第4話

ダンジョンから自宅の城に帰るとちょうど夕食の時間で皆食堂に集まっていたので、妖精の姿をしたダンジョンマスターの紹介をした。


「って言うわけで結局ダンジョンはクリアしないで帰ってくることになった。それでこいつが、くだんのダンジョンマスターのセラス」


ダンジョンマスターと話し合いをした後ダンジョンの外にでたいと駄々をこね始めたので、自分の身は自分で守ることを条件に許可した。

ダンジョンマスターも攻撃されたら普通に死ぬらしい。

ダンジョンマスターが死んだらダンジョンも消えちゃうんじゃないの?とちょっと不安だったけど、その場合新しいダンジョンマスターが生まれるだけで、ダンジョンマスターが死んでもダンジョンには何も影響は起きないらしい。ダンジョンマスターより演算装置であるダンジョンコアを壊される方が問題らしい。

確かにダンジョンコアを壊せばダンジョンは消滅するって人間も知ってるし、マスターよりコアの方が重要な存在みたいだ。


なんだかセラスが可哀想になってきた。


ちなみにセラスという名前は名前を聞いたらそんなのないと言われたので俺がつけた。他にも羽っ子とかラヴィとか色々候補をあげたんだけど却下され続けて大変だった。


「ちょっとコウ!私の事コイツ呼ばわりしてるんじゃないわよ!可愛い妖精である私を!」


「フッ」


セラスはどちらかと言うと残念妖精だろう。


「鼻で笑ったわね!?」


セラスがおでこ目掛けてライダーキックを仕掛けてきたのでデコピンの要領ではじき飛ばした。


「ちょっとなんで私が攻撃されたのに魔道具が発動しないのよ」


セラスは自衛をするためにダンジョンポイント、ダンジョンを拡張したり、新しい魔物の設置、魔道具のような道具の制作に使うポイントを消費して、自分の身を守る魔道具をいくつも用意していた。

1回だけならどんな攻撃でも防ぐブレスレットとか相手の魔法攻撃を反射させる結界を張るペンダントとか。

中々にチートな魔道具を揃えている。

ダンジョンポイントはダンジョン内にダンジョンが作り出した以外の生物がいると手に入るものらしい。ちなみにその生物が強ければ強いほど一度に貰えるダンジョンポイントは多くなる。

実際、俺とフェムトがダンジョンに入ったおかげで馬鹿みたいなダンジョンポイントが手に入ったと言っていた。


「確かにセラスが持ってる魔道具はちゃんと発動すれば俺の攻撃も防げる。ちゃんと発動すればな」


停止の権能を使えば魔道具が発動しないようにする事なんて簡単だからな。


「そりゃそうだけど。だからと言って魔道具を簡単に起動しないようにする事なんて出来ないはずよ?ホント理不尽の塊よねコウは」


流石に理不尽の塊って言われるのも最近は慣れたな。大体そう言われるし。


「俺が理不尽だどうかは置いておいて、世界神様と高難易度ダンジョンを2つ攻略したらスキルあげるって言われてんだけど。ダンジョンマスター的にはやっぱりやめた方が良い?」


セラスの感じからして、ダンジョンは人間種の物って意識が強そうだし。


「別に?」


「あれ?そうなの?」


「だって、高難易度のダンジョンでしょ?あいつら世界神様の言うことを聞かないから、そうなるのよ。いい気味よ」


ダンジョンは人間種の資源の確保と修練のための場所って言ってたけど。

今、高難易度ダンジョンと呼ばれている場所はそれを逸脱しているってことか。

まぁ、それなら心置き無く攻略できる。


「ダンジョンマスターがいてもダンジョンコアが無ければ、ダンジョンをいじることは出来ないから。もし、高難易度ダンジョンに行くことがあれば寧ろ積極的に攻略しなさい」


「高難易度ダンジョンってなると俺でも攻略するのに結構日数がかかるから、タイミングがあえばね。世界神様との約束のあるし、あと1個は確実に攻略するけど」


魔物創造自分でも使えるようになりたいしね。


「まず、亜神のコウがそれなりの日数がかかるって難易度の時点で調整に失敗してるのよ。まぁ高難易度ダンジョン全てがダメって訳じゃ無いし。気が向いたら攻略する。そのぐらいがちょうどいいわ」


難易度が高いと言うよりが広いから日数がかかってるだけだから、人間でも頑張れば魔物を倒せるようになるとは思うけど。


「それより、俺ってもう完全に亜神カテゴリーなの?亜神レベルとかは言われてた気がするけど」


「限りなく神に近い亜神って感じ?もう人間種カテゴリーじゃなくて神族カテゴリーなのは間違いない」


「まぁ、話はもう良いでしょう?折角自由に外を見れるんだから島を見て回りたいんだけど」


セラスに今聞いておきたいことも特に無いし。自由にさせておけば良いか。と言ってももう、あたりは真っ暗だし。

それに、これから夕食なんだよね。


「もう遅いし、島を回るには明日にしたら?食事も気になってたんでしょ?これから夕食だったみたいだから、セラスも食べれるよ?」



ダンジョンマスターは別に食事する必要無いらしいんだけど味覚はちゃんとあるらしい。

それって地獄じゃない?食事取らないなら味覚がない方が幸せだと思うんだけど…って思ったけど、ダンジョンポイントを消費すれば自分の知識に食べ物なら作り出せるのでそれを食べていたらしい。

と言っても料理の知識なんて無いし。果物をそのまま食べるのがほとんどだったらしいけど。

その為料理を実際に食べてレパートリーを増やしたいと思ってるセラスが食事を断ることはないだろう。


想像通り、島を回るのは明日と速攻で納得した。








読んでいただきありがとうございます。





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