第15話
「居ることにはいますよ。卵胎生で一度に何十匹も子供を産む都合のいい魚の魔物。食べたことは無いので美味しいかは知らないですけど。数が増えやすくて弱いので、魔物のおやつ的な存在みたいです」
魔物は魔力だけで生きていくことは可能だけど、だからと言って食事を取らないわけじゃない。だから縄張り争い以外にも戦闘がおきるし、人が狙われることが起きてしまう。
それにしても、子供をポコポコ産んでなおかつ弱いって本当今回の件にピッタリな魔物もいたもんだな。
魔物創造によって新しい魔物を創造する時は、素材同士の相性が結構重要になってくる。燃えない魚を素材にして耐火性に優れた魔物を作り出すなら、ベストは魚系の素材でまとめることで、次点が水中で生活する生物の素材になる。イノシシと燃えない魚を使って魔物創造を使えば耐火性の高い、イノシシが生まれるのかと言うとそう簡単には行かない。
素材同士の相性が良くなくて魔物創造が発動しないか、発動してもイノシシでも魚でもない別の何かが生まれてくる事になるとエリーゼが言っていた。
「そんなに都合のいい魔物がいるなら、思ったより早く用意出来そうだ」
溶岩で泳がせて大丈夫かとか実際に試さなきゃ行けないけど。
いい感じに養殖できて美味しいなら俺も分けて貰おう。寄生虫や病原菌が一切住んでないだろう溶岩の中で育った魚なら生で食べても安心だしね。
「それにしても、ハーブを1種類しか使ってないハーブソルトなのに結構いい味だね 。何種類もハーブを混ぜて自家製ハーブソルトを使っている人が可哀想になる完成度だと思うよ」
魔界に生えていた葉っぱに塩の結晶をつけるリーフソルトを乾燥させて砕いてハーブソルトにしただけと言う簡単なものなんだけど、それだけでもしっかりと美味しい。
目玉焼きには醤油派なんだけど、このハーブソルトだったら俺も塩派にくら替えしてもいいかもしれない。
「ただ、料理によっては合わないものもいっぱいあるので、やっぱりリーフソルト以外にも塩の確保手段は欲しいですね」
レムさんの言いたいことはわかる。和食とかには合わないよね。ハーブソルトは。
「それなら、このハーブソルトとキュアノス島の天然塩をレートを決めて交換すればいい。支援ではなく貿易として」
キュアノス島には料理が好きなリバイアサンがお店や屋台をいっぱい出てるし。
このハーブソルトに食いつかないわけが無い。
ハーブソルトとキュアノス島の天然塩レート的には低くても1:2とかのレートで交換になるだろうから単純に量で魔族達の村の方が儲かる事になる。
キュアノス島の天然塩は既に魔道具によって製造が全自動かしてるから困ることもないし。
「貿易ですか…。そんな事を出来るようになるのはもっと先の話だと思ってたのですがソルトリーフを無事栽培出来るようになれば早くから貿易ができそうですね」
栽培が出来たとディアーネさんが知れば何がなんでも量を手に入れようと俺にプレッシャーをかけてくるだろう。
そんな話をしつつ朝食を終えて、ボスに乗ったエリーゼの先導で例の魚の魔物がいる地点に向かっている。俺とマルタはラプトルのアルファに2人で乗ってついて行ってる。
さすが魔物、体格的に2人乗りはキツイかな?とも思ったけど。問題なく走ってる。
残りのラプトル4匹がボスとアルファの外側を走って護衛をすると言った布陣になっている。
「恐竜の背に乗って走るってやっぱりカッコイイな。夢が1つかなった」
日本にいた時も恐竜をテイムしてサバイバルするゲームとか好きだったし、恐竜が出てくる映画を見るのも好きだったから。すげぇテンション上がる。ラプトルとバイクで並走とかもいつかやりたい。まず、バイクを作ることから始めないといけないからいつになるか分からないけど。
アイに頼めばあっさり作ってくれるかもしれないけど。細かくて精密な部品が多く必要になるからやっぱり難しいかな?
「着いたよ。あいつら川とか池ならどこにでもいるから、ここにもいるはずだよ。ほら、あそこに泳いでるのが例の魔物」
エリーゼが指を指した方を見ると50cmぐらいあるグッピーが泳いでいた。
卵胎生の魚と聞いてもしかしたらと思ってはいたけど。まさかほんとにグッピーだったとは。
サイズがサイズだし、食べれないことは無いのかな?
「魔族の人達もまだ食べたことないんだよね?」
「他にも美味しい魚が採れるしわざわざ食べようとしなかったからね。魔物が食べてるし、食べれないことはないと思う」
完成して食べたらクソまずかったとか嫌だし。一度食べてみる必要があるか。
川をゆっくり泳いでいる個体を1匹倒してしっかり血抜きをして血合いも捨てる。
三枚おろしにした後、少しだけ切って何もかけずにそのまま食べてみる。
「不味くも無いけど、美味しくもない感じかな、ちょっと生臭い気もするし。美味しく食べるなら塩をふって水分と一緒に臭みをとるか、お酒につけるかお酢につけるかしないとダメそう」
そこまでして食べたいかって言われると別にって感じだし。
まぁ食べれないことはないし、繁殖力を期待してって事だから、味はしょうがないか。
もしかしたら、燃えない魚と合成した結果味が美味しくなる可能性も有るし。
読んでいただきありがとうございます。
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