第2話

「沢山の人からキャーキャー言われるのはやっぱりなれないね」


フロンダンジョンを攻略して約1週間。

領民にもその事が大々的に発表されて町中はお祭り騒ぎ。

それに合わせてフランのお披露目も兼ねて、ロンドンバスみたいな2階構造になってる馬車に乗ってフロンを1周した。

馬車から手を振ってるだけなのに、凄い疲れる。基本的に人が多いところ得意じゃないからかな。


「疲れてる時はちょっと酸味のあるお菓子がいつもより美味しく感じる」


温度によって甘さが変わるイチゴを冷やしながらペースト状にしたものをバニラアイスにかけながら食べる。

バニラアイスの甘さとイチゴの酸味がちょうどいい感じにマッチしている。


甘さが変わるイチゴを何度も甘さを変えられるのかな?と実験してみた結果。

イチゴを加工する前だったら何度でも変更可能という事がわかった。

加工後の甘さは加工中の温度によって決まって、その後は温度を変えても変わらない。

なのでこのイチゴを火にかけてジャムを作るとすごく甘いジャムが出来るけど。その後で少し酸味が欲しいなと思ってジャムを冷やしても甘さは変わらない。

まぁ、もしそうだったらこのイチゴを使った甘いジャムを食べたかったら熱いまま食べるしか無くなっちゃうわけだから、それで良かったなって思っったけど。


「フランは物珍しげにキョロキョロして楽しそうにしてたな。今もお母様にあやして貰って楽しそうにしてるし」


今フランはフィアの実母のアトラシアさんが抱っこしている。

生後約7ヶ月にしてはしっかりしすぎてない?私たちのこともしっかり見分けられてるし、言葉も少し理解してるみたいじゃない?

って聞かれたから、精霊は人間より成長するのが早いからです。純粋な精霊ではないですが人間と精霊のハーフなのでこの子も成長が早いみたいなんです。

とそれっぽい言い訳をしておいた。精霊の方が成長が早いのはほんとみたいだし全部嘘って訳じゃ無いので突っ込まれても大丈夫だろう。

実際はそれだけじゃなくて転生者だからって言う理由もある訳だけど。


「フランは家族以外と触れ合う機会なんてなかったし、外に出れたのが嬉しかったのかも知れないな。これからも定期的にキュアノスから連れ出してあげるべきかも知れないな」


いかにもファンタジーって感じの街並みとかを見て興奮してたみたいだし。そうした方がいいかも知れないな。キュアノスだってじゅうぶんファンタジーしてるはずだけど。

同じ景色じゃ飽きちゃうだろうし。


「でも、安全面からしたらキュアノス島にいた方が良いんじゃないの?コウくんがいるし心配要らないとは思うけど」


アトラシアさんは流石に連れ回すのはまだ早いんじゃない?という感じだ。

それもその通りなんだよね。

まぁ、水の精霊からしたらフランは王族な訳だから、水の精霊が必ず護衛として周りにいるから何かあるって言うのは絶対ないと思うけど。

だけど今、色んな景色を見ちゃうと将来自分の足で見に行って感動するみたいなことが出来なくなっちゃうか。


「まぁ、外に連れ出すと言っても皆さんにフランの顔を見せに来るぐらいだと思いますよ?と言ってもフェムトが言うには早いと後、半年もすれば単語を喋って話し始めると思うって言われたし次に連れてくる時はその頃ですかね?」


部屋にいる俺以外の人が全員マジで!って顔でこちらを見た。

ちなみにフランも目を見開いてこっちを見てる。その気になればもう喋れるんじゃないか?


「なんでフィアまで驚いてるのよ?」


「だって初めて聞いたし…」


「俺がフェムトに成長が早いとやっぱり話し出すのも早いのかな?って質問したから教えてくれたからね」


「それにしてもコウくんは今から覚悟しておいた方が良いよ。女の子はいつかお嫁に行っちゃうから」


「流石にまだ10何年も先の話ですし。今から覚悟する必要はないでしょう」


私も最初はそう思ってたんだ実際にその時になったら実感できるよ…とオルトレーさんに言われた。


もし、フランが将来この人と結婚するって言ってもよっぽど悪いことをして無ければ認めるつもりだし。

ダメだって親バカ発動させて嫌われる方が嫌だ。


「まぁ、その話は置いておいて。前回チョロっとお話をしたダンジョンから取れる物とか魔物の標本を展示する、博物館を建てたいので拡張工事中の場所の土地を確保出来ませんか?ってお願いどうなってますか?」


「費用は全部コウくんもちだし。拡張工事自体にも出資してくれるって話だから直ぐに用意出来たよ。新しい名所にもなるだろうし」


許可が降りないことは無いだろうと思ってたけど、ちゃんと許可が出てよかった。


「良かったです。なら建物自体とか色々頼んでおかないと。流石に時間がかかるでしょうし」


今は拡張部分の壁の建造中だから暇してる職人なんていないだろうし、終わった後も建築ラッシュだろうから早めにお願いしておかないと、完成が何年後とかになっちゃう。

お金を消費することが目的だから自分たちで作るのは今回はNGだし。拡張工事が始まる前に交渉しないとダメだろうから、完成は何年後ってのが濃厚だと思う。









読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る