第7話

まずは魔族にダンジョンを解放するのはどうかとセラスに聞いて見る。


「新しい人間種ね〜。来てくれるようになるなら嬉しいけど、人間界じゃなくて魔界で暮らしてるんでしょ?」


「それは魔界と人間界を繋ぐ常時発動型の精霊門を設置するから問題ないよ」


なんか人間界と精霊界と同じように精霊門で繋げて置いた方が人間界も魔界も安定するらしく、世界神様とフェムトに頼まれてしまった。まぁ気が向いた時でいいとは言われてるからまだ作ってないけど。いい機会だし作ってしまおう。

設置型で常時発動型の精霊門は精霊王が最低4人いないと作れないから本来は時間かかるけど、ホムラ以外はこの島にいることが多いし、すぐに設置出来るだろう。


「それなら問題なさそうね」


「まぁ、その前に魔族達にも話を通しておく必要が有るけどね」


精霊門を作る話がしてあるけど突然出来たら警戒させちゃうと思うからね。


「それなら善は急げ!よ。早速魔族達に会いに行くわよ!」


当たり前のようについてくる気満々のセラスに心の中でため息をついて、ダメだって言っても聞かないだろうし連れていくか。何かあってもセラスが用意した魔道具が防いでくれるだろう。


「言っとくけど、魔族に話を通したからってすぐに用意できる訳じゃ無いからね?」


「なんでよ?」


「精霊門を設置する場所からダンジョンまでは同じ島の中とは言え人間が歩いて向かうと1日以上かかる距離だ。かと言って精霊門をダンジョンの方に設置するのは防犯上宜しくない。だから道の整備と最低限ダンジョンの近くに宿屋的なものを建てる必要があるから」


設置型の精霊門は誰でも通行出来てしまうので、しっかりとした門番が必要となる。

人間界と精霊界を繋ぐ精霊門は神獣アルビオンによって守られている。

なので、人間界と魔界を繋ぐ精霊門も神獣クラスの門番が必要になる。

そんな人材を簡単に用意出来るならダンジョンの近くに精霊門を設置しても良いけど普通に無理なので、人間界と精霊界を繋ぐ精霊門の隣に設置して、アルさんに両方門番をして貰わなきゃいけない。

これが精霊門をダンジョンの近くに設置できない理由だ。


「それじゃあ仕方ないわね。でも魔界にはついて行くからね。面白そうだし」


「わかったよ、ちゃんと連れていくから顔のまわりをブンブン飛ばないで、ムカつくから」


虫が顔のまわりを飛んでるみたいで叩き落としたくなる。

それを聞いたセラスはピタッと止まり、俺の肩の上に降りた。

それにしても妖精ってこの世界にいるのかな?聞いたことないけど。


「ねえセラス。妖精ってこの世界にいるの?」


「勿論、いるに決まってるじゃない!それにコウだって私を見て1発で妖精って受け入れてたじゃない?妖精を見たことあるからじゃないの?」


「俺が想像する妖精そっくりだったからで実際に妖精にあったことはないんだ」


性格は思ってたのと違ったけど。

でも、妖精ってイタズラ好きって言うしある意味セラスの性格も妖精そっくりなんだろうか?


「まぁ妖精は人間界に住んでいるけど。今私たちがいる場所が表側で妖精は裏側に住んでるからね。滅多なことがなけれな会うことは無いでしょうね。確かティル・ナ・ノーグって言うんだったかしら」


常若の国か…。ケルト神話における楽園の名前と一緒だな。妖精たちの好みの住処だったか?


「まぁ、妖精が存在するって分かっただけでじゅうぶんだよ。セラスのことをはぐれ妖精って紹介できるし」


この世界に妖精がそんざいしなかったらセラスのことをなんて紹介すれば良いか思いつかなかったから、妖精が実在してくれてよかった。

馬鹿正直にこの子はダンジョンマスターです。なんて紹介出来ないし。

はぐれ妖精でもじゅうぶん驚かれるだろうけど。ダンジョンマスターよりはマシだろう。


「突然、そんなこと聞いてどうしたんだろう?って思ってたけど、そう言う事ね。

確かにダンジョンマスターよりかははぐれ妖精の方がましだと思う」


まぁ多分どっちもどっちだとは思うけど。


これから自己紹介する時ははぐれ妖精ということで押し通すと決めたあと、魔族の村に転移した。


「ほんと精霊の転移魔法って便利でずるい」


「どうして?セラスも転移魔法使えるんじゃないの?」


「私の転移はダンジョン内限定よ。それに世界を跨いで転移出来るのは神族と精霊のみなんだから」


へ〜初めて知った。そんなことになってるんだね。


「あ、レムさんがこっちに向かってきてる。おーい」


エリーゼの秘書をしているレムさんがダッシュでこっちに向かって来るのが見えたので手を振っておく。


「はぁはぁ。ようこそお越しくださいました。エリーゼはちょうど周辺の調査で村の外に出ているところでして。代わりに私がご要件を伺いに参りました」


「今日は前に少し話した人間界と魔界を繋ぐ門を近いうちに設置することになるだろうから、それを伝えに来たんだ。それだけ伝えて帰る予定だったんだけど…」


セラスが農作業をしているオークを見て目をキラキラさせている。

これは帰ると言っても駄々こねられるな。


「こいつが村を見て回りたいみたいだから、案内をお願いしていい?」








読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る