第11話

岩塩も採って帰るという話から少し脱線してしまい、Aランクの魔物が雑魚として普通に歩いてるダンジョン内でろくな警戒をせず話に熱中してしまった訳だけど、事前にそう言えば便利な魔道具があったな。とダンジョン内限定だけど、魔力を込めた人より弱い魔物が近づいて来なくなるランタン型の魔道具を起動させておいたので、魔物は一体も近づいてこなかった。


「ワームの話は一旦ここまでにして、岩塩を採集しよう。ワームの話は村に帰ってからでも出来るんだし」


だとしても、呑気に話してるような場所じゃないので話を中断させる。この話が加熱する理由を作ったのは俺だけど。


「塩が自分たちでも用意できたり、美容にも活用出来るのは嬉しいけど。すぐに安定して手に入る訳じゃないし、すぐに手に入る岩塩をしっかり採集しておかなくちゃだよね。それにAランクの魔物が普通に歩いてる場所なのに、気を抜きすぎだった」


その後はせっせと採掘をして大量の岩塩を採掘した。当然岩塩以外にも鉱石が取れたりしたけど、魔族には加工技術がないのでと全部渡されてしまった。

魔族はこれまで隠れて暮らすしか無かったから、そう言う専門的な技術を学ぶことが出来なかった事ともあり、鍛冶師や錬金術師と言った人が存在しない。農業に関してはあっちの世界の大精霊が知識をくれて、その後試行錯誤で何とかしたみたいだけど。

金属加工が出来ないから木のクワだったしね。土地耕すのに使ってたの。

魔物創造で使役したオークが農業をしてる訳だから、それでも割と何とかなっちゃってたけど。


鍛冶や錬金術はしっかり教えてくれる人がいないと身につけることはできないだろうし。

誰かにお願いした方が良いのかな?

交流を深めるきっかけになりそうだし。

人じゃなくて精霊にお願いすれば良いか。

技術を持った精霊も存在するし。

既にディアーネさんが料理を教えてるから受け入れるのに抵抗も少ないだろう。

エリーゼに確認してみようかな?って思ってけど。

また、ダンジョン内で関係ない話をする事になってしまうので魔界に帰ってからにしよう。


「そう言えばさ。そもそもの話なんだけど、魔物創造ってダンジョンの魔物や生き物の素材も使えるのかな?テイムはできないじゃん?ダンジョンの魔物って」


そう、最初は完璧な作戦だと思ってたんだけど。ダンジョンの魔物はテイム不可と言うのを思い出して、もしかしたら魔物創造も無理かもという事に気づいてしまった。

テイムと魔物創造は全くの別物だけど。

魔物を従えると言う部分では同じものだ。

ダンジョンの魔物や生き物の素材を魔物創造に使えない可能性はじゅうぶんあると思う。


「あっちの世界ではダンジョンから取れる素材も使えたよ?」


なるほど。それならこっちの世界でも問題ないかもしれない。でもな〜、世界神様がダンジョンの素材を使えないように調整してる可能性もあるし…。

1度試しておいた方が良いかも。


という事で実際にダンジョンの素材を使って魔物創造を使ってみようという事になりダンジョンの5階層に移動した。


「コウさん?わざわざ移動しなくても、8階層でコウさんがAランクの魔物を弱らせてエリーがトドメを刺せば魔物創造の実験は出来たはずですよね?」


だって、もし魔物創造がダンジョンの魔物も使役できるなら、諦めていた恐竜を使役できるんだから試して見たくなるじゃん。

もう一個高難易度ダンジョンをクリアすれば魔物創造を貰えるし。


「エリーゼは確かにAランクの魔物も創造して使役する才能が有るけど。複数体使役出来るのかはまだ未知数でしょ?ダンジョン内で魔物創造が失敗したら、ダンジョン産の素材が使えないのか、今のエリーゼにはAランクの魔物は一体使役するのが限度なのか分からないでしょ?」


バカ正直に話すとマルタにたまに子供っぽくなるいつものやつですねって言われてしまうので、それらしい理由を言っておく。


「確かにコウさんの言うことにも一理有りますね。でも、コウさんが恐竜好きだからここにしたんですよね?」


…まぁ無駄な抵抗だってわかってたけどね。


「まぁ、否定しないけどさ。恐竜って群れで狩りをするのもいるから、その種類は知能が高いし使役する魔物としては悪くないと思うよ。空を飛べるのもいるし」



「そんなに必死に言い訳しなくてもダメとは言ってないです。間違ったことは言って無いですし。ただ、恐竜が使役できたとしても、魔族の村に入り浸っちゃダメですよ?」


「流石に入り浸ったりはしないよ?ちょっと背中に乗せて貰いに行ったりするかもしれないけど…」


ハジメくんだって恐竜の背中に乗れるって誘ったら喜んで着いてくるだろう。

恐竜は男のロマンだし間違いない。


「私としては大歓迎だけど。恐竜を使役出来ればコウが今より村に来てくれるみたいだし。是が非でも使役しないと」


エリーゼが気合いを入れて、マルタは、はぁとため息をついた。


やっぱりラプトル系がオオカミ系と同じような感じで指揮しやすいだろうという事でまずはラプトル系を探すことになった。







読んでいただきありがとうございます。



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