第10話
「岩塩が取れるなら欲しいです。でも、最近葉っぱに塩の結晶が付着する植物を見つけたので栽培出来れば、塩を自分達で手に入れることが出来るかもしれないけど。そんな簡単に成功しないだろうし、成功したとして200人使う量をとれるとは思わないから」
エリーゼに岩塩取れるんだけど、採りに行く?と聞くとやっぱり行くと返事が帰ってきた。
それにしても、葉っぱに塩の結晶が付着する植物か。もし栽培出来れば自分たちでも塩を生産する事が出来るようになるわけだけど。
魔界にはそんな植物もあるんだね。
俺も見てみたい。
(地球にも塩分を隔離する細胞を表皮に持っている植物有るよ?アイスプラントとか。まぁ魔界にあるやつの方が耐塩性とか高いけど)
最近はめっきり無かったフェムトの念話が突然来たので少しびっくりする。
地球にもそんな植物あったんだ。知らなかった。
(魔界の植物も表皮に塩分を隔離する細胞があるから塩の結晶が葉っぱの部分に付着するってこと?)
(そういう事)
(じゃあ、その植物が自生して塩の結晶が付着してたって事はその土地は塩が含まれてる地層が存在するってことであってる?)
(そういう事。その植物が生えてるところは結構塩分濃度が高くて、それ以外何も生えてないよ)
(じゃあ、栽培して塩を手に入れるにはそこで栽培しないと行けないわけだ。安全なの?その場所)
魔物ひしめく危険地帯だった場合、ゆっくり栽培なんてとても出来ないだろう。
(特に魔物はいないんだけど、その土地の塩分濃度が高くなってる理由のワーム系の魔物がいるよ。そいつの出す体液が塩分豊富みたいで地面に染み込んで土地の塩分濃度が上がるみたい。だからそのワームを倒して魔物創造で使役すれば魔族の村の近くでも栽培できるんじゃないかな?土地の塩分濃度が上がっちゃう訳だから、ほかの作物に影響が出ないように色々慎重に場所を決める必要は有るけど)
塩分濃度が高い理由ワームの体液なのか。
ちょっと知りたく無かったかも。
でも、魔族的には朗報なのかな?
おかげで塩が取れる植物の栽培目処がたちそうだし。
「フェムト様から神託もとい念話ですか?」
神託って、まぁ神様から話しかけられてるから神託で間違いないのかもしれないけど。
マルタも念話って言い直してるし。
神託って言うほど仰々しいものじゃないよな。
「エリーゼが言ってた。塩の結晶が付着する植物についてちょっと解説してくれた」
そう言ってフェムトから教えて貰ったことをエリーゼに正直に教える。
「ワームの体液…」
やっぱりそこはボカすべきだったか?でも、いちばん重要なところだし正直に話すしか無かっただろう。
「植物が吸収してくれてるわけだから、ワームの体液を直接食べてる訳じゃないし…。
ごめん、この言い訳は無理があったな」
ワームの体液を養分として成長する植物。
正直、食べたいとは思わない。
「ワームの糞を肥料にする農業も実際に有りますし、それと変わらないですよ。ディアーネさんもタイラントワームの糞を何処からかとってきて肥料として使ってますから。2人ともワームの糞の肥料で育てた野菜を食べてますし」
衝撃の事実!?まじで知らなかった。
動物の糞を肥料にするのはおかしいことじゃないし、普通のことか。ワームってでっかいミミズみたいなもんだし、糞はいい肥料になるんだろう。
そう考えるとワームの体液も問題なく思えてくるな。直接ワームの体液を飲む訳でも無いし。
「そうだとして、ワームを使役してくれる人がいるかも問題になる。私は嫌だ」
エリーゼも女の子だしワームを使役するのは嫌か。それはワームを使役しても良いって人を探すしかないな。
「栽培できそうってことは嬉しいけど。なんか率直に喜べない複雑な気分だよ。帰ったらまた、みんなを集めて話し合いかな」
その会議は中々に荒れることになるだろう。
「その、ふと思い出したんだけど。地球だと塩パックってのがあって浸透脱水作用とかのおかげで肌が綺麗になるって話だったんだけど。もしかするとそのワームの体液も同じ効果が有るかも?」
地球にいる時の同じ職場の女性がそんな話をしていた気がする。
女性なら肌が綺麗になる為なら、たとえ苦手なワームでも使役してくれるんじゃないか?
(ワームの体液に肌に悪い成分は入ってないし塩パックと同じように肌を綺麗に出来ると思うよ)
ワームの体液だから直接触ったら被れるとかあったら嫌だなと思ったけど。フェムトのお墨付きがついたので大丈夫。
「そんな効果があるの?なら私が使役する。村の女性同士ワームの取り合いで喧嘩になるかもしれないし。それを防ぐために私が独占する」
エリーゼのやる気の上がりように確実にそれだけが理由じゃないだろうって突っ込みたいけど。それをするとややこしくなるので心の中だけにしておく。
ワームの体液を全部パックに使って、植物の栽培ができなくなったとかそんな事にはならないよね?
エリーゼの反応を見るに有り得ないとは言えないなと思うコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
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