第5話


「ふー食べた食べた。流石にお腹いっぱい」


そう言ってセラスはテーブルの上に横になった。

流石にというか、手のひらサイズなのに普通に人間の1人前を食べきるって…。あの体のどこに入ってるんだろう?

確実に自分の体積以上の量を食べてたんだけど。


「ご飯も食べ終わったところでこの島に人間が住む場所を作る事になった訳だけど。どうしたらいいと思う?」


税金やら決めなきゃ行けない事が目白押しだ。ただ、ダンジョンに挑む為必要そうな施設建てました。あとはお好きにどうぞなんてことできるわけが無い。


「そうですね。冒険者ギルドと商業ギルドには早めに話を持って行って人員を用意しておいてもらう必要があります。それにこの島に来る方法も早く用意しないと行けません。船で来るか飛行船にするか。どちらにせよ、すぐに用意出来るものじゃありませんし」


「やっぱりやらなきゃ行けないことがいっぱいだよね。正直面倒臭い」


「まぁ、コウさんはトップで指示を出してるだけで大丈夫ですよ」


「まぁ、セラスに人間にもダンジョンを解放するって言っちゃたし。最低限かたちになるところまでは頑張るよ」


そこまで発展させたりする必要はないだろう。イメージとしては冒険者がダンジョンに入るためだけに来る場所って感じ。


そこまで焦って人間を呼ぶ必要はないだろうと言う事になった。1~2年ぐらいかけてダンジョンを整備してそこから呼ぶぐらいの計画だ。





ーーーーーーーーー


「最初は、ほとんど精霊か幻獣種しかいないって聞いてなんでよ!?ダンジョンがここにある意味無いじゃないって思ってたけど。精霊や幻獣種相手なら姿を現しても問題ないし。そのおかげで、自由に外を歩けるから今はこの場所で良かったって思えるわね」


一夜明けて、セラスにキュアノス島を案内している。地の精霊や地魔法が得意な幻獣種が

一晩で新しく建物を建てたりするので俺が知らない建物が増えてたりもするけど。


ポーカーとか花札とか賭け事を教えたのは不味かったかもしれない。

俺が暇つぶしで教えて遊んでたんだけど、いつの間にかお金をかけるようになってたんだよね。それを知って直ぐに掛け金の上限決めさせたり。勝手に賭博場を増やさないように制限かけたりしたけど。

軽食を食べながらボードゲームができるお店も作ったけど、こっちもなかなか人気のお店になっている。俺もたまにふらっとお店によってタイミングがあえばゲームに参加させてもらって遊んだりしている。


ちなみに筐体ゲームが遊べるお店はまだ作ってない。日本にいる時にいくつか筐体ゲームを買ってきてるしゲームセンター的なのも作れるけど、こっちはもうちょっとしてから導入しようと思う。


「1人で勝手に行くと迷子になるぞ。もし迷子になっても探さいないで帰るからな」


セラスが1人で先に進もうとしているので声をかけておく。


「コウは私の事なんだと思ってるの!迷子になんてなるわけないでしょう。それにコウが歩くのが遅いのが行けないのよ。もっとシャキシャキ歩きなさい」


こちとらセラスが日が昇る前に起こしに来たせいで、ろくに寝れてないし結局朝ごはんを食べる前に連れ出されてるからテンション低いのよ。


「わかったよ、シャキシャキ歩くから。でも最初はあっちの屋台が沢山出ている場所からだ。朝ごはんが食べたい」


セラスがもう仕方ないわねと言いながら、俺についてくる。

ほんと残念妖精だな。


何を食べようかな?と屋台通りを歩いていると味噌焼きおにぎりのいい匂いがしてくる。

今日は味噌焼きおにぎりにしよう。


「ねえねえコウ。私あれ食べたい」


セラスが指を指した屋台はみたらし団子を売っている屋台だった。

朝からみたらし団子かと思いつつ、みたらし団子を買ってあげる。


セラスはみたらし団子を受け取って美味しそうに食べてるけど、手と口がベトベトだ。

食べ終わったら水球の中にぶち込んで綺麗にしよう。

セラスが食べ終わる前に俺も食べちゃわないとまた騒がしくなるので味噌焼きおにぎりを食べることに集中する。


単純に味噌のものと白ごまが振りかけられているもの、ネギが入ってるものの3種類がセットになっている。

いやホントにリバイアサンの料理のセンスが恐ろしい。


収納魔法から緑茶を取り出してゆっくりご飯を食べているとみたらし団子を食べ終わったらしいセラスが騒ぎ始めた。


「コウはまだ食べてるの?」


とりあえずご飯を食べながら水球を作り出してセラスを捕らえる。

捕まえる前にしっかり魔道具が発動しないように権能を使ってある。


水球の中で騒いでいるけどゴボゴボ言ってて何を伝えたいのか全く分からない。

味噌焼きおにぎりを食べ終わって緑茶を飲み干したあと、水球を解除した。


「ちょっと!レディに対して失礼じゃない!」


「レディは口や手をベタベタにさせない」


「くっ人間サイズで大きいんだから仕方ないでしょ!」


「まぁ綺麗にしてあげたんだし。水分だって有るから、もう濡れてないでしょ?」


「確かに、もう良いわ。ご飯も食べたし、島の探検を再開するわよ」


こいつほんとに元気だな〜とセラスの後ろを付いて行った。








読んでいただきありがとうございます。







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