第12話

「あれがラプトル?」


俺が使役するならラプトルが良いと思うとゴリ押ししたので、ラプトルを探してフロンダンジョンの5階層を歩いていると。

5匹の群れを組んで走る小型の恐竜を見つける。間違いないラプトルだ。


「そう!あれがラプトル」


「じゃボス!一体残らず倒すよ」


エリーゼの指示を聞いてボスは雄叫びをあげながらラプトルに向かって行った。

ランクが低く知能もあまり高くない魔物だと、一々どう動いて何をするか指示する必要が有るけど、ボスは知能が高いので魔物を倒すよと指示するだけで自分で判断して行動してくれる。なのでエリーゼ自身もラプトルとの戦闘だけに集中出来る。

ラプトルも集団行動をする賢い部類に入る。

ボスと同じように細かい命令をしなくてもしっかりと動いてくれるはずだ。


ラプトル達は単体でBランクの魔物。ただ常に群れで行動していて、連携して攻撃してくるため、他のBランクの魔物と比べると討伐難易度は高め。そんなランクないけどB+って感じかな?と言う実力を発揮する。

なのでボス1人で戦うならそれなりに苦戦するんだけど。エリーゼの闇属性魔法による援護も有るし大丈夫だろう。


ラプトル達はボスの雄叫びを受けて固まっていたけど、数秒で持ち直し動き出した。


突っ込んでくるボスに対してすぐさま散開して的を絞らせないようにする。

それだけでなく、1番外側のラプトルはそのままボスの後ろに回り込もうと動き出す。

ボスの種族であるガルムは魔法は使えず、身体能力が高めと言う魔物なので、多対1はあまり得意ではない。

だが、ラプトル如き徒党を組んだところで関係ないと、後ろに回り込もうとしているラプトルは気にせず、そのまま直線上にいるラプトルに噛み付いて引き裂いた。


「【ダークネス】この世界では慣れれば魔法名の詠唱も要らないって頭ではわかってるんだけど、前の世界では必要だったからどうしても詠唱しちゃうね【パラライズ】」


エリーゼが前いた世界の魔法は魔法名を詠唱して魔法を使うタイプだったのでそのくせが抜けないらしい。今使った魔法は相手に盲目と麻痺状態にするデバフ魔法だ。

魔力を使えば抵抗できるけど中々に恐ろしい魔法だ。

現にラプトル達はいきなり目が見えなくなってパニックになったり麻痺で動けなくなってしまっていて、既に勝負ありと言った感じだ。

抵抗できないラプトルをボスがトドメを刺してまわる。


「素材がまるまる手に入るってやっぱり楽だね。あっちの世界だとドロップって形で1部しか手に入らないから一体倒しただけじゃ魔物創造に使えなくて大変だったんだよね。一種の素材だけだと何個使っても魔物創造できないのに、同じドロップばっかりってこともあったし」


オークの肉が10連続でドロップした時はホントキレそうだった。とつぶやくエリーゼ。


「確かフロアボスは丸ごと手に入った記憶が有るけど。フロアボス倒せば良かったんじゃない?」


「そんな派手にダンジョンで暴れられる訳ないじゃん。全人類から目の敵にされてたのに」


「確かに悪かった」


「気にしないでください。それよりそのままここでラプトルの魔物創造を試しますか?それとも魔界に帰ってから試しますか?」


邪魔されないように気をつけるなら村に帰ってからの方が良いけど。ラプトル以外でも魔物創造を試したいしここで試してもらおう。


「ここで試そう。結果次第では他の恐竜も試したいし」


「じゃあ早速【魔物創造】」


エリーゼが魔物創造とスキル名を発するとラプトル5体分の素材を集めた場所に魔法陣が浮かび上がる。

どうやらダンジョンの素材でも魔物創造は使えるみたいだ。

魔法陣の中にあるラプトルが徐々に溶けて液体に変化していき。全て液体に変化してスライム見たいな5つの塊が出来る。

塊はどんどんラプトルの形になっていき、五体のラプトルが創造された。


「こっちの世界でもダンジョンの素材も問題なく使えるって事だね。君たちの名前をつけないとね。うーん…アルファ 、ベータ、ガンマ、デルタ、イプシロンだ」


エリーゼが1匹づつ指を刺して名前を呼ぶと分かりましたと言うように頭を下げた。


「みんなにはボスと一緒に狩りをしてもらうつもりだけど大丈夫?」


ラプトル達は勿論問題ないです。と言った感じの返事をする。


「よし、じゃあ早速見せてもらおうか」


エリーゼがボスとラプトル達にそう言うとすぐに陣形を組んで前に進み出した。


「すご、息ぴったりじゃん」


置いていかれないようについて行くと、ボスたちが止まり、ラプトル達が草むらに隠れて、ボスだけ先に進んで行った。


「ボスがここまで魔物を追い立ててラプトル達が奇襲するつもりか?」


なら、俺達もバレないように隠れていた方が良いかな?って思ったけど、ボスたちが何も言ってこないから堂々としてても大丈夫とエリーゼが言ったので、その通りにした。


少し待つとドシンドシンと地面が振動しだす。ボスがトリケラトプスを追い立ててこちらに連れてきてるようだ。

トリケラトプスはボスから必死に逃亡してるけど。俺たちに気づいて急ブレーキで停止した。

そのタイミングを待ってましたと言わんばかりにラプトル達が草むらから飛び出してトリケラトプスに噛み付く。

全く気にしてなかったところから攻撃されてトリケラトプスは全然対応出来ていない。

ラプトル達を振り落とそうとその場で暴れるトリケラトプスにボスが追いつき、首を鈎爪で切り裂いた。








読んでいただきありがとうございます。

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