第11話
「性能が耐火性一点特化となると総合的に見たらほかの素材の方が良いってなるのは当たり前だよね。特に建材として考えるなら」
と言っても特に火に注意したい場所だけに使うみたいな使い方は有るだろうし。
全く需要がないってことはないと思うけど。
木材としての需要はトレント系の方が高いだろう。入手難易度的にもトレント系の方が低いし。
高難易度ダンジョンである。フロンダンジョンの8階層に来れる人間なんて俺の関係者か頑張ってハジメくんの関係者ぐらいしかいないし。
ハジメくん達は魔物は問題なく倒せるけど、環境ダメージの対処が大変だろうし。
溶岩も問題ない木、自体の採集は簡単だけどここに来るまでの難易度が高すぎる。
「まぁ、お金が欲しい訳じゃないし落ち込むこともないか」
「それにお金を稼ぎたいなら途中で採集した泥を売ればいい。美容になら女性はいくらでもお金をかけるからな」
「フィアが美容云々の話をするとは最初は考えたことも無かったな」
実際、興味無さすぎてメイドさんにもったいないって何度も言われてたし。
「だってコウに嫌われたくないし」
「泥は美容効果があるってはっきり分かったら、売らないで女性に対しての贈答品にしようかなって思ってるから売るのは無しかなって思ってる」
「コウの考えはわかるが全く売らないと言うのは避けた方がいいと思う。女性の美に対する執念は怖いぞ」
ある程度は売りに出した方が良さそうだね。
それだけの理由で恨まれたくないし。
いや、女性からしたら美容効果のある泥を売らないという行動は恨むのにじゅうぶんな行動なんだろう。
「これはまた周りの温度が上がったな」
8階層を歩いて進んでいると今までは外だったけど。火山の中へと入っていくことになった。
そのせいか温度が少し上がった。それに合わせて周りに纏う冷気も増やしておいた。
それに、天井が低いわけじゃないけど飛んで高速移動をするのは無理だろう。
この階層はショートカットは諦めた方が良さそうだ。
「新しい魔物も増えたみたいだぞ」
溶岩の中から真っ赤なゴーレムが歩いて出て来る。
マグマゴーレムとでも呼べば良いかな?
せっかくの新しい魔物だけど、凍らせて魔石を回収しちゃえば良いだけだから、大した戦闘もなく終了する。
「魔石は当然持って帰るけど、この固まった溶岩はどうしようか?」
「持って帰れば良いんじゃないか?収納魔法があるんだし」
確かに荷物にならないし持って帰るか。
「それにしてもこのダンジョンは何階層まで有るのかな?」
高難易度ダンジョンは階層ごとの難易度が高い分、階層自体は少なくて2桁行くか行かないかぐらいの階層しかないって話だからそろそろ最奥であって欲しいけど。
「セオリー通りだともう最奥でもおかしくないんだけど。そもそもこのダンジョンは高難易度のダンジョンの中でも難易度が高いと言われているダンジョンだから、階層は5~6階層程度じゃないか?って言われてたんだけど、そんなこと無かったな」
この世界の人達でも高難易度の中で1番難易度が低いと言われているダンジョンなら攻略出来てるようで、その経験を元にした仮説だったらしい。
「出来れば今回で攻略しておきたいんだよね」
「スタンピードはこの間コウが解決してくれたから当分起きないだろうし、焦って攻略する必要ないと思うけど?」
今回で攻略しておきたいのはどちらかと言うと自分の為だ。
「確かにスタンピードが起きてフロンが大打撃を受けるのが嫌だから早めに攻略したいってのも有るけど。攻略されてない高難易度ダンジョンを2つ攻略したら魔物創造のスキルを貰えるって世界神様と約束してるから、早めにこのダンジョンを攻略したかったんだ」
「いつの間にそんな約束してたんだ?そもそも精霊や幻獣種が手を貸してくれるコウが魔物創造を使う意味なんて有るのか?」
「100パーセントロマンです。でも、使い方によっては精霊や幻獣種を上回る魔物を創造出来るかもよ?生えてるだけで周りの植物を美味しくする木の魔物とか。ミカンウニとかカラーゼリーフィッシュみたいな魔物も創造出来るかも」
ミカンウニとカラーゼリーフィッシュはフェムトが昔に作った美味しくて甘い海の魔物シリーズだ。海ぶどうもそうだったかな?
「確かにそう聞くと魔物創造が欲しくなるな」
「でしょ?こことダイワの海中ダンジョンを攻略すれば良いかなって思ってるけど海中ダンジョンの方は一階層しか探索してないから時間かかるだろうし。そろそろ最奥っぽいこっちは攻略しておきたい」
「成程。私からしても実家がスタンピードに蹂躙されることが無くなるんだから早く攻略するに越したことはないから、状況によってはペースを更にあげるか」
スタンピードはそんなに短期間で連続して起きないと言われているけど、分からないことだらけのダンジョンだし、それも絶対じゃない。スタンピードが確実に起きないようにするには攻略してダンジョンコアを外に持ち出すしかないのだ。
駆け足で8階層を走り抜けて9階層に進む階段を見つけたけど。7階層に続き8階層も階段を守護する魔物がいなかった。
次の階層こそはと思いながら9階層に足を踏み入れた。
読んでいただきありがとうございます。
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