第9話
「やっぱり今の魔族からしたら正直鉱物系しか手に入らないダンジョンってそんなに旨味を感じないよね。肉だったり果物が手に入るダンジョンの方が嬉しいでしょ?」
鉱物が安定確保出来るなら村の発展する速度は何倍にもなるので有用なダンジョンだと思いますよ。ただ魔族は金属を自由に加工できないですし、金属が使えない分は魔物創造を使った人海戦術で発展していってるので、魔物の肉だったり果物の方がありがたいのも事実ですね。
レムさんは申し訳なさそうにそう言った。
それを聞いたセラスは燃え尽きて灰になったように真っ白になった。
どう言う原理で全身真っ白になってるんだこれ?ダンジョンマスターの能力の無駄使いなきもしなくも無いけど。そのうち元に戻るだろう。
「そう言えば、魔力玉ってあのダンジョンで手に入るの?」
決められた威力までなら魔法の威力をあげてくれる魔力玉は魔族としても中々魅力的な物だろう。
「研究所エリアのオートマタから低確率で手に入るようになってる。倍率も1.1倍のものが基本だけど、超低確率で1.3倍の物もドロップするわよ!」
そんなに確率が低いならせめて2倍ぐらいにしてあげれば良いのにと思わないくも無いけど。セラスは装備の性能でゴリ押しするのがあんまり好きじゃ無いみたいだから、今以上に倍率の高いものは作らないかもな。
「そんな物まで手に入るんですか!でも、それほどの物手に入れるにはそれに見合った苦労をすることになるのでは?」
「そこら辺も考慮して通常が1.1倍レア枠が1.2倍超レア枠が1.3倍なんだよ。数を倒す必要はあるだろうけど。一体づつしか出てこないように設定してるし。オートマタのランクのBランクだから、そこまで無理って感じはしないでしょ?」
Bランクの魔物だったら普通の冒険者でもそれなりに倒せる人もいるし。
魔族だったら魔物創造の数の暴力ができるから、結構何とかなるんじゃないかな?
その代わり通常の1.1倍でもオートマタが持ってる確率100分の1ぐらいの確率だけど。
と追加でセラスの説明が入る。
そこから更に火、水、風、地、光、闇の6属性の内1種類がランダムな訳だから、下手すると欲しい属性の魔力玉が一生手に入らないとか起きそう。魔力玉ガチャか…。
「ちなみにこれは私も想定外の効果だったんだけど。無詠唱魔法に限り適正関係なく魔法を使えるでしょう?天才以上の才能が無きゃダメだけど。どうやら、魔力玉を経由すれば、何らかの補正が働いて無しで使えるようになるよりかだいぶ楽に使えるようになるみたい」
まじかよ。ぶっちゃけそっちの方がやばい効果じゃないか。
「と言っても火だったら火種を用意するぐらいが限界。攻撃に使うなんて無理だと思うわよ」
「だとしても、凄い効果だな」
流石に楽になったからって誰でも使える訳じゃないけど。天才の中の更にひと握り、正直人間種には無理だよって難易度だったのが才能があれば使える程度まで難易度が下がってるんだから凄い効果だと思う。
それでも結局火種程度にしかならないのかって思う人も多いと思うけど、魔法で楽に火種が用意できるって結構楽だよ?
俺もティアナさんに適性が無くても魔法は使えるって聞いてからちょっと練習して使えるようになったけど、まじで便利。
外でバーベキューする時とか火打石で火起こすのめっちゃ面倒だった。
「実際に試して見るのが一番かな。って訳でレムさんこれ差し上げますので、ちょっと今ここで魔法の実験に付き合ってください」
レムさんにセラスがカジノで使った代金の代わりとして火、水、風、地の魔力玉を渡した。ちなみに倍率は1.1倍。
いつも冷静なレムさんも自分が理解し切れていない間にポンポン話を進められて珍しく混乱している。
レムさんは闇属性にしか適性を持ってないけど魔力玉を使って試した結果。指先からライターの火程度の火力の火を魔法で作り出すことに成功した。
「魔力玉を使って成功したから、このまま使い込んでいけばそのうち魔力玉無しで使えるようになるかもね。他の属性も練習すれば使えるようになるかもしれないし」
これはすぐに結果が出るものじゃないと思うので気長に結果を待つことにする。
「その魔力玉は村で好きに使ってくれて良いから。俺には効果無いものだし」
そう言って魔力玉を押し付けたあとふと思った。
「そう言えば精霊石も魔力玉と似たような効果有るよね?」
オリハルコンすらバターみたいに切れる武器の素材ってイメージの方が強くなっちゃってたけど、精霊石だって適性が無くても水の精霊石だったら水を生み出したりできる。
寧ろ魔力を精霊石に流すだけで簡単に使える筈なので、魔力玉より高性能のはず。
精霊石を経由して魔法を使った事なんて無かったから分からないけど、きっと凄い事になるんじゃないかな?
これヤバいやつかな?と思いつつ、どうなるか確認しておいた方が良いだろうと魔力玉に合わせてビー玉サイズの精霊石を作り出した。
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます