅行に行った時に体験済みなので特にリアクションはない。
ファミレスのドリンクバーを初めて使った時は酷かったなと地球に旅行に行った時を思い出す。
こっちの世界じゃあの値段でジュースやお茶が飲み放題って有り得ないから分からなくもないけど。
読んでいただきありがとうございます。
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