第19話
「お菓子が売ってる屋台があれば良いんだけど、流石にお菓子が食べたいならお店に行く必要が有るよね」
この世界ではまだ砂糖が高価なので、砂糖を使うお菓子なんかを屋台で売るような人はいない。この世界の砂糖はサトウキビ的なものから作り出されてるんだけど。
育つ地域が限定的すぎて砂糖を簡単に増産出来ないせいでもある。
でも、デート中の魔物肉の串焼きってのもあれだし。
デートスポットなんだから、カップルが食べやすい食べ物を売ってる屋台があってもいいと思うんだけどな。
と探しているとチュロスを売ってる屋台を発見する。調理している人は黒髪黒目の男性と金髪碧眼の女性。なんか高校生っぽい感じがするし、あの人たち多分異世界人だよね。それも多分ハジメくんと一緒にこっちに来た人達。フェムトかエステルさんどっちに聞いたか忘れたけど。ハジメくん以外だと、飛行船を作り出した錬金術師の男の子とパーティー組んで普通に冒険者してる子たちしか残ってないって言ってたけど。
多分冒険者してる子達かな?
なんでわざわざ屋台なんてやってるのか微妙に気になるし、久しぶりにチュロスを食べたい気分だからあの屋台にしよう。
「チュロスってランドに行った時に食べた、あのチュロスですか?」
マルタも地球に旅行に行った時に夢の国に遊びに行っているので、チュロスは食べたことがある。ただその時に食べたことないし見た事もないと言ってたので、王都でチュロスを販売してるのに驚いてると言った感じだろう。
「多分、異世界人が屋台をやってるんだと思うよ、男の子の方とかすごい日本人っぽいし」
女の子の方はハーフとかクウォーターなのかな?日本人っぽい感じもするんだけど、欧米の人っぽい感じもする。
「なるほど?お金稼ぎの為に地球の食べ物を再現して売ってるって事ですかね?」
「それにしては、あまり利益を考えてなさそうな感じなんだよね」
砂糖を振りかけてるのに、周りと比べて少し高い程度の値段だし、屋台も自分たちで用意したんだろうけど、まんま夢の国でチュロス販売してるあれそっくりだから趣味でやってます感がすごい。
「確かにこちらでチュロスを売って利益を出したいならもう少し高くないと普通に赤字ですよね。砂糖以外にも揚げる油だったり、卵だったり、それなりにお金がかかってるはずです」
そうなんだよね。もしかして、魔力とかお金を払えば地球の物を取り寄せられるチートを持ってる子があの子たちの仲間にいる?
Am〇zon的なスキルがあってそれを使えばあの値段でも問題なく利益がでるとか?
有り得る。
まぁ、無理に関わる必要は無いし。
普通にお客さんとしてチュロスを買えればいいや。
ハジメくんには一応話しておこうかな。
覚えてればだけど。
「チュロス2本ください」
「代金ピッタリですね。チュロス2本です」
「ありがとうございます」
特に君たち異世界人?とか聞くことなく普通にチュロスだけ買った。ここで変にそう聞いたりすると何か面倒臭いところに巻き込まれたりするからな経験上。
こう言うのはスルー安定だ。
空いていたベンチに座ってチュロスを食べる。
ちなみに夢の国国のような長い1本タイプじゃなくて、1口サイズのものが複数入っているタイプだ。
木皿に入ってるんだけど、お店のをそのまま使うと返さなきゃ行けないので収納魔法から木皿を取り出してそこに入れてもらった。
こう言うタイプのお店は木皿の値段も含まれてて、食べ終わって木皿を返せばその分の料金が帰ってくるってシステムなんだけど。
最初から自分の木皿を用意しておけばお皿分の値段を引いてくれる。
「日本で食べたのと同じように、シナモンも使われてますね。こっちではシナモンなんて見た事無いんですけど、あの方たちは何処かで見つけたと言うことでしょうか?」
「そうかもね」
あとは口に出しては言わないけど、Am〇zon的なスキルでお取り寄せしたかだな。
この後は2人で日本から買って持ってきた漫画やアニメの話で盛り上がりった以外にバトルものが好みらしい。
「ベンチに座って話をしてるだけでもう夕方ですね。そろそろ帰りましょうか」
この後特に何事もなくキュアノス島に帰ったのだが、マルタと2人で座っていたベンチにカップルで座るといいことが起きると言う謎のジンクスが生まれることになる。
「次はメルの番だけど、どうしよっか?コハクが生まれたばっかりだし」
流石に生後数週間の子をおいて両親2人でデートに行くって言うのはちょっと…
「もう2ヶ月もすれば披露宴だし、ここで一旦デートはお休みして、披露宴後に再開するのが良いじゃない?ほとんど準備は終わってるけど、色々確認しておいた方が良いだろうし」
披露宴に関しては食事以外ほぼノータッチだし、確かに確認しておいた方が良いだろう。当日恥じかきたくないし。
「確かにフェムトの言う通りかも…みんなもそれで良い?」
皆もそれでいいと言うことなのでデートは一旦お休みして、披露宴に向けて最終準備を始めることになった。
読んでいただきありがとうございます。
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