第16話

「素材は揃ったしまずは1匹試してみるのが早いんじゃないですか?もしダメだったら他の魚を試さなきゃいけないですし」


素材がひとつしかない訳じゃないし、最悪無くなっても取りに行けるから、試して見るのが1番早いか。


「じゃあエリーゼよろしく」


「了解!【魔物創造】」


素材として用意したマグマでも燃えない耐火性を持った魚とグッピーがエリーゼが魔物創造を発動したため現れた魔法陣の上で溶けて混ざりあっていく。


「うーん。繁殖力を高めたいなら、やっぱりベースはグッピーの方にするしかないみたい。燃えない魚の方はグッピーに同じ耐火性を持たせるので精一杯見たいだし。味を向上させる余裕はなさそう」


魔物創造を使ってる本人には完成予想図のようなものが頭の中に浮かぶらしく。エリーゼからこんな感じの魔物になりそうと説明を受ける。味が美味しくならないのは残念だけど、最低限絶対必要な条件はクリアしているしとりあえず1匹創造しておくべきだろう。


「とりあえず。味は気にしなくて良いから1匹創造してみて」


「分かった」

液体がグッピーの形を形成していき、やがて黒い鱗がメインで所々に赤い鱗が生えているグッピーが誕生した。

今は魔法陣が陸上似合ったので、地面の上でピチピチしている。

水球を作り出してその中に入れてやった。


「色が変わっただけでほかはグッピーと全く一緒だね」


エリーゼの説明では耐火性もしっかり継承しているらしいから、水球の温度を沸騰寸前まであげてみる。

水球はグツグツしているけど、中で泳いでいるグッピーはなんの問題もなく優雅に泳いでいる。


「溶岩に比べたら可愛い温度だけど。しっかり耐火性能も引き継いでるね」


「あとは味も何とかなれば文句なしなんだけど、美味しい魚をもう一種類足して魔物創造をすれば何とかなったりする?」


「多分難しいと思う。グッピーの繁殖力を他の魔物に引き継ぐことは出来ないっぽいし。グッピー自体最弱レベルの魔物だから、そこまで新しい能力を追加したり出来ないし」


強ければ強いほど能力を追加したり出来る感じか。

魔物創造を使ってる俺の考えた最強のスライムとかは作れないわけだ。


「じゃあ、これ以上下手に弄らないでこれで目標達成って事にしよう。食べて見た感じ食べられないほどまずいって感じじゃなかったし」


エリーゼに高い耐火性能を持ったグッピーを追加で20匹ぐらい作ってもらって、フェニックスさんのいるところに転移した。


「という事でフェニックスさん。いい感じの溶岩湖知りませんか?」


溶岩湖があるような場所はほとんど火の精霊王ホムラの支配領域内なのでよく知らないので、耐火グッピーを育てるのに丁度いい溶岩湖を知らないかフェニックスさんに聞いてみる。


「なんかもう滅茶苦茶ですね。まだ私の理解が追いつかないんですけど。私を含め数匹のフェニックスが暮らしているところに溶岩湖があります。そこなど、どうでしょうか?」


元からフェニックスさん達に管理をお願いする予定だったし、そこなら都合が良さそう。


「良いですね。そこまで案内をお願いしても良いですか?」


「子供たちも好きなだけ食べれて体調もいいので問題ないですよフローも見ていてくれますし」


そういえばフクロウの人に挨拶してなかったな。


「すいません。前回もそうでしたけど挨拶がまだでした。水の精霊王のコウです」


「ご丁寧にありがとうございます。元々精霊王様が用事があったのはフレイの方だったようですし。気にしないでください。私はフローと言います」


母親フェニックスさんはフレイって名前だったんだね。これも聞くの忘れてた。


「そうだ!フローさんってやっぱり冷たいものが好きなんですか?」


「まぁ、あったかいものとどちらが好きか?と聞かれたら冷たい方が好きですね」


それなら氷の洋梨も多分好きだろう。


「これ人間界のダンジョンで採れた物なんですけど、良かったら食べてみてください」


「一見果物の形をした氷にしか見えないですけど。そうじゃないと言う事ですね」


俺の手に乗った氷の洋梨をくちばしでつかみ一口で食べてしまう。


「おおっ!!コレは今まで食べた果物の中で1番私の好みの味です。人間界にはこのような果物も有るんですね。貴重なものをありがとうございます」


確かにフロンダンジョンの6階層にあった果物だから、確かに貴重な果物と言えなくもないけど。その気になれば1時間もかけずに採集して帰って来れるし。キュアノス島でも精霊や幻獣種向けに販売したりしてるし、案外食べる機会はあるはずだとフローに説明する。


「なんと!最近、噂は良く耳にしていましたが、この果物も食べられるとは、コレは一度行ってみないといけませんね」


「私も子供たちが炎を制御できるようになったら一度行ってみたいですね」


「基本誰でも訪れることが出来るので、何時でもいらっしゃってください。ただ、簡単に説明すると物々交換で食べ物を売ったりしているので、来られる時は何かしら魔物を狩って持ってくることをオススメします」


食事をとれたことで少し丸みが出てきたフェニックスのひな達を見ながらキュアノス島の話をすることになった。







読んでいただきありがとうございます。

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