第17話

一通りキュアノス島について話しながらフェニックスのひな達を愛でた後フローさんに挨拶をして、フレイさんの先導でフェニックス達の縄張り内にある溶岩湖に向かっている。このメンバーだとエリーゼだけ自分で飛ぶことが出来ないので、俺が抱っこして移動している。マルタもフレイさんも俺が適任と言って変わってくれなかった。



「ねぇ、今から行くところってフェニックスの縄張りないではあるけど。火の精霊王の支配領域なんでしょ?水の精霊王のコウが勝手に入って問題にならないの?」


普通に考えたら戦争が起きてもおかしくない行為だからか。エリーゼは少し不安そうにしている。


「厳密には支配領域って言っても各精霊王がしっかり管理してる訳じゃないからね。大幅に地形を変えたりとかレベルの事をしない限り問題にはならない。人間と違って支配領域内を国として治めてる訳でもないし」


なのになんで、支配領域なんて言い方がされているのかと言うと、幻獣種に対しての牽制の為らしい。

今の幻獣種に野心を持つような種はほとんど居ないらしいんだけど。もっと昔は割といっぱいいたらしい。精霊を力で従えようとしたりするとか。

なので、精霊王の支配領域でおいたをするなら相応の覚悟をしてもらうと言う意味で支配領域と言うものができたらしい。

今、精霊王の支配領域内にいる幻獣種達は、自分たちから他の幻獣種や精霊に攻撃するような幻獣種はまず居ないのでしっかりと効果が出ているという事だろう。


俺が水の精霊王になったばっかりの頃は他所からそう言った幻獣種が侵入して来てたらしいけど、リバイアサンが怖くて殆ど何もしてなかったらしいし、リバイアサンが俺の事を上位者と認め下に付いたと知ったら一目散に逃げていったらしい。


リバイアサンは幻獣種だけど、神獣リバイアサンの子孫だから、他の幻獣種に比べて圧倒的な力を持っている。それだけじゃなくて、神獣リバイアサンの血が濃くでて最早、半神獣とも言える存在リバイアサン・オリジンまで居る。

そんなリバイアサン達と戦いたいと思う幻獣種は普通いないだろう。


話を聞く限り、どうやら過去にはそれなりにいたらしいけど。

バハムートの幻獣種が存在しないのはリバイアサンに喧嘩を売ってその結果滅ぼされたからと、フェムトか誰かが言ってたはずだ。


普段は面倒見が良くて料理好きの集団なんだけどね。怒らすと、神でも殺せる最強集団と化すから絶対に怒らせては行けない。

イスカが神獣化を使えば権能を使えるようにティアナさんも権能を使える。この権能は神様間の協定を破った神を消滅させることが仕事の神獣リバイアサンと同じ物なのでマジでヤバい。


「とにかく、火の精霊王の支配領域に入ってフェニックス達と交流したぐらいじゃ問題にならないから、気にしなくていいよ。それに火の精霊王だけじゃなくて地と風の精霊王だって俺の家に良くご飯食べに来てるし。エリーゼも数回会ったことあるでしょ?」


まぁ色々お土産を持ってきてくれたり、食べた分、仕事を手伝ってくれるので逆に助かってるけど。

料理を作るのはほとんどディアーネさんだからと言うのもある。


「まぁ、問題にならないってことは分かった」


途中、別の事が混じっていた説明を聞いたエリーゼが半分理解するのを放棄したと言った感じの返事をした。


小声で屋台やってる単なる料理好きっぽい感じ凄いのにあの人たちそんなにヤバい人達だったんだ…と小声で言ってる。

普段のリバイアサンは強そうに見えないもんな。

ただ、キュアノス島に遊びに来た幻獣種はみんなルールを守る。リバイアサンを怒らせたくないから。なのでキュアノス島の治安はめちゃくちゃ良い。


「今、生きてる幻獣種でリバイアサンに喧嘩を売るような命知らずはいないでしょう。幻獣種からしたらリバイアサンは恐怖の象徴ですから。長は特に。皆さんがいるからか、確認のため仲間がこっちに向かってきていますね。一度止まってください、私が説明します」


目的地だと言われていた山の麓からフェニックスが1羽飛んできている。同族であるフレイさんがいるし問題ないだろう。って思ってたんだけど…


「火の精霊が怖がってるから、これ以上近づくのは…って言われても。そもそも俺の事舐めてる火の精霊にちょっと威嚇して格の違いを分からせただけだし。自業自得なのですは?」


マルタに流れている火の精霊王の血を覚醒させるための試練をする時に舐めた態度をとった火の精霊が多かったのでその時にちょっと威嚇して教育してあげたんだけど、よっぽどトラウマらしい。

そう言えば、キュアノス島に甘味を求めて精霊たちもよく来るけど、火の精霊だけ極端に少なかったな。

俺と遭遇するのが怖いからか。


まぁ、ここまで来れば耐火グッピーをフレイさんが溶岩湖まで持って行ってくれれば良いだけだし、わざわざ俺がそこまで行く必要ないか。耐火グッピーだってお世話しなくても勝手に増えてくれるだろう。


そう伝えると、追加のお礼としてフレイさんに追加のフェニックスの飾り羽を貰った。


「私はまだしばらく、フローのところにお世話になるので、また来てください」


「そうですね。フレイさんも子供たちが炎を制御できるようになったらぜひキュアノス島にも来てください」


そうお互いに挨拶してフレイさんと別れた。








読んでいただきありがとうございます。



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