第10話
「おまたせしました」
サリスさんも戻ってきて全員集まったので、宿側から使ってくれて構わないと許可を貰った部屋に移動する。
料理を沢山置けるように大きめのテーブルを運んでおいて貰ったので適当に料理を置いていく。
この世界ではまだ生まれて居ない料理もあるのでそう言った物に関しては同時に説明をしておいた。
「異世界の料理を再現した料理と言うだけでも凄いのに、料理に使ってる魔物の名前を聞いたら一瞬めまいがしました。いいんですかこんなに貴重なもの?」
クジャタやらシズ、ズラトロクの肉を使っていると教えると絶対に聞かれるお決まりのやつだ。
じゃあ別のに変えようか?って言うとすごい焦って食べさせてくださいって手のひら返すからちょっと面白いな〜って偶にやるんだけど、今回はやめておこう。
「貴重どころか幻の肉なのはそうなんだけど、バカでかいから1番量があるお肉もこいつらの肉なんだよ。だから気にせず食べて。ということで、サリスさん今回の主役として一言お願いします」
これに関してはもうゴリ押しに限る。
「ダンジョン実習も無事満点評価で、今日の決闘でも勝利することが出来ました。まだ明日もありますが今日は好きなだけ食べましょう。乾杯!」
「「「乾杯!」」」
飲酒に関する細かい法律はないから13才のサリスさん達がお酒を飲んでも問題にはならないけど、明日はダンジョンに潜るので今回は島でとれたフルーツを使った特性ミックスジュースで乾杯をした。
乾杯したあとは全員が思い思いの料理を好きに食べてそのつど美味しさにトリップしている。
美味しいから初めて食べるとそうなるにもわからなくもないけどね。
「もう、今後の人生でこれ以上に美味しいと思うものを食べる機会は無いかもしれない」
「それは私も思いました」
「私も」
「同じく」
「機会が無いかもじゃなくて、絶対にないだろう。素材のレベルが高いのは当たり前だけど、料理人の腕も最上級だ」
13歳の少年少女が今後これ以上に美味しいと感じることが出来なくしたって結構な重罪なのでは?まぁ、調理の仕方次第でワイバーンの肉でも古代竜より美味しい料理とかもあるし、美味しいって感じないことはないと思うよ。
「ははは、そうかもしれないけど。みんながこのまま無詠唱魔法を習熟していけばカラードラゴンレベルでも簡単に倒せるような実力を身につけることも可能なはずだから、将来的にはそこらの貴族より美味しい食事が好きなだけ食べれるんじゃないかな?」
この班の子達は見ていて中々スジがいいなと思ったし、Sランクの魔物であるカラードラゴンでも少し怪我をするレベルで勝てる実力が身につくだろう。無詠唱魔法の習熟だけじゃなくてレベル上げも必要だけど、しっかり前情報を集めて下準備をしてダンジョンに挑戦すればいい感じにレベルも上がるだろう。
…レベル上げか。レベル上げと言えばパーティー内の経験値に補正をかけれる勇者のハジメくんがいたな。
ハジメくんは貰った土地が魔物蔓延る未開拓領域で領の発展を手伝ってくれる人材が全然見つからないって嘆いてたし、丁度いいんじゃない?
「みんなの中に貴族の子って居ないはずだよね?」
居ないはずだけど一応確認。
まだ開拓中の領地だから下手に貴族の子を雇っちゃうとここぞとばかりに利権とかで絡んでこようとする家もあるから、念には念を入れて確認しないとね。
「全員、平民の一般人ですよ。魔法学校に入学できるんだから、それなりに裕福な家庭ではありますけど。なんでそんな質問を?」
「いや、ハジメくんが優秀で裏切らない人材が欲しいってよく酒の席で愚痴っててさ。
みんな優秀だし、良ければ紹介するのもアリかなって、ふと思ってね」
よく幻獣種と精霊に領地の開拓を手伝って欲しいってお願いしてるけど、人間の土地の開拓を手伝うのはちょっとって毎回断られて撃沈している。
唯一、リンファスの王家は火の精霊王の血が流れてる家系なので火の精霊は手伝っても構わないって言ってるけど開拓にはちょっと向かないからな。
魔物を討伐したり、火を起こしたり、お湯を沸かしたりと細々と活躍はしてくれているらしい。
「もしかしてドラッテ辺境伯のことですか?勇者様の」
「そうそう、ハジメくんは新興貴族だから家臣集めも大変らしいよ。領地の場所の問題も有るんだろうけど」
勇者様の家臣とか大出世ってレベルを超えてる。と騒がしくなる。
「勿論、強制じゃないし。俺が話を持って行ったとしてハジメくんに断られる可能性もある事は考慮しておいて欲しい。返事もすぐじゃなくて良いからね。まだ1年学生の期間も残ってるわけだし、マルタに伝えてくれれば俺に伝わるし」
すぐには決められないだろうなって思ってたんだけど…
「「「「「ダメでもいいので、ぜひお願いします」」」」」
と即答だった。こんないい就職の話今を逃したら一生ありません!ということらしい。
コネ採用が当たり前の時代だし。
そんなもんか。
「それじゃあ近いうちにハジメくんに聞きに行くから、面接するとかそう言うのが決まったらマルタから伝えてもらおう。じゃあこの話はおしまい!せっかくのパーティーだし、楽しもう。そろそろデザートも出していこうか」
読んでいただきありがとうございます。
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