ダンジョンマスターとの遭遇

第1話

披露宴の最終準備と言っても俺が流れを確認するだけだし。最初にちょっと挨拶してその後は立食形式でご飯を食べるだけだし特に迷うようなことは無かった。

ただ、俺をモデルにした劇を本人がやると言うある意味罰ゲームのような企画も組まれかけてたのでそれだけは全力で却下した。

その代わりブーケトスをやるということでまるく納まった。

後は、引き出物。こっちの世界には引き出物を用意したりしない見たいだけど、折角だし何か用意しようと言う事になった。


「まぁ、もし間に合わなくても問題ないしゆっくり考えれば良いんじゃない?」


あんまり高価過ぎるものはダメだよ?フェムトに釘を刺されつつ、引き出物を何にするか考えることになった。

もし、用意できなくても元々この世界では必要ないものだしフェムトの言った通り気楽にゆっくり考えよう。


と言っても引き出物って何渡せば良いんだろ?

銀で作った食器セットとか?

楽なのはカタログギフトだろけどそんなもんこの世界にないし。

アラクネ製のタオルとかが良いかな?

いくらアラクネ製だとしてもタオルだけだと豪華な感じがしないかもしれない。

海ぶどうから作ってるワインとグラスのセットを足せば豪華な感じになるかな?


いやグラスを今から用意するのは大変だし、赤、白、ロゼの3種類セットにしよう。


「コウ何にするか決まった?」


「ワイン3点セットにアラクネ製のタオルセット」


「ん〜まぁそのぐらいなら良いかな?コウなら精霊石で作ったグラスとか引き出物にしそうだし。それに比べたら可愛いもんだね」


精霊石に関しては、無闇に配った事ないよ?

結構慎重に取り扱ってるからね?


「まぁ、そうだったね。ワインは食事の時にも出す予定だから、今から用意する必要ないし、アラクネ達もタオルぐらいだったらすぐ作れるだろうしね。でも、早くお願いしに行った方が良いんじゃない?」


確かに早めにネルルのところに行ってお願いしておいた方が良いか。


「じゃあ今からアラクネ達が住んでる森に行ってくるよ」


「僕も付いてく〜」


フェムトも付いてくるらしいので2人でアラクネ達が住む森の中に入っていく。

アラクネ達は昆虫族と呼ばれるれっきとした人間種だけど生き方としては蜘蛛に似ていて家を建ててそこに住んだりするのではなく。

自分で糸を出して巣を作りそこに住んでる。

昆虫族が多く住んでいる。昆虫大陸と呼ばれる場所に住んでいる。アラクネはその巣に引っかかった魔物を含む生き物をそのまま捕食するらしい。キュアノス島に住んでるアラクネ達はしっかり調理してから食べる。


昆虫族と他の人間種は生活の仕方が違いすぎるので同じところで暮らしたりしない。

だけど、アラクネ達は衣服を作るのが好きな者が多いけど、昆虫族は基本全裸なのでアラクネが服を作っても来てくれる人がいない。

なのでアラクネの1部は服を着る人間種の近くで暮らし服を売る生活をしている。


ネルル達もそんな感じで人里近くで暮らしてたんだけど、内紛が起きたせいでその場所で暮らせなくなって困っていたところを風の精霊王リースさんが発見、ここキュアノス島を紹介して、俺が許可をだしたので現在はキュアノス島で暮らしている。


「さてと、森の入口まで来たけどここからは気を抜かないように進まないと」


この森一帯はアラクネ達のテリトリーなので当たり一体に糸が張り巡らされている。

少しでも触れると、アラクネ達に補足され捕まってしまう。


「っていうゲームなんだけどね」


実際魔物が来た時にいち早く察知するための鳴子的なものなんだけど、入ってきたのが俺だと分かれば糸に触れても何も起こらない。


何となく、ゲームである、赤いレーザーを避けて侵入するスパイものっぽいなと思って、俺が糸に触れたら魔物と同じく捕まえてとお願いしている。アラクネ達には観察力を鍛える訓練って説明してるけど。完全にスパイごっこで遊んでいるだけだ。未だに1回も糸に触れずにアラクネのところにたどりつけないけど。


「アラクネ達もなんだかんだ言って楽しんでるからね。誰がコウを捕まえるか競ってるみたいだし」


アラクネ達もアラクネ達で楽しんでるらしい。

挑戦する度に難易度が上がると思ってたけどそう言うことか。


アラクネが罠として使う糸はちょー注意してみないと分からないぐらい細いし透明。

最初なんて全く見つけられなかった。

今は見えるようになったけど。糸がある!とその1本に集中してしまって、他の糸に引っかかることが多い。

俺が見つける糸はわざと見つかるように仕掛けた囮の糸がほとんどなんだよな。


ちなみに感知系の能力は全部禁止だ。

使えば簡単に見つけられちゃうからね。

ゲームじゃ無くなっちゃうし。


糸に引っかからないように集中しながら歩いていると突然世界が逆さまになる。


「今回も私たちの勝ちですね」


どうやら、糸に引っかかって捕まったらしい。全然糸に気づけなかったんだけど。


「いや〜ほんといつになったら勝てるんだろうね?」


足に糸を巻き付けられて宙ぶらりん状態の俺をフェムトが煽ってくる。

まぁその通りなんだけどね。やっぱり今度からは魔法も解禁しようかな?








読んでいただきありがとうございます。

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