第7話
「それにしてもよく一日でこれだけの会場をつくったね。観客席までしっかりできてるし…この決闘で賭け事してるし。胴元が魔法学校って良いの?生徒を賭けの対象にして」
「余り良いとは言えませんが、こう言う事に賭け事は付き物なんです。魔法学校が胴元をやらなかった場合、別の人達が胴元として賭け事が始まるだけですから。それがクリーンな団体ならまだ良いんですけど、そうとは限りませんから」
学校側が取り仕切らないで裏組織みたいな連中が仕切り出すのを防ぐって事か。
街の住民達の娯楽にもなるし、観戦者が多い方が事実をねじ曲げることも出来ないし悪くはないのか。
なんで突然決闘?ってなるだろうけど、初日は下から数えた方が早かった班が、次の日に
突然トップに躍り出てそのままゴールしてしまったので、他の学生から色々ずるをしただとかケチをつけられてしまったのだ。
俺が「学生たちが不正をしたとして俺がそれを見逃すような人だって思ってるわけだ」って聞こえるように言ったら全員黙ったけど。
俺の圧力でその場はおさまったけど、俺がいなくなったら騒ぎ出す輩は出てくるだろうと思い。
1番わかりやすいのは、学生たちが自分の実力を見せる事だろうという事で、俺の班の子達の代表VS不満を持ってる子の代表で決闘をしてもらう事にしたのだ。
流石に、今ここで始め!って無理なので一日おいて今日が当日というわけだ。
「まぁ、負けることはないと思うけど。やり過ぎないようにね?」
俺も関係者みたいなものだし、昨日一日魔法の練習に付き合ってあげたらだいぶ化けた。
大した実戦経験もない甘ちゃんに負けることは無いだろう。
「コウ先生黒いオーラが出てきてますけど、大丈夫ですか?」
「ん?気の所為だよきっと」
ダンジョン実習的には既に満点評価なので26階層に挑む前に一日休みにすると言われたので、フランに会いに行けると思ってたのにそれを潰された恨みが滲み出てたらしい。
気をつけないと。
「とにかく、娘のフランとの時間を潰した罪は万死に値する。サリス容赦なくボコボコにして来なさい。貴女ならできる」
「ほんとに大丈夫ですか?コウ先生キャラ変わってますよ」
自分でもおかしなテンションになってるって自覚は有るけど、今更元に戻っても遅いと思うのでこのまま続行する。
「そんな怖い顔してるとフランに嫌われますよ」
そう言いながらフランを抱っこしたマルタが選手控え室になっている天幕の中に入ってくる。
「ちょっとなんでフランがここに居るの!?」
「貴族の子供は生後3ヶ月程度で領地もちの貴族はお披露目パレードをするんですよ。コウさんは領地を持っているわけじゃないですがフィアお姉様の実家がコラーソ公爵家ですから、フロンでお披露目があっても可笑しくないのにそれが行われないということは何かあったのでは?とわざと騒ぎ立てる貴族が一定数いたので、そいつらを黙らせる為です」
厄介な貴族もいたもんだ。
フランからしたら初めての街だし、楽しそうにしてるから別に良いか。
頭の中ではファンタジーだすげぇ〜とか考えてるのかな?転生者だし。
マルタからフランをうけとって抱っこする。
最初はことごとくダメ出しされた抱っこだけど、おかげで今はちゃんと抱っこできる。
「ってことは今日1日フランは俺が抱っこしてて良いの?」
「ダメに決まってるじゃないですか。生後半年の赤ちゃんなんですから、長くても1時間で城に帰しますよ」
確かに生後半年の赤ちゃんを一日連れ回すのはダメに決まってるから、仕方ないか。
フランを抱っこして30分程、決闘をするために街の外に急遽作られた会場を見てまわる。
屋台とかの沢山でていて凄い賑やかだ。
フランからしたらうるさくて嫌かな?とも思ったけど、割と楽しそうにしてたので、フランがウトウトし始めるまで一緒に会場を練り歩いた。
寝てしまったフランをマルタに預けて本題の決闘の方に集中する。
「毎年恒例の魔法学校の学生同士の決闘ですが、今年は一味違います。なんと片方は地上最強生物とも言われる水の精霊王様の指導を受けた生徒です。今年は例年以上の高度な試合が期待できます」
観客席から歓声が上がる。この世界って娯楽がそんなに多くないから、この決闘も街の人たちからしたらいい娯楽なんだろうな。
と言うか、生徒同士の決闘がこの時期の風物詩的な感じになっちゃってるし。
ダンジョン実習は毎回ここだって言ってたし、毎年揉め事が起きて決闘が行われてるってことか。
やけに慣れてるな教師陣って思ってたけどそういう事か。解説席に座って実況してるのも魔法学校の先生だし。
なんか決闘を始める2人もマイクパフォーマンス始めたし、なんか俺が思ってた感じと全然違うんだけど。
え?ほんとにギスギスした感じになるのは学校的にあまり良くないから、ケチをつけたいと言うよりか純粋に俺のアドバイスでどれだけ強くなったのか実力を知りたいって子を選んだ?
そう言ったところまで配慮するあたりほんとに手慣れてんな〜と思うコウだった。
読んでいただきありがとうございます。
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