第3話

リンファス王国に金属や食料の販売をしながら、島にあるダンジョンの成長が終わるのを待ってる間、島にある城でみんなとイチャイチャしていたんだけど、1週間してもダンジョンの成長が終わらなかったので他のことを始めることにした。


それとそろそろ島の名前がないと不便と言われてしまったのでキュアノスと名付けた。

人間の間では既に精霊島と呼ばれているらしいけど。キュアノス島が正式名称となった。

精霊島も分かり安いけど、安直すぎるかなということでほかの名前を考えた。

キュアノスもギリシャ語で青って意味だから安直なことに変わりは無いけど。


「それにしても2人でフロンのダンジョンに来ると最初の頃を思い出すな」


今回はフィアと2人でフロンにあるダンジョンの6階層に来ている。

1週間ぐらいで行けるところまで進む予定だ。

野営中も結界を張っておけば魔物の心配をしなくて大丈夫なのでデートを兼ねて2人でダンジョンに潜ることになった。

ダンジョンでデートってどうなの?とも思ったけど、地上じゃ観られない景色をみれるから魔物が闊歩していることを除けばダンジョンデートって割と有りなのかもしれない。


「あの時は俺はともかくフィアの実力は人間レベルだったんだけどね」


既にクラーケンを1人で倒せる実力は持っていたけど一応人間レベルだったから。

いまじゃ権能まで使えるようになっちゃってるし、ほんとフィアはどこまで強くなるんだろうか。


「そうだな。どんな時でもコウの隣に入れるようにと、その一心だけでここまで来れた。正直、自分でも驚いてる」


「そんな事言われると嬉しいけどちょっと恥ずかしいね。…もう!今良いところなのに邪魔をするな!」


耳が刃のように硬いロップイヤーのような魔物が突っ込んできたので氷の刃を飛ばして縦に真っ二つにした。


「あ〜あやっちゃった。これじゃ素材としての価値ダダ下がりだよ」


いい雰囲気だったのを邪魔されたからつい真っ二つにしちゃったけど。

臓物ぶちまけちゃってるし、毛皮もはんぶんこになってる。

やってしまったなと反省する。地上だったらこのまま放置するのは勿体ないけど。

ダンジョン内だったら少しすればダンジョンが吸収して無駄にならないのでそのまま放置していく。それにしても、あのロップイヤー、毛皮としてもすごく人気だし、お肉も美味しくて人気らしいのでちょっと迷ったけど。排泄ブツがかかった肉を綺麗に洗ったとしても食べたくなかったので放置することにしたんだけど。

だいぶテンションが下がった。


「まぁ、この一体しか出てこないという事は無いだろう。気を取り直して先に進もう」


「フィア、こう言う時に限って1匹も出てこなかったりするんだよ」


うさぎは匹じゃなくて羽だったっけ?まぁうさぎに似た魔物だし匹でいいか。


「コウがそう言うとほんとにそうなりそうだな。どうする?ここまではあえて歩いて移動してきたが。ここからは飛んで行くか?」


2人とも自分の魔法で飛べるし、ここからは飛んでいくか。飛んでた方がさっきの魔物が見つかる可能性も上がるだろう。


「ここからは飛んで行こう。最初の方は雪景色綺麗だなって思ってたけどずっと同じ景色だから飽きた」


という訳で2人で空を飛びながら下に進む階段に向かっているんだけど、上空には小さな氷を含んだ強風が吹き荒れていた。

飛んで楽するのは許さないと言うダンジョンの強い意志を感じる。

まぁ、そんなの気にせず空を飛んでいるわけですが。


「何だかダンジョンに同情したくなるな」


ダンジョンが用意した飛行対策が全く役にたっていない現状にフィアがそんな事を言い出した。


「じゃあ、歩いて行く?」


「嫌、いくら装備で緩和してても少し寒いし早く抜けたいから飛んでいく。マイナス40度を少し寒いでも凄いけど」


フェムトが作ったコート風の戦闘服はリバイアサンの鱗を錬金術で糸に加工して作られているので、寒さや暑さに耐性があるけど。

マイナス40度レベルだと万全じゃないらしい。


「じゃあ出来るだけ早く下の階に降りようって思ったんだけど、1回地上に降りていい?なんか果物っぽいもの見つけたから」


「構わないよ。寧ろこんな豪雪地帯にある果物なんて私も気になる」


フィアも気になるようなので2人で地上に降りる。

するとそこには凍り付いているのではなく、氷で出来た木が生えていて、その木の枝には洋梨の形をした氷がついている。

皮も種も無いので、上空から見つけた時はただの氷像かと思ったんだけど、ここってダンジョンだしただの氷像ってことは無いだろうということで下に降りてきた。


もしかしたらただの氷像かも知れないけど、その時はそのときだ。

枝からひとつもぎ取って手に持っって観察する。

体温で溶けたりはしないらしい。

見た目氷だから硬そうだけど、齧ってみるか。

見た目通り硬かったらかき氷にでも使ったら美味しいかなと考えつつ齧り付くと、シャリシャリしていてシャーベットを食べているようだ。味は洋梨の甘みが濃縮されているような感じなんだけどクドさは感じない。

暑い時期なら最高の果物なんじゃ無いだろうか?


「美味しい!一応確認するけど、フィアも食べる?」


「美味しそうに食べるのを見てるもの凄く気になるけど、流石に今、冷たい物は…」


ですよね。ここで冷たい物食べたいとは思わないよな。

美味しいのは確かなので採れるだけ回収した。







読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る