第8話
セラスがオークの農作業に興味を持ってしまったので、レムさんにお願いして。
村の農地を案内してもらっている。
オークに農作業をさせているので、農地は村を囲む土壁の外にある。
「今、オークたちが取り組んでいるのは作物の付く害虫駆除と、農地の拡張がメインになっています。小麦にジャガイモがメインで今は季節の野菜を育てています。あとはこの場所とは少し離れたところで、私たちが見たことがなく毒を持っていたりしない植物を育てる実験場もあります」
実験場の方は俺も見に行ったこと無かったな。魔界にしかない植物とかあるかも知れないし、セラスも見たいって言うだろうしそれに便乗して見せてもらおう。
「オークが農業してるってやっぱりシュールね。案外ダンジョンにそう言う階層があっても面白いかも。でも、私のところは鉱物系で纏めちゃってるから今からそんな階層追加したらバランスが崩れちゃうか…。サブダンジョンが作れるようになったら、そっちは今考えてる方向のダンジョンにするのも面白そうね」
こいつは自分がダンジョンマスターって隠すつもりは無いんだろうか?今の独り言ガッツリレムさんにも聞こえちゃってるし。
はぐれ妖精って紹介した時だって妖精ってほんとに実在するんですねって結構驚かれたのに。もう確実にただの妖精じゃなくてダンジョンに関係する何者かってバレちゃってるよ。
「ねぇセラス。君はただのはぐれ妖精って設定でいくって言ったよね?なんでさも自分がダンジョンを作っていますみたいな事口走ってるの?」
やっちゃた!顔してるけど、ほんとになんでこいつこんなにポンコツ妖精なの?
「いやいや、コウだって今、普通のはぐれ妖精って設定ってレムさんの前で言ったじゃん!同罪だよ!」
「それはもうバレてる前提だからあえて行ったの!ってことでレムさん実はこいつダンジョンマスターなんだ。大勢に知られると何が起こるか分からないから、普段はただのはぐれ妖精ってことでよろしく。勿論エリーゼにはセラスのことダンジョンマスターだって教えても問題ないから」
レムさんは優秀だし、こうなった以上こちら側に巻き込んでしまった方が良いだろう。
レムさんはエリーゼの秘書的なポジションだから自動的にエリーゼも仲間入り確定。
「前の世界のダンジョンもダンジョンマスターが存在して、ダンジョンの管理をしていると言われていましたが、実在したんですね。ダンジョンマスター」
やっぱりダンジョンに管理者としてダンジョンマスターがいるという考えは鉄板らしい。
「ダンジョンマスター的にはダンジョンは人間種の為にあるものだから、精霊か幻獣種ばっかの状態は宜しくなかったみたいでね。じゃあまずは魔族達にダンジョンを利用して貰うのは?って話になったの」
もう隠すことは無いので全部教えてしまう。
こうなったら、こうした方が早く話が進むだろう。
「それで、精霊門と言う人間界と魔界を繋ぐ門の設置が前に説明していただいた時より随分前倒しになりそうだったんですね」
最初に説明した時は確かに人間界と魔界を繋ぐ門があった方が双方が安定するのは確かだ。だけど直ぐに設置する必要はなくて100年後とかでも問題ないから早くて10数年後とかかな?と説明したはずだからね。
その説明の数ヵ月後に近いうちに精霊門を設置しする事になったって来たら何かあったのか?気になるのは当然だよね?
「それにしてもダンジョンマスターと意思疎通が取れるということは、もしかして出てくる魔物や環境を融通してもらえたり出来るんですか?」
「全くできないわけじゃないけど。人間種が強くなるための修練場でもあるから、何でもかんでもお願いを聞いてあげるのは無理よ?」
それにメインダンジョンはもうテーマを決めちゃってるからさらに難しいしサブダンジョンを作る時はどんなテーマが良いか聞いてあげることぐらいなら出来るけど。
本来ダンジョンはテーマを決めてそれにそって階層を作った方がコストがかからずに作れるらしい。
雪原の階層、火山の階層みたいにひと階層事に大きく環境が違う物を作るとコストが高くなるらしい。
そう考えるとフロンダンジョンは凄いコストがかかってそうだ。
「それじゃあセラスのダンジョンも坑道から研究施設に階層の構造を変化させた分コストが上がってるの?」
「同じく坑道で作るよりかは確かにコストは上がったけど。そこまでコストはかかってないわ」
どうしてかと言うと、ダンジョン全体のテーマが鉱物が素材として手に入る魔物がメインらしく。研究所の階層は予想通りオートマタが魔物として現れるらしく。研究所は鉱物素材が手に入る魔物が出てくるのにおかしくない環境という事でコストはそこまで上がらないらしい。
「となると、ダンジョンに潜っても金属しか手に入らないのですか?」
今の魔族には金属加工の技術がそこまで無いからな。
率先して入りたいかと言われると微妙だろうな。
読んでいただきありがとうございます。
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